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二股状態で選べないときの対処法|比べる人ほど両方を失う

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二股で選べない時、長所と短所を比べてみた私の失敗

二人の良いところと悪いところを紙に書き出して、冷静に比べる。
二股で迷った時のアドバイスって、だいたいこれ。
あとは自分の心の声を聞いて、とか。
やりましたとも。

点数で勝ったほうを見て、胃が沈んだ夜

当時の私には、同時進行で会っている男性が二人いた。
信用金庫に勤める一つ上の人と、イベント会社で照明をやっている同い年の人。
年収も、実家までの距離も、LINEの返信の速さも、五段階で採点していく。
店員さんへの態度に、笑いのツボまで。
年収の欄だけ、重みを二倍にしていました。
ダサすぎて、今こうして書いていても顔が熱い。
出てきた数字は、72.5点と71点だった。
わずか1.5点差で、信用金庫の彼の勝ち。
画面を見た瞬間、胃のあたりがずーんと重くなって。
(え、そっち?)

その後にやったことが、我ながら最低でさ。
照明の彼の、笑いのツボの欄を一点だけ上げた。
誰にも見せないファイルなのに、周りをうかがうようにして。
それでもまだ、0.5点足りない。
二点目に手を伸ばしかけて、マウスの上で指が固まる。
何やってんだ、私。
数字をいじりたくなった時点で、答えなんてとっくに出ていたのにね。

平日の私は、会員さんに一人に絞れと言っていた

この頃の私、結婚相談所のアドバイザー二年目。
昼間は面談室で、会員さんにこう話していた。
迷っているうちに、お二人とも離れていってしまいますよ。
早めにどちらかに絞りましょうね。
で、夜は家でエクセルと睨めっこ。
昼に投げた言葉が、夜にはブーメランになって額に刺さるわけ(笑)。
人にはあれだけ偉そうに言っておいて。
自分の番になると、足がすくんで動けなかった。
二股中の人をとやかく言う資格なんて、私にはこれっぽっちもないのよ。
夜中に自分を責めながら検索している人へ。
その自己嫌悪、決めるためには何の役にも立たないから脇に置いといて。
そもそも婚活の世界自体が、二股で回っているところがあるし。

結婚相談所では二股が公認されている

意外と知られていない話をひとつ。
お見合いの後、お互いにもう少し会ってみたいとなれば、仮交際が始まる。
この期間は、何人と並行して会ってもかまわない。
むしろ一人に絞るなと指導する相談所もあるくらい。
本命が決まったら真剣交際に切り替えて、ほかの人とはそこでお別れ。
つまり制度として、二股も三股も最初から組み込まれている。

私は七年間、この公認の二股を毎月何十件も見てきた。
倫理がどうこう言う気は、さらさらありません。
私の目の前にあったのは、もっと泥臭い現実。

三人なら切れるのに、二人になると手が止まる

三人と仮交際している会員さんは、平気な顔で一人を切る。
この人は違うかも、と言って、その日のうちに終了を出す。
ところが二人になった途端、急に動かなくなる。
これが、不思議でならなかった。
残った二人がそれだけ魅力的なんだろうと、はじめは思っていたけど、そうじゃない。
三人から二人に減らすのは、ふるいにかける感覚。
二人から一人となると、自分の手で誰かを捨てる作業に変わる。
こぼれ落ちる人は見送れても、握った指を一本ずつほどくのは怖いんでしょうね。

それと、最後まで残る二人は、たいてい真逆のタイプだった。
片方は穏やかで、片方は一緒にいると心臓がうるさい人。
似た者同士なら、迷うまでもないもん。

迷っているうちに、向こうも選んでいた

三十一歳の女性会員を思い出す。
彼女は面談のたびに、大学ノートを持ってきた。
見開きの左に一人目、右に二人目。
デートのあとは必ず、良かったことと気になったことを書き足していく。
ページは真っ黒なのに、結論だけが出てこない。
そろそろ決めましょうか、と私が言うと、もう一回だけ会ってから、と返ってくる。
そのもう一回が、三回続いた。

結末は、同じ週にやってきました。
両方の相手側から、交際終了の連絡。
相談所のルールでは、相手のアドバイザーを通して私のところに届く。
それを伝えるなり、彼女の目から涙がぽろぽろあふれた。
どっちか一人は残ると思ってたのに、と。
そりゃそうでしょ、と喉まで出かかって、飲み込んだ。
婚活では、相手も同時にほかの誰かと会っているのが前提。
選んでいるつもりの人は、同じだけ選ばれてもいる。
迷っている時間は、相手の側に立てば待たされている時間でしかない。

