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中年カップルは気持ち悪い?嫌悪される本当の引き金と対処法

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電車で見ました。五十代くらいの二人が、隣同士で手を繋いでいた。斜め前の学生らしき男の子が、ちらっと視線を上げて、ぎょっとした顔をして、二秒でスマホに戻った。
たったそれだけの出来事です。
その二秒に、何年も怯えている人がいる。

目次

気持ち悪いと言っているのは、赤の他人じゃない

すれ違った人は、あなたを二秒で忘れる

結婚相談所で7年働いて、いちばん多く聞いた不安がこれでした。外を二人で歩くのが怖い、と。
五十代前半の女性会員に、誰に見られるのが怖いんですか、と聞いたことがある。答えは、みんな。
掘っていったら、みんなの中身は三人しかいませんでした。娘さん。亡くなった夫の姉。昔の職場の同僚。
街の視線なんて、そもそも記録されていない。他人はあなたの顔を保存する容量を持っていません。ネットに中年カップルは無理と書き込んだ人だって、翌朝には自分が何を書いたか覚えていないでしょ。
恐れているのは世間じゃなくて、名前のある三人。ここを取り違えると、一生解けない呪いになる。

やめてよ、と言った娘が本当に怖がっていたもの

55歳の女性会員がいました。交際が順調で、成婚も見えていた。ところが娘さんが猛反対。出た言葉が、正直気持ち悪い。
本人はぐしゃぐしゃになって面談に来ました。私、変なことしてますかね、って。
後日、娘さん本人と話す機会があったんですよ。三十代半ばの方。最初は淡々と否定的なことを並べていたのに、途中で急に黙って、それから涙をぼたぼた落とした。
出てきたのは、父が死んでから十年、二人でやってきたのに、でした。
気持ち悪いの中身、性的な想像じゃなかった。順位が下がることへの恐怖です。自分が一位から二位に落ちる。その予感に名前がつけられなくて、いちばん強い武器を掴んだだけ。
子どもは知っています。この一語が、親をどれだけ黙らせるかを。

引き金は年齢じゃない。二十代の脚本をなぞること

あだ名、頬を寄せた写真、ハートの絵文字

見ていて苦しくなる瞬間、確かにあります。私にもある。認めます。
どこで発生しているかというと、年齢ではなく演出のほう。あだ名で呼び合う。顔をくっつけたツーショットをアイコンにする。記念日を月単位で数える。
二十代が同じことをやっても、誰も何とも思わない。脚本と年齢が噛み合っているから。四十年ずらして同じ台本を演じると、見る側の処理が追いつかなくなる。困惑した脳が、手近なラベルを貼る。それが気持ち悪い。
差別というより、ズレへの反射に近い。
だから解決策は、恋愛をやめることじゃない。借り物の脚本を捨てることです。

写真を撮り直させた52歳の男性会員

最初に提出されたプロフィール写真、白いシャツで、頬に手を添えて、加工でシワが全部消えていた。誰だよこれ! と思わず声が出た。実物と別人です。
お見合いの成立、半年でゼロ。
撮り直しを頼みました。仕事着のまま、普通に立って、笑い皺はそのまま。本人は渋々でしたよ。こんな年寄りの写真で通るわけない、とぶつぶつ言いながら。
結果、翌月から立て続けに成立。女性側の申し込み理由に何が書かれていたか。安心できそう、です。
消したシワの分だけ、嘘が増えていた。若さの模倣が嫌悪を呼ぶのであって、年齢そのものは何も呼んでいない。

それでも私は、中年の二人のほうが見ていて好きです

若い二人より触っている。触り方が違うだけ

二十代の手繋ぎは、周囲への宣言に近い。所有権の掲示みたいなもの。
中年の手繋ぎは、実務です。段差がある、人混みで逸れそう、雨で足元が滑る。用事があるから触る。用事が終わると、すっと離れる。
成婚退会した五十代の二人が、書類を取りに事務所へ来たことがありました。エレベーターで男性が先に降りて、扉を押さえたまま待っている。会話ゼロ。女性は無言で通り抜けて、無言で歩き出した。
あの数秒に、二人の残りの人生が全部入っているように見えた。
恋愛っぽさは薄い。濃度は高い。

二人とも、残り時間を数えている

若い恋愛は、時間が余っている前提で成り立っています。だから駆け引きができる。焦らすことも、返事を遅らせることも、試すこともできる。
中年は数えているんですよ。親の介護があと何年か。膝がいつまでもつか。健康診断で何を言われたか。
現場で驚いたのが、成婚までの期間。五十代の会員のほうが短いケース、珍しくありませんでした。迷わない。迷う時間の値段を知っているから。
若い会員がだらだら三人と並行交際している横で、五十代が二回目のデートで結論を出していく。あの潔さ、笑ってしまうくらい速い。
気持ち悪いと言われる側のほうが、恋愛の腕は上です。

隠すほど、絵がいかがわしくなるという罠

こそこそした瞬間、不倫の構えになる

言われたくないから隠す。気持ちはわかる。
隠すと何が起きるか。店選びの基準が変わります。人目につかない場所、奥の席、別々に入店、駅では二人が離れて歩く。
その一連の動きこそが、見た人にやましさを感じさせるんですよね。年齢じゃなくて、こそこそが嫌悪を生産している。
堂々としている二人には、驚くほど誰も何も言いません。言う隙がないから。
隠せば隠すほど、隠すべき関係に見えてくる。

母が七年黙っていた

父が亡くなって数年後、母には相手がいました。私がそれを知ったのは、七年経ってから。
理由を聞いたとき、母がぼそっと言ったんです。あんたたちに気持ち悪いって思われたくなかった、と。
私は自分がそんな顔を向けたかどうか、思い出せない。たぶん向けていた。十代の頃、母を一人の女として見ることに、うっすら拒否感があった記憶があるので。
七年です。紹介されなかった七年。その方はもう亡くなっています。会わないままで終わった。
私が取り上げたのは母の恋愛じゃない。堂々と歩けたはずの時間のほうでした。ひやっとした。今も、思い出すと胃のあたりが冷たくなる(泣)。

言われた側が、明日からできること

弁明しない。訂正もしない

気持ち悪いと言われて、いや私たちは真剣で、と説明を始めた時点で終わりです。
説明は、審査を受け入れるという合図になる。相手に採点権を渡してしまう。
会員さんに教えていた返しは、そうかもね、だけ。
反論を待ち構えているところに、同意でも否定でもないものを置かれると、しんと黙るもんですから。

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