口下手だから恋愛できない、は思い込みかもしれない
口下手な女性が恋愛で苦労しているのを、相談所で何年も見てきた。でも正直、口下手だから恋愛がうまくいかない、という因果関係は、現場で見ていると半分しか正しくない。口下手でも交際が続く女性がいる。口下手でも成婚する女性がいる。逆に、話が達者なのに次々と関係が壊れていく女性もいる。7年間で見えてきたのは、うまくいくかどうかを決めているのは話す量じゃないということだ。口下手という言葉でひとまとめにされているけど、何が問題で何が問題じゃないかをみていこう。
口下手の中身は、実は全然違う
口下手という状態にも種類がある。緊張すると言葉が出なくなるタイプ、自分の考えを言語化するのが苦手なタイプ、話題を見つけられないタイプ、相手の反応が怖くて言葉を飲み込むタイプ。全部、外側の見え方は同じ口下手でも、内側の原因が違う。
原因が違えば、対処が変わる。口下手を直そう、という方向より先に、自分の口下手がどの種類かを知ることの方が大事だ。
口下手な女性が恋愛でぶつかりやすい壁
初対面で印象が薄くなる
相談所のお見合いという場は、初対面の印象がその後を大きく左右する。口下手な女性が最初にぶつかるのがここだ。反応が薄い、質問に短く答えて終わる、沈黙が続く。男性側のフィードバックに興味があるのかわからなかった、という言葉が出てくる。
28歳の事務職、実咲さん、お見合いのたびに同じフィードバックが来ていた。感じが悪いわけじゃない、でも何を考えているかわからない、と。本人は緊張していただけで、相手のことは気に入っていた。でもその気持ちが全く伝わっていなかった。これが口下手な女性の最初の壁だ。気持ちはあるのに、伝わらない。
関係が深まりにくい
交際が始まっても、会話が弾まないと関係が表面的なままになりやすい。男性側が話し続ける形になって、段々と疲れてくる。質問しても短い答えしか返ってこない、こちらの話への反応が薄い。そういう積み重ねで、この人と深い関係になれる気がしないという感覚が男性の中に生まれてくる。話す量の問題というより、受け取っている感が伝わっているかどうかの問題だ。
気持ちを伝えるタイミングを逃し続ける
口下手な女性は、感謝や好意をその場で言えないことが多い。言おうと思っているうちに話題が変わる、タイミングを探しているうちに機会が消える。結果として、気持ちが伝わらないまま関係が進む。
男性から見ると、好意があるのかないのかわからない状態が続く。脈があるかどうかわからない相手に対して、本気でアプローチし続けるのはなかなか難しい。口下手が、相手の本気度を下げる方向に働いてしまう。
口下手な女性が恋愛で強い部分、これが意外だった
聞き上手になりやすい
ここが現場で一番意外だと感じてきた部分だ。口下手な女性は、聞くことが得意な場合が多い。自分が話せない分、相手の話を受け取ることに集中できる。うんうんと頷く、目を見て聞く、話の細部を覚えている。これが男性に刺さる。
相談所で男性会員のフィードバックを聞いていると、話が上手な女性より、ちゃんと聞いてくれる女性への評価が高いケースが実際に多かった。この人と話していると気持ちいい、という感覚の正体は、話す量じゃなくて聞かれている感覚だったりする。
口下手は弱点に見えて、聞く力という強みを引き出す可能性がある。
言葉に重みが出る
あまり話さない人が発する言葉は、よく話す人の言葉より重く届く場合がある。普段口数が少ない人が一言何かを言ったとき、受け取る側がきちんと聞く体勢になる。言葉の希少性が、言葉の重みを上げる。
実咲さんが交際に発展した男性から後で聞いた話がある。お見合いの終盤に実咲さんが一言だけ、今日すごく話しやすかったです、と言ったらしい。その一言だけで、会いたいと思った、と男性は言っていた。ずっと静かだった人から出てきた一言だったから、重さが違った。口下手は、言葉の密度を上げる。これは話し上手な人には出せない武器だ。
嘘をつきにくい
口下手な女性は、言葉で取り繕うのが苦手な分、正直さが出やすい。話が上手な人は言葉で印象を操作できる。でも口下手な人はそれが難しい分、表情や態度に本音が出やすくなる。
男性は意外とこれを感じ取っている。この人は嘘をつかないな、という安心感が、信頼感に変わっていく。話が上手で印象を作るのが得意な女性より、口下手で正直さがにじみ出る女性の方が、長く付き合うときに信頼されやすいという場面を何度も見てきた。
