電車が遅れてて。もう家は出てる。スマホの充電が切れてた。
その場しのぎの嘘の定番は、だいたいこのあたり。
言った本人は、5分後にはもう忘れています。
覚えているのは、言われたほうだけ。
嘘そのものより、疑ってばかりの自分に疲れてくる。
その場しのぎの嘘をつく彼氏について調べると、答えは見事に両極端。
小さな嘘くらい、大目に見てあげよう。
嘘をつく男は、この先も信用できない。
結婚相談所で、交際中のカップルの揉めごとを聞いてきた。
その立場から言うと、どちらも肝心なところを見落としている。
その場しのぎの嘘の大半は、あなたを騙すための嘘じゃない。
怒られる数秒を、先送りしたいだけの嘘です。
注目したいのは嘘の中身より、ばれた瞬間の彼の第一声。
そこで、許していい嘘か、手放すべき嘘かが分かれる。
その場しのぎの嘘をつく彼氏の心理は、怒られる数秒の先送り
嘘をつく男は、ずる賢い。
そう思われがちだけど、相談所で出会った彼らは、むしろ不器用な側でした。
嘘の上手な人は、そもそもその場しのぎの嘘には手を出さない。
遅延ゼロの運行情報を見せられた彼
真剣交際中の30代の女性会員から、面談でこんな話を聞いた。
待ち合わせに20分遅れてきた彼が、電車が止まってて、と頭を下げた。
彼女はその場で、鉄道会社の運行情報を開いて見せたそうです。
平常運転、の文字!
彼は急にしどろもどろになって、最後は、寝坊しました、と白状した。
なんでそんな嘘を、と聞くと、子どもの言い訳のような一言が出てきた。
怒られると思って。
彼女が許せなかったのは、20分の遅刻じゃない。
電車のせいにして、自分の寝坊を消そうとしたこと。
寝坊なら、怒られるのは一瞬。
嘘がばれた今は、怒られる理由が一つ増えている。
冷静に計算すれば、まるで割に合わない。
それでも嘘をつく人は、目の前の数秒しか見えていないんです。
未来の自分に、怒られる分を借金で押しつけている感覚に近い。
(しかも、その借金には利息がつく)
その場しのぎの嘘は、怒られ慣れた人の防御反応
面談で彼らの身の上話に耳を傾けるうちに、ある共通点にぶつかった。
子どもの頃、テストの点数や門限で、とにかくよく怒られていた。
怒られる前にごまかせば、その場は助かる。
そうやって身につけた反射が、大人になっても抜けていない。
ある男性会員は、嘘をつく瞬間の感覚を、条件反射です、と言っていた。
考えるより先に、口が勝手に動く。
悪意がない分、本人も止め方が分からずにいる。
ただし、生い立ちは理由になっても、免罪符にはならない。
反射は、練習すれば上書きできるから。
合コンを女子会と言った、20代の私
これは、私自身の白状。
20代半ば、当時の彼に、合コンを女子会と言って出かけたことがある。
行ってみたら、まさかの男性陣の中に彼の大学の後輩がいた。
(世間って、マジで狭い)
翌朝には、全部ばれていた(泣)
あの時嘘をついた理由は、浮気心でも何でもない。
合コンと言ったら不機嫌になる顔が、目に浮かんだだけ。
その数秒の不機嫌を避けたくて、私は嘘という借金を選んだ。
しかも、その場しのぎだったはずの嘘を守るために、次の嘘まで用意していた。
女友達だけの写真を、アリバイ用に撮っておいたんです。
でも結局、返済は一晩の大げんかになって戻ってきた。
その場しのぎの嘘をつく人の頭の中は、おおむねこんなもの。
相手を出し抜く計画なんて、どこにもない。
あるのは、今この瞬間を穏便にやり過ごしたい、という弱さだけです。
その場しのぎの嘘と、計画的な嘘は別物
とはいえ、嘘をひとまとめに許していいわけじゃない。
その場しのぎかどうかで、危険度は大きく変わる。
消火器の嘘と、放火の嘘
その場しのぎの嘘は、小さな火を慌てて消すための消火器みたいなもの。
遅刻、忘れていた約束、出しそびれた連絡。
目の前の火を消したら、本人はそれで満足する。
話の作りは雑で、突っ込まれるとすぐ崩れる。
厄介なのは、あらかじめ用意された嘘。
こちらは消火器じゃなく、放火の後始末です。
