白いシャツを着せても、爽やかにならない人がいる
さわやかになる方法で出てくる答えは、だいたい似てる。清潔感、笑顔、姿勢がいい、短髪、白シャツ。
その通りにした男性会員を、私は何人も見ました。
髪を整えて、歯を白くして、シャツを新調して。
それでも交際が続かない。
逆に、腹が出ていて髪も薄い五十代が、面談のたびに部屋の空気を軽くしていく。あの差は何なんだろう、と長いこと考えてきました。
爽やかな人の正体は、粘らないこと
七年間、婚活の現場で第一印象と、その後の結果を照らし合わせてきました。爽やかだと評価される人には、はっきり共通点があった。
会話を、自分で終わらせられる
話が盛り上がっている最中に、じゃあこのへんで、と自分から切る。
これができる人が爽やかと呼ばれます。
ほとんどの人は逆をやる。もっと話したいから引き延ばす。相手の反応が良かったから追加でもう一話する。あれで印象が濁っていくんですよ。
物足りない状態で終わった相手のことを、人は次も会いたいと感じる。単純な話でしょ。でも実践できる人が異常に少ない。
好意を出したあと、返事を待たない
これが決定的でした。
楽しかったです、また会いたいです、と伝えて、そこで黙る。相手が言葉に詰まっても、笑って話題を変える。
爽やかじゃない人は、伝えたあとに答えを取りにいく。どうですか、と目で追う。あの数秒の圧が、全部を台無しにする。
好意を渡して、回収しない。
それだけです。爽やかさの中身は、ほぼこれ。
ここまで褒めておいて、ひっくり返します
炎上覚悟で書きますが爽やかな人は、恋愛相手としては危ない。
誰にでも同じ温度だから、選ばれた実感がない
粘らない、追わない、引き際がいい。
それを全員にやってるんですよ。あなたにだけじゃない。
爽やかな男性会員は、初回のデート成功率がずば抜けて高かった。会えば必ず好印象。なのに成婚までの期間は、むしろ長引く人が多かった。
理由ははっきりしています。関係が深まる段階で、あの引き際の良さが邪魔をする。踏み込まないから、女性側がいつまでも確信を持てない。この人、私のこと本当に好きなの、と。
三十四歳、全員から好かれて誰とも結婚できなかった男
忘れられない会員がいます。
背が高くて、話が上手で、女性からの評価はほぼ満点。仮交際に入る率が異常に高かった。
なのに、二年いて成婚しなかった。
女性側の終了理由が、毎回同じだったんです。
本気なのか分からない。
本人と面談して聞きました。断られるのが怖いんですか、と。
彼はしばらく黙って、こう言った。嫌われる瞬間を見るくらいなら、いい人のまま終わりたい、と。
爽やかさって、そういう鎧だったのか…
あのとき、自分の中で何かが繋がった感覚がありました。
執着を見せない人は、傷つかない位置から動いていない場合がある。全員に優しいのは、誰にも本気じゃないからかもしれない。
本物と鎧を、どこで見分けるか
判定基準は簡単です。彼が困っている場面を見ればいい。
不機嫌になったときに、何をするか
爽やかな人だって、機嫌が悪くなる日はある。人間なので。
差が出るのは、そのあと。
本物は、疲れてるから今日は無口です、と自己申告してきます。隠さない。回復したら普通に戻る。
鎧の人は、不機嫌を見せないために距離を取る。連絡が減って、しばらくして何事もなかった顔で戻ってくる。あの空白が、付き合ってから効いてきます。
店員への態度は、もう古い判定法です
よく言われるでしょ、店員への接し方を見ろ、って。
あれ、今はほとんど機能しません。
デート中に店員へ横柄にする人は、さすがに減った。みんなその話を知ってるから、意識して丁寧にやる。
代わりに見るなら、店員が失敗したときの一瞬。料理が遅い、注文が違う、水がこない。あの瞬間の眉の動き。取り繕う前の〇コンマ何秒に、素が出ます。丁寧に対応した事実じゃなく、その手前を見て。
清潔感の正体は、においでも服でもなく、迷いのなさ
外見の話も一応しておきます。
髪型の値段より、触る回数
爽やかに見えない男性会員に共通していたのは、自分の外見を気にする動作でした。前髪をいじる。袖を直す。鏡を探す。
本人は身だしなみを整えているつもり。周りには、落ち着かない人として映ります。
高い美容室に行く必要はなくて、朝に決めた状態を一日いじらないと決めるだけでいい。実際、これを守らせただけで印象が変わった会員が何人もいます。
声の大きさが揃っている人は、それだけで爽やか
これは意外に思われるかもしれない。
最初の挨拶と、店員への注文と、別れ際の声。この三つの音量が同じ人。ほとんどいません。
たいてい、挨拶だけ大きくて、あとが小さい。もしくは店員にだけ声が低くなる。あの変化に、相手は無意識に気づく。
一定の音量で話す人は、それだけで信用されます。理由は説明できない。でも現場で何度も確認した傾向です。
爽やかさは、鍛えられます
生まれつきだと思われがちだけど、違う。
三ヶ月で印象が変わった女性会員
四十代の女性会員がいました。話が長いのが悩みで、男性から二回目のお誘いが来ない。
やってもらったのは、時計を見て九十分で自分から席を立つこと。話の途中でも切る。それだけ。
三ヶ月後、明らかに変わりました。相手からの評価が、感じのいい人に揃いはじめた。話す内容は前と同じなのに。
彼女が言っていたのが印象的でした。最後まで話しきらないと不安だったけど、途中でやめても嫌われないと分かった、と。
爽やかさって、たぶん自信の別名なんですよ。
私が今まで会った中で、いちばん爽やかだった人
最後に書いておきたい人がいます。
相談所で働いていた頃の、上司だった女性。六十近くて、化粧は薄くて、服も特別おしゃれじゃない。
なのに、あの人が部屋に入ってくると空気が軽くなった。
何が違うのか、ずっと観察していて、あるとき気づきました。
その人は、退勤時間に必ず帰るんです。
どんなに話が盛り上がっていても、私が相談を持ちかけている途中でも、じゃあ明日ね、と言って立ち上がる。
最初は冷たいと思った。正直、ムッとした日もある。
でも一年経つ頃には、あの割り切りに何度も助けられていました。あの人が残らないから、こっちも遠慮なく帰れた。重い相談を持ち込んでも、次の日にはケロッと普通に接してくれる。
引きずらない人のそばは、呼吸が楽なんですよ。
爽やかさの正体はそれだと思ってる。清潔感でも笑顔でもなく、相手に何も残さずに立ち去る技術。
白いシャツを買う前に、次の会話を自分から終わらせてみてほしい。効き方が違うので。