口下手な女性が恋愛でやってしまいがちな失敗
黙ることと、考えていることを混同させてしまう
沈黙が続いたとき、男性側は相手が何を考えているかわからなくなる。つまらないのか、不機嫌なのか、自分のことが嫌いなのか。口下手な女性の沈黙は、いろんな意味に読まれてしまう。
沈黙が続くときに、一言だけ添えられると全然変わる。ちょっと緊張してます、とか、何話そうか考えてました、とか。その一言が、沈黙の意味を変える。黙っていることへの説明が一言あるだけで、男性側の受け取り方が全然違ってくる。
話せなかった罪悪感で自分を追い込む
デートの後に、今日も全然うまく話せなかった、と落ち込む。次のデートでは頑張ろうとして、余計に緊張する。緊張するからまた話せない。こうなると自分を責め続けることが、次の場をさらに重くしてしまう。話せなかったことより、また会いたいと思えたかどうかの方が大事だ。そっちに意識を向けた方がいい。
LINEも短くなりすぎる
口下手な女性は、LINEも短くなりやすい。了解です、ありがとうございます、楽しかったです。一言で終わる返信が続くと、男性側の熱量が下がっていく。
対面での口下手はある程度仕方ない部分もあるけど、文章は時間をかけて書けるから少し補える。LINEの返信に、もう一文だけ足すことができると、印象が全然変わる。今日楽しかったです、の後に、次また行けたらいいなと思ってます、を足すだけでいい。
口下手な女性が恋愛でうまくいくために
話すより先に、反応を磨く
口下手を直そうとするより先に、反応を磨く方が早い。話す量を増やすことは難しくても、相手の話に対してリアクションを少し大きくすることは練習できる。うなずく、目が合ったときに少し笑う、相手の言葉を繰り返す。それだけで、聞いてもらえている感が相手に伝わる。話せなくても、受け取れていることが伝わると、男性はまた話したくなる。この好循環が生まれると、会話が続きやすくなる。
実咲さんが変えたのも、まずここだった。言葉の量は変えず、頷き方と表情を意識し始めただけで、男性側のフィードバックが変わり始めたと報告してくれた。
一言の質を上げる
たくさん話そうとしなくていい。言う一言の質を上げることに集中する。相手が話した内容の中で、一番面白かった部分、一番印象に残った部分を一言だけ返す。それだけで、ちゃんと聞いていたという事実が伝わる。
さっき言ってた話、面白かったです、と言えるだけで十分だ。どこが面白かったかを一言足せたら、さらにいい。言葉の量じゃなくて、言葉の精度が関係を深める。
緊張していることを、正直に言ってしまう
これが一番早い方法だと思っている。緊張すると言葉が出なくなるタイプの口下手なら、緊張してますと正直に言ってしまう方が、沈黙より圧倒的に印象がいい。
男性側からすると、無口な人より、緊張していると言ってくれた人の方がずっと親近感が持てる。緊張しているということは、この場を大事にしている証拠でもある。その正直さが、関係の入口になることがある。
相談所のお見合いで、冒頭に緊張しています、と言い添えた女性が、その後のフィードバックでかわいかったと言ってもらえたケースを何度も見てきた。口下手の正直な開示が、武器になる瞬間がある。
口下手のまま愛された女性たちの話
直さなくていいこともある
実咲さんは結局、口下手が直ったわけじゃなかった。でも成婚退会した。相手の男性は、口数が少ないところが落ち着いて好きだと言っていた。
口下手を欠点として捉えてずっと悩んでいたのに、その口下手を好きだと言われた。本人がそれを聞いたときの顔を、今でも覚えている。少し泣いていた。
口下手を直そうとして消耗するより、口下手な自分と相性がいい相手を見つけることを考えた方がいい場合がある。話し上手な人を好む男性もいれば、静かな人の横にいると落ち着くという男性もいる。前者には選ばれなくていい。後者に出会えればいいだけだ。
口下手は個性で、欠点ではない
見てきた中で、口下手のせいで一生恋愛できない女性は一人もいなかった。うまくいかない時期が続いている女性はいたけど、口下手という特徴そのものが原因になっていたケースは実はほとんどなかった。
うまくいかなかった本当の理由は、口下手を欠点として抱えすぎて萎縮していたことの方が多かった。萎縮すると表情が硬くなる、目が合わせにくくなる、その全体的な雰囲気が相手に伝わる。口下手より、そっちの方が問題になっていた。口下手はただの個性で、欠点ではないから武器にもなるんだよね。