二人で迷う本当の理由は、どっちも好きだからじゃない

どっちも好きで、決められないんです。
この言葉を、アドバイザー時代の私は一度も信じたことがない。
正直言って、どっちも好きは、どっちにも夢中じゃないの言い換え。
炎上しそうだけど、ここは譲らない。
迷いを掘っていくと、底から出てくるのはほぼ二つ。
好きの量が足りていないか、決めたあとの自分が怖いか。

悪者になりたくない人は、相手が去るのを待つ

選ぶというのは、どちらか一人をこの手で傷つけることでもある。
その役を引き受けたくない人が、何をするか。
待つんです。
返信を少しずつ遅らせて、会う回数を減らして、相手のほうから離れていくのを。
自然に終わった形にできれば、誰も振らずに済んだ気になれるから。
これが、いちばん人の時間を食いつぶすやり方。
正面から振られたほうが、相手は早く次へ進めるのに。

相談所にも、これをやる会員は少なくなかった。
相手側のアドバイザーから、電話がかかってくる。
うちの会員、もう一か月もお返事を待っているんですけど。
受話器越しに、何度頭を下げたことか。
謝るのは私で、待たせているのは会員さん。
地味に神経がすり減る仕事だった。

意図していなくても、迷いは外に漏れる。
LINEの返事が、前より半日遅い。
次の約束を、自分から言い出さなくなる。
会っている間、スマホを伏せてテーブルに置く。
理由までは分からなくても、受け取る側は温度の変化にすぐ気づくもの。
気づいた人から、黙っていなくなっていく。

どっちを選ぶか、答えはもう出ている

二人の話を録音すると、でもを置く場所で本音が分かる

スマホのボイスメモを開いて、一人につき三分ずつ、相手のことを喋ってみる。
誰にも聞かせない、ただの独り言でいい。
聞き返すと、でも、という言葉の置き場所が二人で全然違うはず。

三十六歳の男性会員が、ある日こんなふうに話していた。
一人目の人は料理が上手だし、うちの親とも気が合いそうなんです。でも、なんというか…。
もう一人は気分屋で、振り回されてばかりで。でも、会った日の夜は目が冴えて眠れなくて。
本人は、まだ決めかねていると言う。
決まってるじゃん、と内心で突っ込んだ。
長所を並べたあとに、でもが来る相手は、頭で自分を説得しようとしている人。
欠点のあとに、でもが続く相手のことは、もう心が選び終えている。
何百回とこの言い回しを聞いてきて、外れたことはほとんどない。
その相手が正解かどうかは、また別の話だけど。

わざと逆を勧めていた、意地の悪いやり方

もうひとつ、会員さん相手に密かに使っていた手がある。
どっちがいいと思います?と聞かれたら、あえて逆を推す。
本人が乗り気じゃなさそうなほうを。
三十三歳の女性が、年上の歯科技工士と同い年の営業マンの間で揺れていた時のこと。
私なら歯科技工士さんにしますね、と言ってみた。
言い終わるより早く、彼女の肩がギクッと跳ねる。
え…そうですか?
声のトーンが、明らかに一段低い。
あ、この人、営業マンのほうだな。
そう伝えたら、突然お腹を抱えて笑い出して。
なんで分かるんですか、と涙目で。
勧められて残念がる理由なんて、もう片方に決めている以外にない。

コインを投げるのも、占いに行くのも、友達に相談するのも、中身は同じ。
出た答えに落胆した時、本音はもう透けている。
自分だけで無理なら、信頼できる友達に頼んでみて。
演技でいいから、どっちかを全力で推してほしい、と。
胸に広がるのが安堵なのか、苛立ちなのか。
見るのはそこだけ。

デート中、トイレに立つ回数を数えてみる

二十代後半の女性会員で、デートの最中にやたらとトイレに立つ人がいた。
お腹の調子でも悪いのかと思ったら、全然違う。
もう一人からのLINEを、個室で確かめるために。
本人はバレていないつもり。
バレてます、マジで全部!

