大皿のサラダが運ばれてきた瞬間、気づけばトングを握っている。
空いたグラスを見つけて、次の飲み物を聞く。
帰り道には、後輩の恋の悩みまで引き受けている。
お姉さんキャラと呼ばれる人なら、この流れに覚えがあるはず。
面倒見がよくて、落ち着いていて、包容力がある。
年下に慕われて、職場でも頼りにされる。
ネットに並ぶお姉さんキャラの特徴は、どれも長所ばかり。
なのに、恋愛になると話が変わる。
甘えられない。本命になれない。気づけば相手の保護者。
相談所の面談では、この手の打ち明け話が定番だった。
お姉さんキャラは、性格じゃない。
周りから配られた役です。
役なら、降りることもできる。
お姉さんキャラの特徴は、恋愛の場でこそ出る
大皿が来ると、手が勝手にトングへ伸びる
取り分け、おしぼりの補充、店員さんへの追加の注文。
お姉さんキャラの人は、飲み会の雑務をテキパキさばく。
本人に、アピールのつもりはない。
誰も手をつけない空白が、落ち着かないだけ。
座っていてと言われても、ソワソワして、空いたお皿を重ね始めてしまう。
自分の取り皿だけ空っぽのまま、お開きになったこともある。
気が利く、と褒められる一方で、男性からは、隙がない、と見られがち。
恋愛相談は受けるのに、自分の相談はしない
お姉さんキャラの周りには、相談が集まる。
後輩の失恋、同期の転職、友達の夫婦げんか。
聞くのは得意だし、的確なアドバイスもできる。
ところが、自分のことになると口が重い。
弱音を吐いた瞬間、キャラが崩れる気がするから。
相談される側にいれば、自分の弱みを知られずに済む。
面談で、最後に誰かに相談したのはいつかを聞くと、思い出せない人が珍しくなかった。
私も含めて(泣)
終電と、誰かの元気のなさに一番早く気づく
お姉さんキャラの目は、いつも周りを見渡している。
終電の時間、誰かのグラスの残り、隅で黙っている後輩の顔色。
気づく力が高いぶん、デート中も相手の様子ばかり気にしてしまう。
自分が楽しむのを、つい後回しにする。
相手にとって、居心地はいい。
でも、彼女が本当に楽しんでいるのか、わからない。
本心の見えない人とは、距離が縮まりにくいんです。
寄ってくるのは、年下と、弱っている男
お姉さんキャラは、確かにモテる。
ただ、寄ってくる顔ぶれに偏りがある。
年下の男の子。
仕事で疲れ果てた同期。
失恋したばかりの男友達。
みんな、寄りかかれる場所が欲しい人たち。
寄りかかられるのは、悪い気分じゃない。
困るのは、寄りかかりたい人は、元気になるとたいてい別の場所へ歩いていくこと。
あっさりして見えて、実は人一倍さみしがり
お姉さんキャラは、あっさりした性格だと思われがち。
一人でも平気そう。
休日も、予定を自分で埋めて楽しんでいそう。
でも面談で本音を聞くと、真逆の声が多かった。
金曜の夜、誰からも誘われないと、部屋の静けさがこたえる。
頼られない日は、自分の居場所がない気がする。
強く見えるのは、さみしさを人に預けるのが下手なだけ。
日曜の夕方、ひとりで夕飯の支度をしながら、急に泣けてくることがある。
そんな声もあった。
このギャップに気づいてくれる人に、彼女たちは弱い。
お姉さんキャラと姉御肌、似ているようで違う
よく混同されるのが、姉御肌。
姉御肌は、先頭に立って仕切る人。
誰かが困っていれば、まず自分が動いて片づける。
お姉さんキャラは、隣で見守る人。
相手が自分で動けるように、背中を支える。
どちらも頼られる点は同じ。
ただ、恋愛で苦労しやすいのは、むしろお姉さんキャラのほう。
姉御肌は、合わない相手とは早めに距離を置ける。
お姉さん側は、そりの合わない人の面倒まで見てしまうから。
お姉さんキャラは性格じゃなく、周りに配られた役
一度もらった役は、自分から降りにくい
中学のクラス、最初の職場、友達グループ。
お姉さんキャラの人に聞くと、たいてい、気づいたらこの役だった、と言う。
頼りになるね、と一度言われると、次からはその期待に応えてしまう。
周りも、その配役で安心する。
お姉さん役がいる舞台は、回しやすいから。
こうして、本人が選んだわけでもない役が、何年も続いていく。
私自身、中学で学級委員をやらされたのが始まりだった。
それ以来、どのグループでも、気づけば幹事と相談役。
恋愛でもその役のまま舞台に立つから、相手も、お姉さんとして扱ってくる。
実は、お姉さんキャラの恋愛がうまくいかない理由の大半は、ここにあると思う。
お姉さんとお母さんの境目は、相手の生活に手を出したかどうか
お姉さんキャラが恋愛で一番やりがちな失敗がある。
気づかないうちに、お母さん役にすり替わること。
境目は、意外とわかりやすい。
彼の話を聞いて、助言するところまでは、お姉さん。
彼の洗濯物をたたみ、朝起こし、予定を管理し始めたら、お母さん。
母親の役になった瞬間、恋愛の舞台から、家庭の舞台に移ってしまう。
しかも、まだ結婚もしていないのに。
彼の実家に、彼より先に年末の予定を確認していた、という人もいた。
男性は、お母さんには感謝しても、ときめきはしない。
お姉さんキャラが恋愛でつまずく、婚活の現場の話
年下の彼氏3人に、同じ言葉で振られた女性
36歳の彼女は、それまで年下としか付き合ったことがなかった。
3人とも、別れ際に言われた言葉はほぼ同じ。
一緒にいると楽なんだけど、実家にいるみたいで。
