目が合った。そらされた。
話しかけたら、うん、しか返ってこなかった。なのに他の同僚とは普通に笑っている。
これ、脈ありなんですか。それとも私、嫌われてます?
この質問、結婚相談所にいた何回受けたか分かりません。しかも全部、答えが同じにならないから厄介なんですよ。
そっけない態度は、判定材料にならない
好きでも、どうでもよくても、同じ反応が出る
目をそらす。返事が短い。二人になると黙る。
これを好意のサインとして紹介している記事、山ほどあります。
同じ現象が、まったく興味のない相手にも起きるんですよ。話す理由がないので短くなる。目を合わせる必要がないのでそらす。沈黙が気まずくないので黙る。
つまり、判定不能。
七年やって確信しています。その場で観察できる態度から、シャイな男性の好意は読み取れません。彼らは感情を表に出さないから内気と呼ばれているわけで、出ないものを読もうとしている時点で無理筋でしょ。
読むべき場所が、別にあります。
他の女性とは喋れる、が最大の誤解を生む
いちばん相談が多いのがこれ。私にだけ冷たいんです、というやつ。
これも二通りに割れます。緊張して固まっている人と、単に関心がない人。
見分けは、あなたの前で失敗するかどうか。
好意がある男性は、あなたの前でだけミスをします。飲み物をこぼす。言葉を噛む。エレベーターのボタンを押し間違える。手が意味なく動く。
関心のない相手の前では、そもそも失敗しません。緊張していないので。
だから、私にだけ冷たいと感じている場面をよく思い出してください。彼、そのとき何かやらかしていませんでしたか。
好意は、当日ではなく前日に出ている
用意されていた痕跡を数える
ここが今日いちばん実用的なところ。
シャイな男性は、その場でのアドリブができません。だから事前に準備します。準備の痕跡が、いちばん正直なんですよ。
あなたが前に言った店の名前を覚えている。あなたが苦手だと言った食べ物を外して注文する。集合場所が、あなたの家から近い駅になっている。傘を二本持ってきている。
どれも当日の彼はぶっきらぼうなままです。表情も硬い。でも前日の彼が動いている。
交際の報告を受けるとき、私はいつもここを聞いていました。当日どうでしたか、ではなく、彼が事前に用意していたものはありましたか、と。
ゼロならゼロです。準備できる時間があったのに何も出てこないなら、そこには興味がありません。
三十分早く着いて、店の前を歩いていた男性
41歳の男性会員がいました。極端に無口で、お見合いの成立が一年で三件という方。
三件目の女性から、面談で報告があったんです。彼、待ち合わせの三十分前から店の前をうろうろしていた、と。
彼女が偶然、道の反対側から見てしまったらしい。中に入らず、外を行ったり来たりして、時々スマホを見て、また歩く。
当日の会話は、相変わらず盛り上がらなかったそうです。沈黙だらけ。
それでも彼女は交際に進みました。理由を聞いたら、あの姿を見てしまったので、と笑っていました。
本人にはその話をしていないそうです。今も知らないと思う。
二人は成婚しました。会話の量なんて、たいした指標じゃなかったんですよ。
シャイは性格じゃない。順番の問題です
確定するまで動けない、という思考の癖
彼らを観察していて気づいたことがあります。
内気な男性は、勇気がないんじゃない。順番が逆なんです。
普通は、好きになる、動く、関係が変わる、という流れでしょ。
彼らは、確定する、それから動く、という順番を持っています。相手の気持ちが確実だと分かってからでないと、一歩目が出せない。
だから永遠に動きません。確定なんて、動かない限り手に入らないので。
面談で何度も見ました。彼女も自分を好きだという保証がほしい、と言う男性会員。保証は行動の後にしか出ませんよ、と伝えても、頭では理解して、体が動かない。
待っている側からすると理不尽でしょうね。でも彼らの中では、失敗の可能性を消す作業が最優先になっている。
好意が確定した瞬間、別人になる
救いのある話も書いておきます。
この手の男性、関係が確定した後の変化が異常です。
交際が成立した途端、連絡の頻度が三倍になる。デートの計画を全部立ててくる。喋る。びっくりするほど喋る。
女性側から、別人になりました、という報告が来るのは、だいたいこのタイプでした。
不確定な状態が苦手なだけで、決まった後の熱量は高い。むしろ最初から社交的だった男性より、長く続いていた印象があります。
だから待つ価値がないとは言いません。ただし、待ち方に条件がつきます。
待つなら、期限を先に決めておく
自力で告白した人を、私はほとんど見ていない
極端に内気な男性会員が自分から交際を申し込んだケースは数えるほどしかありません。
彼らが動いたときは、たいてい外圧がありました。担当者が背中を押した。相手の女性が期限を切った。他の男性の存在がちらついた。
何もない状態で、自然に動き出した例。ほぼ記憶にないです。
つまり、待っているだけでは何も起きない可能性が高い。
半年待った、一年待った、という相談を受けるたび、こちらの胸が痛くなりました。彼女たちは優しさで待っている。彼のペースを尊重して。
その優しさが、彼の停止を延命させている場合がある。
期限を決めて、動いて、終わった人もいる
実務の話をします。待つと決めたなら、日付を決めてください。
三か月後の何日。そこまでに彼から具体的な誘いが一度も出なければ、こちらから動く。動いて反応がなければ、降りる。
決めておかないと、無限に伸びます。あと一か月だけ、が三年になる。実例、見ています。
そして、こちらから動いた結果うまくいかなかった例も、正直に書いておきます。
女性会員が自分から食事に誘って、彼が承諾して、当日ずっと固まったまま、そのあと連絡が途絶えた。彼女は、押しすぎたんでしょうか、と落ち込んでいました。
押しすぎたんじゃない。彼が動けない人だっただけ。
それが分かるまでに三か月で済んだのは、むしろ良かったんですよ。
うちの夫は、三か月かけて何かを渡してきた
渡されたのは、折りたたまれた紙だった
最後に自分の話、夫は完全にこのタイプでした。付き合う前、二人で会っても会話が続かない。私が喋って、彼が、うん、と言う。ずっとそれ。
正直、何度も諦めかけました。この人、私に興味ないんだろうな、と。
三か月くらい経った日、別れ際に彼が何かを差し出してきたんです。
折りたたまれた紙でした。
なにこれ、と思って開いたら、映画の上映スケジュールが印刷されていて、一つに丸がついていた。
それだけ。何も書いていない。誘い文句の一行もない。
私、その場でぽかんとしました。で、次の瞬間、笑ってしまって。彼は真っ赤な顔で、じゃ、と言って帰っていった。
今でも思い出すと、ふふ、となります。あれが彼にとっての最大出力だったんですよ。
私が返事を待たなかった理由
あの紙をもらった夜、私は自分から連絡しました。この日、空いてるよ、と。
彼から次の一言が出るのを待っていたら、たぶん半年かかっていたと思う。丸をつけるところまでが限界だったので。
何年か経ってから、あの紙のことを聞いてみました。
返ってきたのが、二週間迷った、でした。
二週間!
印刷して、折って、鞄に入れて、渡せずに持ち帰った日が何度もあったらしい。それを聞いたとき、じわっと来ました。
シャイな男性が好きな人にとる態度を探している人へ。当日の彼を見ても、たぶん何も出てきません。無口だし、そっけないし、目も合わない。
探すなら、彼が事前に用意していたものだけ。鞄の中とか、予約の時間とか、集合場所とか。
そこに何もなければ、期限を決めていいと思います。優しく待つのは美徳ですけど、待っている時間はあなたのものですから。
