もしよかったら、本当に暇なときで大丈夫なので、無理なら全然いいんですけど。
ここまで読んでも、肝心の用件がまだ出てこない。
ある男性会員が、お見合い相手に送ろうとしていたLINEの書き出しです。
下書きを見せられた私は、スマホを持ったまま天井を仰いだ。
好意はなんとなく感じるのに、彼がいっこうに動かない。
脈なしなのか、ただ自信がないだけなのか。
恋愛に自信のない男性には、女性がリードしてあげればいい。
褒めて自信をつけてあげれば、そのうち動いてくれる。
よく聞くアドバイスは、だいたいこの二つ。
結婚相談所で、アドバイザーをしてきた身からすると、褒めて自信をつける、には大きくバツをつけたい。
彼らに足りないのは、自分への自信じゃない。
相手の気持ちを読み取る自信のほう。
だから褒め言葉より、疑いようのない材料を渡したほうが早い。
ついでに付け加えると、こういう男性は結婚相手としてかなり手堅い。
恋愛に自信のない男性心理は、相手の気持ちが読めない不安
自信がないと聞くと、見た目や年収に引け目のある姿を想像しがち。
面談室で向き合ってきた彼らの不安は、少し向きが違った。
外見の悩みに見えて、根っこはもっと手前。
脈があるか聞いてもらえませんか、と頼んできた男性
34歳の男性会員が、面談室でもじもじと切り出したことがある。
3回目のデートを終えたばかりの頃でした。
彼女に脈があるのか、仲人さんから聞いてもらえませんか。
(それ、本人に聞く前に私に聞くんだ…)
女性側の仲人さんに確かめてもらうと、返ってきた答えはあっけないほど明るかった。
私、けっこう分かりやすく好意を出してますよね、と。
次に行きたい店の写真を送り、帰り際には次の予定まで自分から聞いていたそう。
その返事を伝えると、彼は翌週になってようやく次のデートに誘えた。
彼が疑っていたのは、自分の魅力じゃない。
疑っていたのは、自分の目でした。
好意のサインを受け取っても、勘違いだったら恥ずかしい、が先に立つ。
天気予報で言えば、降水確率0%と言われても傘を手放せないタイプ。
昔の不合格通知を、額に入れて飾っている
もうひとつ、面談で何度も気づかされた共通点がある。
恋愛に自信のない男性の多くは、モテなかった人じゃない。
一度、ひどく断られた経験を持っている人なんです。
38歳の男性会員は、24歳のときにもらった断りのメールを一字一句覚えていた。
ごめん、そういうふうには見られない。
14年前の一文を、句読点の位置まで再現してみせる。
聞いている私の胸まで、グサッときた。
彼らはその不合格通知を、心の壁に額縁入りで飾っている。
新しい誰かと会うたびに、その額が視界に入ってくるんです。
相手の笑顔より先に、あの一文がよみがえる。
せっかく脈があっても、また勘違いかもしれない、と上書きしてしまうわけ。
この額は、周りが外してあげられるものじゃない。
ただ、上から合格通知を重ねて、見えにくくすることならできる。
恋愛に自信のない男性が好きな人に見せる脈ありサイン
そんな彼らの好意は、派手な行動には出てこない。
にじみ出るのは、言葉の端っこです。
誘い文句に、必ず保険がついている
もしよかったら。暇なときでいいので。無理なら全然。
自信のない男性の誘いには、こういう前置きが何重にも重なる。
断られても自分が傷つかないための、保険のようなもの。
面白いのは、この保険が相手によって厚さを変えること。
職場の飲み会なら、行く?の一行で済ませる人がいる。
その人が、本命にだけは前置きを三行つけてくる。
保険の枚数は、そのまま本気の枚数。
あなたへの誘いだけが妙にまどろっこしいなら、それはもうほとんど告白です!
