いい人なのに、なぜか楽しくないのはなぜ?
優しい、誠実、真面目、浮気しなさそう、親に紹介できる。条件は揃っている。客観的に見ていい人だとわかっている。でも一緒にいてなんか楽しくない。会う前より会った後の方が疲れている。そして、そう感じる自分が嫌だ。この罪悪感を抱えている人は多い。
いい人と楽しい人は、全然別の話だ
いい人というのは、誠実さや安定感の話だ。楽しい人というのは、一緒にいるときの感情の動き方の話だ。この二つは全く別の軸にあって、重なる場合もあるけど、重ならない場合も普通にある。いい人だけど楽しくない、という感覚は矛盾していない。二つの別の評価が同時に出ているだけだ。矛盾していないのに、なぜか矛盾しているように感じて罪悪感が生まれる。その罪悪感が、判断を曇らせる。
一緒にいて楽しくないとき、何が起きているか
会話が広がらない
一緒にいて楽しくない状態の一番多い原因は、会話が広がらないことだ。何かを話しても、そうなんだ、で終わる。質問しても短く返ってきて終わる。話題を変えても、また同じような空気になる。
会話が広がらないと、二人の間に流れる時間が重くなる。沈黙が気まずくなる。何か話さなきゃというプレッシャーが生まれる。これが積み重なると、会う前から消耗し始めるようになる。
悠介さん、32歳の男性会員。交際中の女性についての相談で、話しても話しても広がらないと言っていた。質問しても答えが短い、こちらが話してもリアクションが薄い。いい人なのは間違いない、でもデートのたびに疲れると。
自分を出せない感覚がある
一緒にいて楽しくない理由の二つ目が、自分を出せない感覚だ。相手がいい人すぎて、気を使ってしまう。冗談を言ったら引かれそう、変なことを言ったら嫌われそう、テンションが高いと浮きそう。そういう遠慮が積み重なって、一緒にいるのに自分じゃない自分でいる時間になっていく。
自分を出せない時間は、楽しくない。どれだけいい場所でいい食事をしていても、自分じゃない自分でいる時間は疲れる。これは相手の問題でも自分の問題でもなくて、二人の間の空気感の問題だ。
感情が動かない
楽しいという感覚は、感情が動いている状態だ。笑う、驚く、ときめく、ドキドキする、共感する。こういう感情の動きが起きているとき、楽しいと感じる。いい人だけど楽しくないという状態は、一緒にいても感情が動いていない状態だ。
感情が動かないことへの罪悪感を抱える必要はない。感情は意志で動かせるものじゃない。動かないなら動かない理由がある。
いい人なのに楽しくない、その本当の原因を分けて考える
相性の問題である場合
どれだけいい人でも、相性が合わないことはある。会話のテンポが違う、笑いのツボが合わない、価値観が近いようで実は違う方向を向いている。相性はどちらかが悪いわけじゃなくて、組み合わせの話だ。相性の問題である場合、時間が経っても楽しくなる可能性は低い。努力で乗り越えられるものじゃなくて、最初からそういう組み合わせだった、ということが多い。
相談所で交際が終わったカップルの破談理由で、相性が合わなかった、という言葉が出てくるとき、掘り下げると会話が噛み合わなかった、一緒にいて楽しいと思えなかった、という内容がほぼ毎回出てきた。
まだ打ち解けていない段階である場合
交際して間もない段階では、まだお互いに遠慮している部分がある。緊張がある。本来の自分を出し切れていない。その段階では、一緒にいて楽しくないという感覚が出ても当然だ。
この場合は、時間をかけて関係が深まるにつれて変わっていく可能性がある。3ヶ月経った頃に急に楽しくなった、というカップルを相談所で何組か見てきた。最初の数ヶ月の楽しくない感覚だけで判断するのは早い場合がある。見分け方は、会うたびに少しずつ変化があるかどうかだ。毎回同じ重さが続いているなら相性の問題で、少しずつ距離が縮まっているなら打ち解けていく途中の可能性がある。