そのLINEの主と会っている日は、スマホの存在すら忘れていたそうで。
一緒にいる時に、もう一人のことが頭をよぎるかどうか。
よぎるなら、そのデート中の心は、半分よそへ出かけている。
スマホを確かめに行った回数は、そのまま答えの票数。
ただ、見たくなるのが不安のせいなのか、恋しさのせいなのか。
そればかりは、本人にしか分からない。

ときめきと安心、どっちを選ぶ?業界の正解を半分撤回する

さっき書いた、正反対の二人の話に戻る。
ときめき担当と、安心担当。
相談所のアドバイザーは、十中八九、安心を選べと言う。
私も言っていた。何十回も。
今は、その言葉を半分引っ込める。

何の不満もないのが苦しい、と言われた駐車場

三年前、スーパーの駐車場で元会員さんと偶然会った。
安心担当の男性を選んで、成婚退会していった人。
あの時、迷う彼女の背中を押したのは私だった。
子どもをチャイルドシートに乗せながら、彼女が小さな声で言う。
夫には、何の不満もないんです。それが、たまに息苦しくて。
贅沢ですよね、と笑っていた。
私は何も返せず、車のキーを握りしめていただけ。

かといって、ときめきを選べば救われるという話でもない。
刺激的な彼と結婚した別の会員は、二年後に戻ってきた。
夫の借金で離婚しました、と書類を差し出して。
どっちを選んでも、泣く人は泣く。

どっちの副作用となら、一生付き合えるか

だから今の私は、副作用で選べと言いたい。
安心を選べば、退屈がもれなくついてくる。
ときめきのほうは、不安を毎晩飲み下す暮らしとセット。
副作用のない相手なんて、どこを探してもいない。
退屈に弱い人が安心を選ぶと、何年か経ったある日、息ができなくなる。
不安に弱い人がときめきを選べば、既読がつくかどうかを見張る夜が延々と続く。
自分がどっちに弱いかは、過去の恋愛を振り返れば嫌になるほど思い当たる。
十年飲み続けられるほうを選ぶ。
年収や身長の比較は、そのあとで十分。

どちらも選ばなかった私が、結婚した相手

別れを切り出す前に、彼に先を越された電話

エクセルの点数をいじった夜から、四か月が過ぎていた。
その間、二人と交互に会い続けていたことになる。
やっと照明の彼にしようと腹を決めて、電話をかけた。
今度ちゃんと話したいことがあって、と言いかけた時。
彼のほうが先に口を開いた。
俺たち、もうやめとこっか。
まさか、こっちが振られる側だったなんて(泣)。
待って、今から選ぶところだったんだけど…

彼は、ずっと前から気づいていたらしい。
返事が遅くなったこと。次の約束をしなくなったこと。
得意げに並べた迷いのサイン、全部、私自身がやっていたやつ。
信用金庫の彼とは、翌週に喫茶店で会って終わらせた。
振られたから、残ったほうに乗り換える。
それだけは、人としてやっちゃいけない気がして。
四か月って、何だったの?
それが彼の最後の言葉。
冷めたコーヒーから、私は目を上げられなかった。

冷蔵庫を一緒に運んだ三人目

半年後、友達の引っ越しを手伝いに行った。
冷蔵庫の反対側を持っていたのが、今の夫。
階段の踊り場で、せーの、と私が合図して。
返ってきたのは、声の裏返った、はいっ!
笑いすぎて、冷蔵庫を落としかけた。
実はその冷蔵庫、巡り巡って今はうちの台所にいる(笑)。
三週間後には、もうこの人しか見えていなかった。
比べる相手がいなかったから、というのもある。
でも結局、いたとしても比べなかったと思う。

相談所の会員さんも、同じだった。
二人の間で三か月以上迷った人が、最終的に結婚した相手。
それはどちらでもない三人目であることのほうが、圧倒的に多かった。
選べないのは、二人が互角だからじゃない。
どっちにも、ここで止まりたいと思わせる何かが欠けている。
本当に欲しい人を前にして、四か月も待てる人間なんていない。
照明の彼を選べていたら、どうなっていたのか。
答えは今も出ていないし、出す気もない。

二股の終わらせ方は、日付を決めて両方の手を離すこと

一か月を過ぎた迷いは、ただの先延ばし

相談所では、仮交際はおよそ三か月が目安だった。
普通の恋愛なら、一か月で足ります。
今日から一か月後の日付に、決める日と書き込む。
手帳でも、スマホでも。
その日までに録音をして、誰かに逆を推してもらって、それでも決めきれなかったら。
両方と終わらせる。
冷たく聞こえるのは承知の上。
決めずに引っ張るほうが、二人にとってはよほど酷だから。
三十日で出なかった答えは、半年寝かせても変わらない。
その前に、相手から終わりを告げられるのが関の山ですよ。

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