もっとも、誰にでも腰の低い人なら、保険は性格の一部。
見比べるべきは、あなた以外への誘い方。
こう書いている私も、20代後半にこれを読み違えた。
合コンで隅の席にいた男性から、もしご迷惑でなければ、で始まるLINEが届いた。
乗り気じゃないんだな、と勝手に判断して、社交辞令で返して終わり。
あの時の私は、保険の厚さを冷たさと読み違えていた。
数年後、別の友人の結婚式に出たら、まさかの新郎が彼。
こんなに大事にしてくれる人はいない、と新婦は涙ぐんでいた。
私は別の意味で泣きそう(泣)
(逃した魚の大きさを、ブーケ越しに見せつけられた気分)
楽しかった?迷惑じゃなかった?の確認がやたら多い
デートのあとに届くLINEにも、特徴がある。
今日、退屈じゃなかったですか。長く引き止めてすみません。
楽しめたか、迷惑じゃなかったか、とにかく確かめたがる。
毎回聞かれてさすがに疲れる、とこぼした女性会員もいた。
それはそう。
ただ、この確認作業は、興味のない相手には絶対にやらない。
どうでもいい人の楽しさなんて、確かめる理由がないから。
確認の多さは、彼なりの手探りの跡です。
関係が進んで手応えをつかむと、この確認は自然に減っていく。
減らないまま3か月たつなら、こちらの返事がそっけなさすぎるんだと思う。
返すなら、楽しかったです、で止めず、何が楽しかったかを一つ添える。
あの店の窓際の席、また座りたいです、と具体的に。
彼氏いるの?の代わりに、週末の予定ばかり聞いてくる
三つ目は、遠回しな身辺調査。
週末は何してるんですか、連休はどこか行くんですか。
クリスマスって、やっぱり予定あるんですよね。
この質問が飛んでくるのは、決まって11月の終わり。
知りたいのは、恋人がいるかどうか、それだけ。
でも直接聞いて、いるよ、と言われたら立ち直れない。
そこで、予定の話で外側から探りを入れて、答えのすき間から推理する。
興味のない相手の週末を、気にする人はいません。
職場の後輩に、この探りを半年も続けられた女性会員がいる。
まるまる半年!
彼女が、恋人はいないよ、と自分から言った翌週、ようやく食事に誘われたそう。
探りが続くなら、こちらから答えを置いてあげるのがいちばん早い。
脈なしとの違いは、こちらから誘ったときの返事の速さ
ここまでのサインが出ていても、ただの社交辞令という線は消えない。
そう迷うなら、一度こちらから誘ってみると白黒がつく。
自信のない男性は、自分から誘うのは苦手でも、誘われるのは大歓迎。
好きな相手からの誘いなら、返事が妙に早い。
ある女性会員が、映画のチケットが2枚あるんです、と彼に送ってみた。
返事は3分後、ぜひ行きたいです、の一行。
いつもは半日かかる人だったから、彼女のほうが目を丸くしたらしい。
逆に、誘っても予定が合わない、を何度も繰り返されるなら、自信の問題じゃない。
その時は、残念ながら脈そのものが薄い。
褒めて自信をつけさせる、がうまくいかない理由
ここで、よくあるアドバイスに話を戻す。
自信のなさは、褒め言葉で埋めればいい。
正直言って、現場の答えはノー。
褒め言葉は、お世辞フォルダに直行する
かっこいい、優しい、頼りになる、といった褒め言葉。
自信のない男性の頭の中で、この手の言葉は自動で仕分けされる。
行き先は、お世辞フォルダ。
迷惑メールと同じで、開かれないまま溜まっていく。
ある女性会員は、デートのたびに彼を褒めていた。
頼りになりますね、と言えば、いやいや全然です。
センスいいですね、と言えば、たまたまですよ。
否定が3回続いたところで、会話が止まったらしい。
褒めるたびに、彼に否定の仕事を一つ増やしていたんです。
はぁ…褒めるほど遠ざかるとは、皮肉な話。
褒めるのをやめろ、とまでは言わない。
褒め言葉だけで自信が育つ、と思わないでほしいだけ。
効くのは評価じゃなく、事実の報告
同じ彼女に、ひとつだけ作戦を変えてもらった。
褒める代わりに、彼の言葉が届いた事実を報告する。