聞いてもいないのに、昨日の行動を時間ごとに説明してくる。
これをやられてギョッとした女性会員もいた。
登場人物の名前や店の場所まで、妙に細かい。
質問すると、少しも迷わずに答えが返ってくる。
雑なはずの男が急に几帳面になったら、それは準備された嘘を疑っていい。
準備された嘘の裏には、表に出せない何かが控えている。
その場しのぎの嘘も、放っておくと準備された嘘に化ける。
私の女子会アリバイが、まさにそれでした。
嘘の中身より、嘘で守ろうとしたものを見る
もうひとつの見分け方は、彼が嘘で何を守ろうとしたか。
自分の見栄なのか、あなたの機嫌なのか、それとも隠しておきたい何かなのか。
身長を2センチ盛る男性は、意外と多い。
真剣交際に入る直前、ある男性会員は自分から白状した。
本当は172じゃなくて170なんです、と頭を下げて。
お相手の返事は、そんなの見れば分かります。
守っていたのは、ただの見栄。
二人は予定どおり、春に成婚退会した。
あなたの機嫌を守る嘘もある。
その服似合うね、の何割かは、おそらくこれ。
この種類の嘘は、責めるより、ありがたく受け取っておけばいい。
同じ時期、休日の予定をいつもぼかす男性会員もいた。
問い詰めるたびに、仕事、とだけ返ってくる。
あとで分かったのは、マッチングアプリで別の女性とも会っていたこと。
守っていたのは、知られたら終わる秘密そのもの。
見栄を守る嘘は許せても、秘密を守る嘘は、関係の土台を削っていく。
嘘がばれた瞬間の第一声で、彼の行く末が分かる
どんなにうまい嘘も、いつかはばれる。
本当の勝負は、ばれたその瞬間です。
逆ギレする彼は、嘘より怒りのほうが危ない
ばれた途端、突然声を荒らげる男性がいる。
疑うほうがおかしいだろ?そっちだって前に嘘ついたじゃん。
話のすり替えと、責任の押しつけが同時に始まる。
ここは言い切っておきます。
この反応が出たら、問題はもう嘘じゃない。
怒鳴る、物に当たる、黙って何日も無視する。
そういう形で返ってくるなら、癖を直す話は後回し。
まずは距離を取ることを考えてほしい。
一人で抱えこまず、信頼できる人に話すこと。
嘘を責めたら怒鳴られた、という相談は、相談所でも何度か受けた。
そのたびに伝えていたのは、あなたの聞き方のせいじゃない、ということ。
ごめんごめん、と笑って流す彼は、嘘の重さを知らない
ばれても、ごめんごめん、と笑って済ませる男性もいる。
悪気がないぶん、責めにくい。
ところがこのタイプは、同じ嘘を何度でも繰り返す。
嘘をついたこと自体を、冗談の延長としか思っていないから。
笑い話にするか決めるのは、嘘をついた側じゃない。
許した側です。
先に笑われたら、その場で真顔に戻していい。
怒られると思って、と言える彼には見込みがある
反対に、ばれたときに黙りこむ男性もいる。
顔を真っ赤にして、しばらく言葉が出てこない。
そのあとで、ごめん、怒られると思って、と絞り出す。
この第一声が出る人は、自分が何から逃げたのかを分かっている。
分かっている人は、直せる。
遅延ゼロの運行情報を見せられた彼も、この口だった。
彼女は、次から遅れるときは正直に言って、とだけ伝えたそう。
半年後の面談で、彼女は笑っていた。
最近は、寝坊した、ごめん、と先にLINEが来るんです。
白状してくれたら、まず、言ってくれてありがとう、から。
怒るのは、そのあとでいい。
順番を入れ替えると、次の白状が遠のく。
もっとも、その沈黙が反省なのか、次の嘘を練る時間なのか。
そこだけは、顔を見ても分からない場合がある。
その場しのぎの嘘を減らすために、彼女ができること
嘘をつく側が悪い。これは大前提です。
そのうえで、嘘が生まれにくい空気は、こちらからも作れる。
ここから書くのは、彼をかばう話じゃない。
あなたが疑い疲れしないための話です。
怒らないから言って、は言わないほうがいい
怒らないから、正直に言って。
彼女側が一番よく使う台詞かもしれない。
でもこれ、言った本人がたいてい怒る。
はぁ…私も何度やったことか。
