自分から振ったのに、なぜか気になっている
振ったのは自分だ。それは間違いない。でも別れてから、なぜかその人のことが頭から離れない。SNSを見てしまう、共通の知人から近況を聞いてしまう、夢に出てくる。自分でも意味がわからない。振ったのに、なぜ。
結婚相談所でアドバイザーをやってきて、振った相手への感情を引きずって活動に来た会員さんを何人も見てきた。その感情が本物かどうかを見極める難しさを、現場で繰り返し経験してきた。
振った相手を好きになる現象は、思っているより複雑だ
振った相手が気になり始めたとき、それが本当に好きになったのか、それとも別の感情なのかを区別することが難しい。失ったものへの惜しさ、孤独からの逃げ、または相手が変化したことへの新鮮な感情。これらが全部、好きになった、という感覚として出てくることがある。
どの感情なのかによって、次の行動が変わってくる。混同したまま動くと、自分も相手も傷つく可能性がある。
振った相手を好きになる心理、パターン別に読む
相手が変わったことで、新しい魅力を感じた
振った後に、相手が変わっていた。以前より自信を持っている、楽しそうにしている、成長している。その変化が新鮮に映って、気になり始めるパターンがある。
付き合っていたときは気づかなかった魅力が、少し距離を置いてから見えてくることがある。または相手が実際に変化して、以前とは違う人になっている場合もある。
このパターンは、本物の好意に近い場合がある。付き合っていたときの相手への感情じゃなくて、今の相手への新しい感情として生まれているからだ。
33歳の男性会員、理人さんは相談所に来る前に、2年付き合った女性を振った経験があった。半年後に共通の友人の集まりで再会したとき、雰囲気が全然変わっていた、と話してくれた。以前は自分に依存している感じがあって重かったけど、再会したときは一人でしっかり立っている感じがして、その姿に惹かれた、と。
相手が離れていくことへの恐怖から来ている
自分から振っておいて、相手が他の誰かと仲良くしているのを知った瞬間に、急に気になり始めるパターンがある。相手がいなくなりそうになって、初めて存在の大きさに気づく。
これは好きになったんじゃなくて、失うことへの恐怖から来ている可能性が高い。相手が自分のものだと思っていた感覚が、失われかけた瞬間に出てくる感情だ。これが一番厄介なパターンだ。本人は好きになったと思っている。でも実際には、コントロールを失いかけていることへの不安が、好意の形をとって出てきているだけかもしれない。
一人でいることへの孤独から来ている
振った後、一人になって孤独を感じ始めたとき、付き合っていた頃の温かさを思い出す。あの人といると孤独じゃなかった、という記憶が、好きだったという感情に変換されてしまう。孤独を感じているタイミングで振った相手のことを思い出すのは、その人が好きだからじゃなくて、孤独が嫌だからだ。この区別ができていないまま動くと、相手に対して不誠実な動きになってしまう。
記憶が美化されてきた
時間が経つにつれて、付き合っていたときの記憶から嫌な部分が薄れていく。いい思い出だけが残る。そのいい思い出への感情が、今も好きという感覚として出てくる。
でも美化された記憶への感情は、今の相手への感情じゃない。過去のその人への感情と、今のその人は別物だ。時間が経てば人は変わっている。美化された記憶の中の相手と、今の相手は同一じゃない。
振った相手を好きになったとき、自分に問うべきこと
なぜ振ったのかを、正直に思い出す
振った理由があったはずだ。その理由を、正直に思い出すことが最初にやるべきことだ。価値観が合わなかった、気持ちが薄れていた、別に好きな人ができた、将来が見えなかった。
その理由が、今も解決されていないなら、同じ関係に戻っても同じ結末になる可能性が高い。振った理由が解決されているか、または自分の見方が変わったなら、話は変わってくる。
理人さんに、なぜ振ったのかを聞いた。相手が自分に依存しすぎていて、息が詰まっていた、と言っていた。再会して感じた変化は、まさにその依存が消えていることだった。振った理由が、時間をかけて解決されていた。だから今感じている感情には、根拠があった。
今の感情が、どの種類か確認する
相手への感情が、失うことへの恐怖か、孤独からの逃げか、記憶の美化か、または本物の好意か。この確認をせずに動くと、自分の感情を誤読したまま相手を振り回すことになる。
確認の方法は、相手のいない状況で自分が充実しているかどうかを見ることだ。孤独で一人でいることが辛い状態での感情は、相手への感情じゃなくて孤独への反応の可能性が高い。一人でも充実しているのに、相手のことが気になるなら、より本物に近い。
相手の今の状況を考える
振られた側の相手は、別れた後に傷ついている。時間をかけて立ち直ってきた可能性がある。または新しい誰かとの関係を始めているかもしれない。
自分の感情が動いたからといって、すぐに行動することが相手のためになるとは限らない。相手の状況を考えずに動くことは、自分の感情の処理を相手に押しつけることになる。
振った相手への気持ちを確認した後、どう動くか
本物の感情だと確認できたなら
振った理由が解決されている、孤独や恐怖からじゃない、相手への本物の好意があると確認できたなら、動くことができる。でも動き方に誠実さが必要だ。
相手への連絡は、自分の感情を押しつける形にしない。また会えないか、話したいことがある、という形で、相手に選択の余地を渡す。来るかどうかを相手が決められる状態にする。
相手がすでに新しい関係に進んでいる場合、その関係を壊そうとすることは誠実じゃない。相手の幸せを考えた上で、自分がどう動くかを決める必要がある。
本物じゃない感情だとわかったなら
孤独から来ている、恐怖から来ている、記憶の美化から来ている。そうわかったなら、相手に連絡することは止める必要がある。自分の感情の問題を、相手を巻き込んで解決しようとすることになるからだ。
この場合、自分の孤独や不安と向き合うことが先だ。その向き合いができないまま相手に連絡することは、相手への不誠実に繋がる。
振った相手と復縁した場合の現実
同じ関係に戻るわけじゃない
振った相手と復縁しても、以前の関係に戻るわけじゃない。お互いに時間が経って変わっている。以前の感覚を期待していると、違和感が出てくることがある。
理人さんは再会した女性に、もう一度会えないかと連絡した。相手も会ってくれた。でも理人さんが言っていたのは、以前と全然違う人みたいだった、という感想だった。以前の彼女とは別の人として向き合わないといけないと気づいた、と。
復縁は過去への回帰じゃなくて、新しい関係を始めることだ。この感覚を持てるかどうかが、復縁がうまくいくかどうかに直結するよ。
