ブロックという行為が持つ、重さの話
ブロックは、ただの操作じゃない。連絡が来なくなる、既読が消える、名前がグレーアウトする。それだけのことだけど、受け取った側には何かが確定した感覚が来る。音信不通や既読無視と違って、ブロックには意図がある。偶然じゃない、気づかれないわけじゃない、相手が選んでやった行為だ。
なぜわざわざブロックするのか。結婚相談所でアドバイザーをやってきた経験と、ブロックにまつわる相談を何件も受けてきた立場から書いていくよ。
ブロックと単なる連絡を絶つことの違い
連絡を返さない、既読をつけない、これらは消極的な断絶だ。相手への直接的な意思表示ではない。でもブロックは違う。相手からの接触を物理的に遮断する、能動的な行為だ。
この違いが、ブロックされた側に与えるインパクトの違いを生む。返信が来ないのは、何かの事情があるのかもしれない、という解釈の余地がある。ブロックには、解釈の余地がない。
わざわざブロックする人の心理、パターン別に読む
完全に終わらせたいという強い意思がある
一番多いパターンだ。曖昧な状態を終わらせたい、連絡が来る可能性を完全に消したい、という強い意思からブロックが来る。
このパターンのブロックは、相手への感情が冷めたというより、関係の継続への強い拒否感から来ていることが多い。何か決定的なことがあった、または積み重ねがある段階を越えた、そういう状況で出てくる。
32歳の女性会員、茜さんが相談所に来る前の交際相手をブロックした経験を話してくれた。別れを告げた後も連絡が続いてきた、無視しても来る、既読無視しても来る。耐えられなくなった段階でブロックした、と言っていた。ブロックは最後の手段だった、と。
別れを告げても連絡が続く状況に対して、ブロックが唯一の手段になっていた。この場合のブロックは、感情の問題じゃなくて身を守るための行動だ。
連絡が来ることへの恐怖がある
ブロックする理由の中に、連絡が来ることへの恐怖がある場合がある。また何か言ってくるかもしれない、見てしまったら揺れるかもしれない、反応してしまうかもしれない。その可能性を完全に消すためのブロックだ。
このパターンは、相手への感情がまだ残っている場合に出やすい。完全に冷めているなら、連絡が来ても対処できる。でも感情が残っているから、来た場合の自分の反応が怖い。だから完全に遮断する。
逆説的だけど、ブロックした側にまだ感情が残っていることがある。ブロックされたからといって、相手が完全に自分への気持ちを失ったとは限らない。この理解は、ブロックされた側が持っておくといい視点だ。
自分を守るための境界線を引いている
モラハラ、執着、過度な連絡、精神的な消耗。そういう状況に置かれたとき、自分を守るためにブロックという境界線を引く場合がある。
このパターンのブロックは、相手への評価の話ではなくて、自分の状態を守るための行動だ。ブロックした側に責任があるわけじゃない、むしろブロックするまでに追い詰められていた状況がある。
相談所で、ストーカー的な行動をとる元交際相手をブロックした会員さんの相談を何件か受けてきた。ブロックすることへの罪悪感を感じている人が多かった。でもその状況では、ブロックは自己防衛の正当な手段だ。罪悪感を持つ必要はない。
感情的になった瞬間にブロックした
喧嘩の最中、感情が爆発した瞬間に衝動的にブロックするパターンがある。冷静な判断からじゃなくて、その瞬間の感情の勢いでやってしまった、という場合だ。
このパターンは、後から後悔することがある。冷静になってからブロックを解除する、または解除せずにそのまま終わらせてしまう、どちらかに分かれる。衝動的なブロックが関係の終わりになったケースも、そうならなかったケースも、現場で見てきた。
衝動的なブロックかどうかは、それまでの関係の文脈と、ブロックの前に何があったかで判断できる。突然のブロックで、直前に何かがあった場合は衝動的なパターンの可能性がある。
相手に罰を与えたいという感情から来ている
傷つけられた、怒っている、わからせたい。そういう感情からブロックする場合がある。完全に終わらせたいというより、相手に自分がいなくなった喪失感を味わわせたい、という動機だ。
このパターンのブロックは、一定期間後に解除されることがある。罰として使っているから、目的が達成されたと感じたときや、感情が落ち着いたときに解除する。または解除を待っているのに反応がなくて、そのまま終わるケースもある。
このパターンが一番、受け取った側を消耗させる。終わりなのか終わりじゃないのかわからないまま、ただブロックされた事実だけがある。
ブロックした後、相手はどういう状態にあるか
ブロックした側も消耗していることが多い
ブロックされた側は傷つく。でもブロックした側も、ブロックするまでに何かが積み重なっていた。その積み重ねが、ブロックという行動を選ばせるところまで来ていた。
ブロックは、衝動的なパターン以外では、かなりのエネルギーを使った末の決断だ。完全に終わらせたいと決めるまでに、何かがあった。その何かを、ブロックされた側が知らない場合が多い。
後悔しているケースもある
衝動的なブロックだった場合、後悔しているケースがある。でも一度ブロックしてしまうと、解除するための心理的なハードルが上がる。解除したら連絡が来るかもしれない、どう思われるかわからない、解除したこと自体をどう説明するか。
後悔しているのに解除できないまま時間が経って、そのまま終わるというケースを相談所で見たことがある。ブロックという一つの行動が、修復できたかもしれない関係を終わらせてしまっていた。
ブロックされたとき、どう向き合うか
別の手段で連絡しようとしない方がいい
ブロックされた後に、別のSNSから連絡する、メールを送る、電話をかける。これをやると、ブロックした側の判断を無視していることになる。ブロックという行為は、この相手からの連絡を受け取りたくないという意思表示だ。別の手段で来ることは、その意思を踏み越えている。
別の手段からの連絡が来ると、ブロックした側の判断が正しかったという確信を強化することになる。やめた方がいい。
理由を知りたいという衝動と向き合う
なぜブロックされたのか知りたい、という衝動は当然出てくる。でもその理由を追いかけることが、自分にとっていいかどうかを考える必要がある。
理由がわかったとしても、ブロックという事実は変わらない。理由を知ることで納得できる場合もあるけど、知ることでさらに傷つく場合もある。理由を追いかけることに、どこまでエネルギーを使うかを自分で決める必要がある。
ブロックされた事実を受け取る
ブロックという行為は、相手が選んだ行動だ。その選択を尊重することが、自分のためにもなる。受け取ることへの辛さは本物だ。でもブロックされた状態で関係を続けようとすることは、存在しない扉を開けようとし続けることに近い。
茜さんは後に相談所で出会った相手と交際が続いている。ブロックした経験を振り返って、あのとき自分を守るために必要な行動だった、と言っていた。そしてブロックされた経験もあると話してくれた。ブロックという行為は、関係の終わり方として最も明確なものの一つだ。