(実家…)
彼女は笑い話にしていたけれど、声が少し震えていた。
聞けば、3人とも、交際が始まってからの家事はほぼ彼女。
彼の部屋の冷蔵庫の中身まで把握していた。
手帳には、3人目の彼の誕生日だけでなく、彼の母親の誕生日までメモされていた。
相手を責める話でもない。
彼女が上手に演じすぎた役を、相手は素直に受け取っただけ。
はぁ…
最終的に彼女が結婚を決めたのは、3つ年上で料理が趣味の男性。
初デートで、彼が手際よく料理を取り分けるのを見て、彼女は思わず目頭が熱くなったそう。
包容力のある女性を、と書く男性には二通りいる
相談所のプロフィールで、包容力のある女性、と書く男性は多い。
私の見てきた限り、ここには二通りの人がいる。
ひとつは、自分も相手を包む気がある人。
もうひとつは、自分が包まれたいだけの人。
見分け方は簡単で、お見合いで彼がどれだけあなたに質問したかを数えればいい。
自分の話ばかりで、あなたへの質問がゼロなら、お母さん募集の可能性が高い。
お姉さんキャラの人ほど、こういう人の聞き役を上手にこなせてしまう。
だから要注意です。
お見合いで、相手の緊張をほぐしすぎた女性
34歳の会員さんは、お見合いの空気づくりの天才だった。
相手が緊張していれば、自分から話題を振る。
沈黙ができれば、すぐに埋める。
相手の冗談には、誰より先に笑う。
お見合いの評価は、毎回上々。
ところが、交際に進んでも、2回目以降のデートが続かない。
ある男性のお断り理由に、こう書いてあった。
とても話しやすくて、カウンセラーさんみたいでした。
褒め言葉の形をした、お断りです。
居心地のよさを、全部こちらで用意してしまう。
すると相手は安心しきって、恋愛の緊張感まで手放してしまう。
彼女が次に取り組んだのは、沈黙を3秒だけ放っておく練習。
埋めない沈黙のあいだに、男性が自分から話し始める。
その相手と、彼女は真剣交際に進んだ。
弱さを見せて、はお姉さんキャラには無理な注文
ここからは、役を少しずつ降りる練習の話。
いきなり弱さじゃなく、楽屋をひとりにだけ見せる
お姉さんキャラへの恋愛アドバイスで、必ず出てくるのが、弱さを見せよう、というもの。
正直言って、これは無理な注文です。
何年も舞台に立ってきた人に、いきなり幕の途中で泣けと言っているようなもの。
弱さじゃなくていい。
見せるのは、楽屋。
化粧を落とした顔、散らかった部屋、休日の昼過ぎまで寝ている自分。
それを、全員にじゃなく、たった一人にだけ見せる。
楽屋に招いた相手は、あなたを役柄ではなく、ひとりの女性として見始める。
ある女性は、デート帰りのコンビニで、彼の前で初めて大好物のカップ焼きそばを買った。
それだけで、二人の空気が変わったそう。
取り分けを、一回だけ休んでみる
変わる練習は、飲み会から始められる。
大皿が来ても、トングに手を伸ばさない。
一回だけでいい。
最初はモヤッとするし、誰も取り分けなかったらどうしよう、と気が気じゃない。
でも、たいてい誰かがやる。
あなたがいなくても、舞台は回る!
それを知るだけで、役の重さは少し軽くなります。
頼る練習は、どうでもいいことから
頼るのが苦手な人は、頼る内容が重すぎることが多い。
いきなり、仕事がつらい、と打ち明けなくていい。
このお店、選んでくれる?
映画、どっちがいいか決めて。
その程度の、小さな頼みごとから始める。
どうでもいいことを頼める相手には、そのうち大事なことも頼めるようになる。
そう頼まれた男性は、たいてい、うれしそうにスマホで調べ始める。
頼られる喜びを、相手にも分けてあげて。
お会計で、一度だけ財布を出さない
お姉さんキャラの人は、お会計でも先回りしがち。
年下の相手だと、つい多めに出したり、全額払ったりする。
それが続くと、相手の中であなたの席が、恋人から先輩に移っていく。
一度だけでいい。
ごちそうさま、と笑って、財布を出さずにいてみる。
相手が年下でも、その一回で、男として扱われた、と感じる人は多い。
おごられるのも、相手に役を渡すことのひとつです。
お姉さんキャラが本当に合う相手
甘えたい男より、並んで歩きたい男
お姉さんキャラに合うのは、甘えたい男でも、甘やかしたい男でもない。
並んで歩ける男です。
あなたが疲れていたら、何も言わずにお茶を淹れてくれる。
あなたが張り切っていたら、口を出さずに見守る。
年上か年下かは、あまり関係ない。
頼れるあなたにも、楽屋のあなたにも、同じ温度で接してくれるかどうか。
弱っている人を見ると放っておけないぶん、男性を見る目が甘くなりがち。
選ぶときだけは、世話を焼きたくなる相手より、並んで笑える相手を。
デートの店を交互に決める、くらいの小さなルールから始めてもいい。
年下の彼とうまくいくお姉さんキャラの共通点
年下と付き合うことの多いお姉さんキャラの中にも、長く続く人はいる。
続いている人たちを見ていると、お姉さんぶるのを、遊びの場面だけにしている。
からかう、笑わせる、少しだけリードする。
そこまではお姉さん。
でも、彼の生活や仕事の決断には口を出さない。
彼の得意分野では、素直に生徒になる。
キャンプが趣味の彼に、火のおこし方を教わっていた、30代の会員さん。
楽しそうに失敗する彼女を、彼は目を細めて見ていたそう。
教わる側に回れる人は、年下の恋人にとって、ただの先輩じゃなくなるからね。