この前教えてくれた映画、昨日見ました。
勧めてくれたパン屋、職場の人にも教えちゃった。
評価は否定できても、起きた出来事は否定できない。
自分の言葉が相手の生活を動かした、と知ったとき、彼らは初めて手応えをつかむ。
次のデートで、彼は自分から店を予約してきたそう。
意外と、自信は褒め言葉より、小さな証拠から育っていく。
恋愛に自信のない男性との距離の縮め方
とはいえ、彼の自信が育つのを待っていたら、季節がいくつ過ぎるか分からない。
距離を縮めるのは、こちらの言葉の選び方です。
匂わせは届かない、日付の入った誘いを渡す
今度ご飯でも行きたいですね。
いつか機会があれば。
自信のない男性にとって、こういう言葉はただの社交辞令にしか聞こえない。
本気なのか確かめる勇気がないから、聞き流すほうが傷つかずに済む。
届くのは、日付の入った一文。
来週の金曜、空いてますか。
これは彼にとって、降水確率0%の予報みたいなもの。
ようやく傘を置いて、外に出られる。
断るときも同じで、必ず代わりの日を添えること。
その日はダメだけど、土曜なら行けます。
不合格通知を飾っている人は、一度断られると二度目を出してこないから。
LINEの往復より、会う回数を先に増やす
彼らには、文字だけのやりとりが不安の温床です。
返信までの時間、語尾の一文字、スタンプの選び方。
材料が少ないぶん、悪いほうへ悪いほうへと読んでしまう。
顔を合わせていれば、相手が笑っているかは一目で分かる。
保険をつける暇もない。
LINEは短めに切り上げて、会う約束だけは早めに決める。
長文の往復で距離を縮めようとすると、彼の深読みが増えるだけ。
彼らにとって、LINEの100往復は、30分のお茶1回より重たい。
保険の部分は聞き流して、本題にだけ返事をする
これは、夫の話。
二次会で出会ってから4回目の帰り道、改札の手前で彼が突然足を止めた。
無理だったら全然いいんですけど、付き合ってもらえませんか。
告白にまで、保険がついていた(笑)
私は前半を聞かなかったことにして、はい、とだけ返した。
無理じゃないよ、と保険に返事をすると、話の焦点が保険へずれていくから。
答えるのは、いつも本題にだけ。
あとで聞いたら、改札の前を3往復してから声をかけたらしい。
3往復のあいだ、駅員さんにどう見られていたかは、考えないことにしている。
帰りの電車で、ひとりほっこりしたのはここだけの話です。
保険を聞き流してもらえた人は、次から一枚ずつ減らしてくる。
夫の誘い文句から、もしよかったら、が消えたのは付き合って半年後のこと。
恋愛に自信のない男性は、結婚相手として手堅い
最後に、反感を買うのを承知で書いておく。
自信のない男性は、付き合ってから本領を発揮する。
真剣交際から強かったのは、自信のない男性会員だった
仮交際までは、自信のある男性の圧勝です。
会話も誘いもスムーズで、女性側の評判もいい。
ところが真剣交際に入ると、ときどき形勢が入れ替わった。
ある自信家の男性会員は、式場の見学予約を一人で決めてきた。
日取りも予算も、彼女に相談する前に頭の中で完成していたらしい。
彼女からの返事は、交際終了の申し出でした。
自信家の彼は、その後の面談で見事にしょげていた。
一方で、何をするにも、これで大丈夫?と確かめる男性会員も。
仮交際ではもどかしかった確認癖が、真剣交際では、相談できる人という長所に化ける。
相手の気持ちを決めつけないぶん、すれ違いが小さいうちに手を打てるんです。
実は、成婚退会の面談で、昔から自信がなかった、と打ち明ける男性は多かった。
自信は、つけてあげなくていい
恋愛に自信のない男性を好きになったら、彼に自信を持たせようと頑張らなくていい。
必要なのは、確認しても嫌な顔をしない相手でいること。
保険つきの誘いには、本題にだけ返事をする。
評価の代わりに、事実を一つ渡す。
それを繰り返すうちに、保険は一枚ずつ薄くなっていくよ。
