はっきり言う人が、最初は怖かった
相談所に勤め始めた頃、はっきり言う会員さんが苦手だった。お見合いの感想を聞いたら、全然タイプじゃなかったです、と開口一番に言われる。交際中のアドバイスをしたら、そのやり方は違うと思います、と即座に返ってくる。オブラートに包むという概念がない人たちだと思っていた。
でも7年間で見方が変わった。はっきり言う人の多くは、意地悪でも無神経でもなかった。むしろ、独特の優しさを持っていた。その優しさの形が、一般的な優しさと見た目が全然違うだけだった。
はっきり言う人と、ただ失礼な人の違い
はっきり言う人と、ただ相手への配慮がない人は別物だ。はっきり言う人は、内容を正直に言う。でも相手への配慮がある。言い方を考えている、タイミングを選んでいる、言った後の相手の状態を気にかけている。
ただ失礼な人は、内容も言い方も相手への配慮がない。思ったことをそのまま出す、相手が傷ついても気にしない、言葉の選択に意図がない。この差が、はっきり言う人を優しいと感じさせるかどうかを分けている。
はっきり言う人の心理、内側で何が動いているか
相手を信頼しているから言える
はっきり言う人は、相手が本音を受け取れると信頼している場合が多い。この人は正直に言っても大丈夫、という判断があってはっきり言える。
逆に言うと、信頼していない相手にははっきり言わない場合がある。どうせ理解してもらえない、傷つけるだけだ、という判断がある相手には、当たり障りのないことを言う。はっきり言われているということは、信頼されているサインでもある。
相談所で、はっきりした意見を言ってくれる会員さんほど、長い付き合いになることが多かった。最初はキツいと感じても、その人の言葉は信頼できると思えるようになっていく。当たり障りのないことしか言わない人より、関係が深くなりやすかった。
曖昧にすることへの罪悪感がある
はっきり言う人の多くは、曖昧にすることへの罪悪感を持っている。本当はそう思っていないのに、いいですねと言う、大丈夫じゃないのに大丈夫と言う、これが相手への不誠実だという感覚がある。
だからはっきり言う。相手をごまかすことへの抵抗感が、正直な言葉を選ばせている。これは相手への誠実さから来ている行動だ。
35歳の女性会員、澪さんははっきり言いすぎて怖いと思われると悩んでいた。でも話を聞くと、曖昧なことを言って相手を傷つけた経験がトラウマになっていたと言っていた。あのときはっきり言っていれば相手が早く前に進めたのに、という後悔から、正直に言うことを選ぶようになっていた。はっきり言うことが、相手への配慮だった。
時間を大切にしている
はっきり言う人は、自分の時間も相手の時間も大切にしている場合が多い。曖昧にすることで、お互いの時間が無駄に過ぎていくことへの抵抗感がある。
婚活の場では特にこれが出やすい。相手に気持ちがないのに、なんとなく続けることへの罪悪感がある。だからはっきり言う。相手が早く次に向かえるように、という配慮でもある。
相談所で、気持ちがないと判断したら早めに伝える女性会員がいた。はっきり言いすぎ、という声もあったけど、お断りされた男性側のフィードバックを聞くと、早く教えてもらえてよかった、という言葉が出ることが多かった。はっきり言われた側が、救われていた。
はっきり言う人が恋愛でどう見られるか
最初は怖い、でも後から信頼される
はっきり言う人への評価は、時間軸で変わることが多い。最初の印象は、キツい、怖い、近づきにくい。でも関係が続くにつれて、信頼できる、安心できる、という評価に変わっていく。
この逆転が起きる理由は、言葉の信頼性だ。当たり障りのないことしか言わない人の言葉は、本音なのかどうかわからない。でもはっきり言う人の言葉は、本音だとわかる。だから、いいと言われたときの重みが全然違う。はっきり言う人から、あなたのことが好きだと言われたとき、その言葉はそのまま信頼できる。お世辞じゃないとわかる。その重みが、関係の安定感に繋がっていく。
褒め言葉が刺さる
はっきり言う人が褒めるとき、それが本音だとわかる。だから受け取る側に深く刺さる。普段批判的なことも正直に言う人が、珍しく褒めてくれたとき、その言葉の重みは何倍にもなる。
相談所で、はっきり言う女性会員からのフィードバックに、あの人の話し方が好きだった、という言葉が出たとき、男性側の反応が一際大きかったことがある。この人が言うなら本当だと思えた、という言葉が返ってきた。はっきり言う人の肯定は、肯定の価値が高い。
関係の中での誤解が少ない
はっきり言う人と付き合うと、関係の中での誤解が少なくなる。思っていないのにいいと言わない、大丈夫じゃないのに大丈夫と言わない。だから相手は、相手の言葉をそのまま受け取れる。読み合いをしなくていい。
曖昧な言葉を使う人との関係では、言葉の裏を読み続けなければならない。本当にいいと思っているのか、大丈夫じゃないのに言っているのか、常に解読が必要になる。これが積み重なると関係が消耗する。はっきり言う人との関係は、この消耗が少ない。
はっきり言う人の弱点と、それへの向き合い方
言い方で損をすることがある
はっきり言うことの内容は正しくても、言い方で損をすることがある。タイミングが悪い、言葉が直接的すぎる、フォローがない。正直さが先に立って、相手への届け方が雑になってしまうことがある。
澪さんの悩みもここだった。言っている内容は正しいと自分でもわかっている、でも相手が傷ついている、というズレが続いていた。正直さと、言い方の工夫は、別の話だ。正直であることと、丁寧に届けることは、両立できる。
全員にはっきり言う必要はない
はっきり言うことを美徳として、どんな相手にも同じようにやると、関係が壊れることがある。相手によって、受け取れる正直さの量が違う。
どこまで正直に言うかを、相手との関係の深さと相手の状態に合わせて調整できる人が、はっきり言う人の中でも特に信頼される人だ。全開で正直にいくか、少し配慮して伝えるかの判断ができることが、はっきり言う人の成熟した形だと思っている。
はっきり言える人との恋愛の話
喧嘩が早く終わる
はっきり言える人同士の関係、またははっきり言える人と付き合うとき、喧嘩の解決が早い傾向がある。何が嫌だったか、何に傷ついたかが言葉になって出てくるから、問題の所在が見えやすい。曖昧なまま引きずらない。
言えないまま溜め込んで、ある日爆発するパターンの喧嘩より、その都度はっきり言い合う関係の方が、長期的には安定する。喧嘩の頻度より、喧嘩の解決の速さの方が、関係の長さに影響する。
安心感がある
はっきり言う人と付き合うと、言葉を信頼できるという安心感がある。好きと言われたら好きなんだとわかる、大丈夫と言われたら大丈夫なんだとわかる。言葉の裏を読む必要がない安心感は、関係を落ち着かせる。
澪さんは最終的に、やはりはっきり言う男性と交際が始まった。お互いに正直に言い合える関係が、初めてできた気がすると言っていた。最初はぶつかることもあったけど、でも言葉を信じられる関係って、こんなに楽なんだと笑っていたよ。