一度、怒らないと言って怒られた男性は、次から絶対に白状しなくなる。
白状したら損をする、と学習してしまうから。
言うなら、こう。
怒るのは怒る、でも嘘のほうがもっと怒る。
怒りの予告と、嘘の値段を先に知らせておく。
正直に話したほうが安くつく、と彼に計算させるんです。
これを試した女性会員の彼は、翌週、言いにくい話を自分から切り出してきた。
来月から転勤が決まってて、と。
爆発しそうな夜は、その場で問い詰めず、一晩置く。
翌日なら、彼も白状しやすい。
スマホチェックは、嘘の腕前を上げるだけ
嘘を見抜きたくて、彼のスマホをのぞく人もいる。
のぞきたくなる夜があるのは、私にも覚えがある。
正直言って、スマホチェックで嘘が減ったカップルを見たことがない。
減ったのは、彼の脇の甘さだけ。
通知を切る、履歴を消す、ロックを変える。
見張られた男は、正直になるより先に、嘘が上手になる。
その場しのぎの嘘は、もともと雑な嘘です。
雑なうちは、ばれる。ばれるから、話し合える。
わざわざ鍛えて、ばれない嘘に育てることはない。
どうしても気になるなら、のぞくより、聞く。
スマホで見つけた嘘は、のぞいた事実とセットで、こちらの弱みにもなる。
口の端にカラメルをつけた夫と、プリンの行方
うちの話も、少しだけ。
冷蔵庫に入れておいた娘のプリンが、ある晩、消えていた。
夫に聞くと、ケロッとした顔で、知らない、と言う。
その口の端に、カラメルがついていた(笑)
私は吹き出して、口、と指さした。
夫も観念して、ごめん、食べた、と白状。
翌日、娘には新しいプリンが二つ届いた!
それ以来、うちではプリンに名前を書くようになった。
夫のプリンにも、もれなく名前入り。
笑える余白があると、嘘は長生きしない。
責められると決まっている場所でだけ、嘘は根を張る。
ただし、笑っていいのはプリン程度の嘘まで。
その場しのぎの嘘をつく彼氏と、結婚していいか
ここが、いちばん悩ましいところだと思う。
私の答えは、結婚する前に、癖の程度だけは見極めておくこと。
結婚すると、その場が毎日になる
付き合っているうちは、嘘が生まれる場面は限られている。
デートの遅刻、返し忘れたLINE、その程度。
ところが一緒に暮らすと、その場が毎日やってくる。
家計、飲み会、帰りの時間、ゴミ出し、親との約束。
真剣交際中に、禁煙しましたと言いながら、隠れて吸っていた男性会員がいた。
たかがタバコの嘘?
それでも彼女は、交際終了の連絡を入れた。
実は彼女、タバコそのものはそこまで嫌いじゃなかった。
この人と暮らしたら、毎日何かを疑いながら過ごすことになる気がして、と。
一つひとつの嘘は小さくても、積もると、疑う手間が生活に住みつく。
その手間に耐えられるか。
そこは、あなたにしか決められない。
結婚前に一つだけ確かめておくなら、お金にまつわる嘘の有無。
借金やカードの支払いをごまかす嘘は、その場しのぎの顔をした放火です。
真剣交際に入るとき、担当の会員には必ず、お金の話を一度させていた。
貯金、借金、奨学金の残り。
そこで言葉を濁した人ほど、後で揉めた。
嘘の数より、白状の速さを見る
嘘を一度もつかない男性は、おとぎ話の中にしかいない。
だから見るべきは、嘘の数より、白状までの時間です。
最初は1週間かかった白状が、3日になり、翌朝になり、その場になる。
そうなったら、もうその場しのぎとは呼べない。
白状が早くなるのは、白状しても関係が壊れなかった経験を積んだ人だけ。
借金にたとえるなら、返済のペースが上がっていく人。
利息が膨らむ前に、自分から返しに来る人。
そういう相手なら、多少の遅刻の言い訳は、笑って流していい。
彼を嘘の上手な男に育てるか、白状の早い男に育てるか。
その分かれ道の半分は、こちらの手の中にもある。
電車が遅れてて、と言われたら。
運行情報を開く前に、一度だけ彼の顔を見てみて。
目が泳いでいたら、まあ嘘でしょうね。
でも、それを笑って指摘できる関係なら、その嘘はもう長くは続かない。
