女友達、いますか。
二回目のお見合いでこれを聞いた男性会員がいました。相手の女性から報告が来て、面接みたいで怖かったです、と。
世間の採点表では、この質問に答えはもう出ているらしい。いない女は地雷。同性に嫌われる人間には理由がある。
でも結婚相談所で、入会面談で交友関係を聞き続けました。そこから言えることをひとつ。女友達の人数、何の役にも立ちませんでした。
友達の数と、その後の結果に関係はなかった
七年分を思い返しても、線が引けない
成婚した女性会員の中に、女友達が一人もいない人は普通にいました。何人も。
逆に、友人が多くて休日の予定が埋まっている女性が、二年活動して決まらなかったこともある。
どちらも珍しくない。だから、この項目は判定に使えないという結論に落ち着きました。
そもそも聞き方が雑なんですよ。いる、いない、の二択で答えさせている時点で。
遠方に引っ越した人。夜勤続きで予定が合わない人。友人が全員先に結婚して、独身の自分から連絡しづらくなった人。転職で人間関係が一度切れた人。全部、いない、の一言に押し込まれます。
その四つに何の問題もないでしょ。
減ったのか、切ったのか、切られたのか
数える意味があるとしたら、そこじゃなくて経緯のほう。
生活が変わって疎遠になった人と、相手を全部切ってきた人と、向こうから離れられた人。同じゼロでも中身が違います。
面談で聞くと、けっこう素直に出てきます。あの子は変わっちゃって、あの人とは合わなくなって、みたいに、離れた相手を一人ずつ悪く言う人がたまにいる。
その語り方だけが引っかかりました。
過去の全員に不備があった、という話になっている場合、あなたもいずれその一覧に入ります。順番待ちですよ。
危ないのは人数じゃなく、感情の行き先
全部を一人に流されると、恋人が配管になる
人が抱える感情には、そこそこの量がある。愚痴も、不安も、報告したい小さな出来事も。それが複数の窓口に分かれて流れているうちは、誰も潰れません。
窓口が一つしかない状態。ここが問題です。
恋人一人に全部が流れ込むと、相手は聞き役ではなく配管になります。詰まれば責められる。返事が薄ければ、あなたも私を分かってくれない、と来る。
これが世間で地雷と呼ばれているものの中身でした。性格の悪さではなく、負荷の集中。
そして、この状態には男性版もあります。誰にも弱音を吐けない男性が、恋人にだけ依存して壊れていく。まったく同じ現象なのに、なぜか女性側にだけ名前がついている。そこは不公平だと思う。
去年しんどかったとき、誰に電話しましたか
使えるのは、この質問ひとつです。人数を聞くより、はるかに正確でした。
名前が出てくる人。友人でも、姉でも、前の職場の先輩でも、誰でもいい。窓口があるということなので、そこで終わり。
誰にも言ってません、と答える人。ここから先を聞きます。言わなかったのか、言えなかったのか。
一人で処理する癖がついているだけの人は、実は多い。この場合、恋人にも流れてきません。むしろ何も言わなすぎて、それはそれで別の問題になる。
危ないのは、言う相手がいなかったからずっと溜めていた、という答えのほう。溜まっている量が、そのまま次の相手に来ます。
婚活市場で厄介だったのは、友達が多い側でした
決まりかけた話を、外部の委員会がひっくり返す
交際が順調に進んでいるのに、急に女性側が降りる。理由を聞くと、友達に話したら反対されて、と。
これ、七年で何十件見たか分かりません。
年収が低いんじゃない、と言われた。実家が遠いのはやめとけと言われた。その年齢で初婚じゃないのは何かあるよ、と言われた。
一度も会っていない人が、写真とプロフィールだけで審査を下している。
友達に悪気はないんですよ。心配しているだけ。ただ、責任は取りません。取れないので。
交友関係の広さは、そのまま採点者の人数です。人数が増えるほど、否決の確率は上がる。
成婚寸前で降りた女性が、二年後に戻ってきた
33歳の会員さんでした。真剣交際に進んで、両家の顔合わせの日程まで出ていた。
その週末に友人四人と会って、月曜に電話が来ました。やめます、と。
理由を聞いたら、みんなに、もっといい人いるよって言われて、でした。
私は反対しました。かなり強く言った。それでも彼女は降りた。
二年後、再入会の書類を持って現れました。あのとき止めてくれた意味が、今なら分かります、と言われて、私は何も返せなかった。
彼女に反対した四人のうち、二人はその間に結婚しています。
あの電話の日を、私は今でもたまに思い出します。
その質問を先に投げてくる男の話も、しておく
確認しているようで、探している人がいる
冒頭の男性会員に戻ります。二回目で交友関係を聞いた人。
悪気なく地雷を避けたいだけの人も、もちろんいます。半分はそう。
ただ、残りの半分が、私は苦手でした。
交際が始まってから、彼女の外出に細かく反応する。誰と、どこで、何時まで。友人と会う予定が出るたび、機嫌が下がる。
最初から友人のいない人を探している場合、その動機は安全確認じゃありません。証人がいない相手を選んでいる。
おかしいと思ったとき、相談できる相手が一人もいない状態。そこに置きたい人は、実在します。
女友達がいない女は地雷、という言葉を熱心に広めている側に、この手の人が混ざっているのは覚えておいて損がない。
彼女に友人ができた途端、態度が変わった男性
交際中の女性会員から、相談が来ました。
職場で仲良くなった同性ができて、月に一度飲みに行くようになった。それを伝えたら、彼の返信が急に短くなったと。
彼は、束縛はしていません。行くなとも言わない。ただ、その話題になると黙る。
彼女は自分が悪いと思っていました。彼を不安にさせているのかも、と。
交際は四か月で終わりました。終了の理由に、彼が書いた言葉が、価値観の違い。
ぞわっとしました。彼が求めていた価値観、たぶん一つしかない。
私も、三十代でゼロになりました
連絡先はあるのに、誰にも送れなかった
私も産後の一年、私は女友達がゼロでした。正確には、連絡先はスマホの中に全部残っている。送れなかっただけ。
独身の友人には、赤ん坊の話しかできない自分がつまらないと思われそうで怖かった。子どものいる友人には、うまくやれていない自分を見せたくなかった。
返信が二日遅れると、もう返せない。三日で、もっと返せない。一週間で、無かったことにする。
その繰り返しで、気づいたら誰にも送っていませんでした。
あの時期の私を外から見たら、たぶん立派な地雷でしょうね。夫にだけ全部流していたので。ずしんと乗せていた自覚があります。
年に一度だけ来るラインが、一本だけ残った
救ってくれたのは、いちばん疎遠だった友人でした。
学生時代の子で、年賀状も途切れていた。それが、私の誕生日にだけラインをくれるんですよ。毎年。
生きてる? だけ。
産後二年目のその日、私は初めて長文を返しました。今しんどい、と。バーッと。読み返したら誤字だらけで、送信を取り消したくなるやつ(泣)。
返ってきたのが、そっか、とだけ。
それだけ!
なのに、その日から夫への流量が半分になりました。窓口が二つになるって、そういうことなんですよ。
今も、その子とは年に二回ほどしか連絡を取りません。人数としてはゼロに近い。
女友達がいない女は地雷。この話をするなら、数える場所が違います。何人いるかではなく、しんどい夜に一行だけ送れる相手がいるかどうか。
一人いれば、たぶん足ります。私はそれで足りました。
