何もなかった帰り道の気持ち
どういう気持ちだったか、だいたい想像できる。
期待していたわけじゃない、とは言い切れない。でも何もなかった。ソファで映画を見て、お菓子を食べて、気づいたら終電の時間になっていて、じゃあまたね、で終わった。帰り道、なんだったんだろう、という感覚だけが残っている。
これを読んでいる人の中に、全く同じ夜を過ごした人がいると思う。何もなかったことへの安堵と、何もなかったことへの微妙な落胆が、変な感じで混ざっている。で、男性側は何を考えていたのか。
何もなかった理由
何もなかった、という結果は同じでも、男性側の理由はいくつかのパターンに分かれる。
本当に好きだから慎重になっている場合、まだそこまでの気持ちがない場合、タイミングを読んでいる場合、単純に鈍い場合。全部、外から見ると同じ何もなかったに見える。でも意味が全然違う。
何もなかった理由、パターン別
本気だから、手を出さなかった
相談所の現場で一番多かったのは、実はこのパターンだ。本気で好きな相手には、慎重になる男性が一定数いる。
坂本さんという34歳の男性会員は、交際中の女性を初めて家に呼んだ日、何もしなかった理由を後から話してくれた。嫌われたくなかった、と言っていた。もし動いて引かれたら終わりだと思った、と。
本気だから怖い。怖いから動けない。結果として何もなかった、という構造だ。
女性側からすると、脈なしに見えるかもしれない。でも男性側は全力で気を使っていた。この温度差が、何もなかった夜を生む。
ぱっと見でわからないのが厄介なんだけど、この場合は次の行動に差が出る。次のデートへの誘いが早い、連絡頻度が上がる、次に会ったときの距離感が縮まっている。何もなかった夜の後の動きを見ると、この種類かどうかがある程度わかる。
友達として呼んだ
これが一番きつい話だ。男性側に最初からそういう意図がなかったパターン。家に呼ぶ、イコール何かある、という図式は女性側の感覚で、男性側には必ずしもその図式がない場合がある。
友達として楽しい時間を過ごせた、で完結している男性が実際にいる。相談所でも、女性会員から家に呼ばれたけど何もなくて、これどういう意味?という相談を受けたことが何度もある。男性側に確認すると、普通に仲良いから呼んだだけ、という答えが返ってくることがあった。
友達として呼んでいた場合、何もなかった後の連絡がいつも通りだ。特別に増えない、特別に減らない。温度が変わらない。これが一つの判断材料になる。
タイミングを計っていた
動こうとしていたけど、タイミングが読めなかった、というパターンもある。会話の流れを見ていた、相手の雰囲気を読んでいた、でも最後まで踏み切れなかった。
内田さんという28歳の男性会員は、好きな女性を家に呼んで、結局何もしなかった。理由を聞いたら、ずっとタイミングを見てたけど、楽しそうにしてくれてたからこのままでいいかと思った、と言っていた。
楽しそうにしているから、崩したくなかった。空気を変えることへの躊躇だ。何もしなかったのに、どことなく満足そうな顔をしていた内田さんを今でも覚えている。その夜が楽しかったのは本当だったんだと思う。
単純に読めていなかった
これも現実として書いておかないといけない。女性が来てくれた、嬉しい、楽しかった、以上。それだけで終わっている男性も一定数いる。
相手が自分の家に来ることの意味を、深く考えていない。または、考える習慣がない。鈍い、と言えば鈍いけど、悪意がない分、扱いに困る。
この種類の男性は、こちらが何かアクションを起こさない限り、何も変わらないまま時間だけが過ぎる可能性がある。
何もなかった夜の後、どう動くか
何もなかったことを、どう解釈するかで次が変わる
何もなかったことを、脈なしと判断して距離を置くか、むしろ信頼の表れと受け取って関係を深めていくか。この判断が、その後の関係の方向を決める。
正直なところ、外から判断するのは難しい。でも一つだけ確認できることがある。その夜、相手はこちらのことをちゃんと見ていたかどうかだ。話をちゃんと聞いていたか、気を使っていたか、帰るときに名残惜しそうだったか。
何もなかったけど、相手がこちらを大事に扱っていたなら、その何もなかったには意味がある。逆に、何もなかった上に、こちらへの興味もあまり感じられなかったなら、友達以上の関係を望むのは難しいかもしれない。
次に会ったときに少しだけ確認できること
直接聞くのが一番早いけど、聞けない場合もある。次に会ったときに見ておくといいのは、距離感の変化だ。
何もなかった夜の後に、前より近い距離感で接してくるなら、あの夜が相手の中でプラスとして機能していた可能性がある。逆に、距離感が変わらないか、少し遠くなったなら、関係が進む方向にはいないかもしれない。
距離感の変化は、言葉より正直だ。
何もなかったことを後悔している場合の話
自分から動けばよかった、という気持ちへ
何もなかった夜の後で、自分から何かアクションを起こせばよかった、と思っている女性もいると思う。相談所でも、そういう後悔を話してくれた女性が何人かいた。
その後悔は、次に使えばいい。一度の夜で全部が決まるわけじゃない。何もなかった夜が、関係の終わりを意味するわけでもない。
坂本さんのケースで言うと、女性側が次のデートで少し距離を縮める動きをしたことがきっかけで、関係が進んだ。何もなかった夜から3週間後の話だ。最初の夜が何もなかったことを、後から二人で笑って話していた。
何もなかった夜は、関係の途中にある一場面でしかない。
何もなかったことで、見えてきたものもある
何もなかった夜の翌朝、気持ちを整理してみると、案外いろんなことが見えてくる。あの夜、相手のどういう部分が好きだったか。何もない部屋でどんな話をしたか。楽しかったか、それとも気まずかったか。
何も起きなかったからこそ、二人の間にある素の空気感だけが残る。その空気感が心地よかったなら、それは十分な根拠だ。何もなかった夜の質が、関係の土台の質を教えてくれる。
男性の家に行って何もなかった経験の、本当の意味
何もない夜が、一番大事な夜になることがある
相談所でいくつかのカップルから、一番印象に残っているデートの話を聞いたことがある。高級レストランでのデートより、映画館でのデートより、男性の家で何もしなかった夜を挙げたカップルが複数いた。
何もなかったからこそ、二人だけの時間があった。余計なものがなかった。その夜のことを、どちらともなく覚えていた。そう考えると、あの夜も良かったんだね!