自分側に原因がある場合
一緒にいて楽しくない感覚が、自分側の状態から来ている場合がある。仕事で疲弊している、別の人への気持ちがある、そもそも今恋愛に向き合える状態じゃない。そういうとき、相手がどれだけいい人でも楽しくなれない。この場合、相手を変えても解決しない。自分の状態が変わらない限り、次の相手でも同じことが起きる。
相談所で複数の相手と交際してもいつも同じ感覚になるという女性がいた。どの相手もいい人だけど楽しくない。掘り下げると、仕事への不満が爆発寸前で、そちらに全部のエネルギーが向いていた。恋愛に向き合える状態じゃなかっただけだった。
楽しくない関係を続けることの代償
じわじわと自分が削れていく
楽しくない関係を続けることにはコストがある。会うたびに消耗する、会う前から憂鬱になる、一緒にいるのに孤独感がある。これが積み重なると、じわじわと自分のエネルギーが削れていく。このコストを軽く見ている人が多い。いい人だから続けなきゃという義務感で続けていると、気づいたときには相当消耗している。消耗した状態で関係を続けることは、相手にとっても公平じゃない。
楽しい関係を知らないまま結婚する可能性がある
これが一番怖い話だ。いい人だから、という理由で楽しくない関係を続けていると、これが普通だという感覚になっていく。恋愛ってこんなものか、と思い始める。
でも一緒にいて楽しい関係というものが実際にある。自分を出せる、笑える、会った後より会う前の方が楽しみ、という関係が存在する。それを知らないまま、いい人だからという理由だけで結婚に進んだカップルが、数年後に相談所に戻ってくるのを何度か見てきた。
楽しくない関係に向き合うための具体的な話
楽しくない原因を、一度だけ正直に確認する
相性の問題か、まだ打ち解けていない段階か、自分側の問題か。この三つのどれが近いかを、一度だけ正直に確認する。感情だけで判断せず、でも理屈だけでも判断せず、両方を使って確認する。
悠介さんに話を聞いていくと、交際2ヶ月で判断しようとしていたことがわかった。まだ打ち解けていない段階の可能性があった。もう少し続けてみて、変化があるかどうかを見てほしいと伝えた。3ヶ月後の面談で、少し変わってきた気がすると言っていた。会話が少し広がるようになってきた、と。
早く判断しすぎることと、だらだら続けることの間に、ちゃんと見極める期間がある。
楽しいと感じた瞬間があったかどうかを思い出す
全部が楽しくなかったのか、一瞬だけ楽しかった瞬間があったのか。この違いは大きい。一度も楽しいと感じたことがないなら、相性の問題である可能性が高い。でも一瞬だけ楽しかった瞬間があるなら、その瞬間が増やせる可能性がある。
楽しかった瞬間があるなら、その瞬間に何が起きていたかを考える。どんな会話をしていたか、どんな場所にいたか、相手がどんな様子だったか。そこに手がかりがある。
相手に正直に伝えることを考える
これが一番難しくて、でも一番大事なことかもしれない。楽しくないという感覚を、相手に正直に伝えることができるか。もっとこういう話がしたい、こういう時間を過ごしたい、という形で伝えることができると、関係が変わる可能性がある。言わずに終わるより、言って変わるチャンスを作る方がいい。
結局、楽しくない関係を続けるか終わらせるかの話
いい人を手放すことへの恐怖
楽しくない関係を終わらせることへの最大の障壁は、いい人を手放したら次はもっと悪い人しか来ないかもしれない、という恐怖だ。これは婚活の場では特に強く出る。年齢のプレッシャー、周囲との比較、次がいつ来るかわからない不安。楽しくない関係を恐怖から続けているカップルは、長くは続かなかった。恐怖をエンジンにした関係には、限界があるってのは覚えておいて。
