本気だから避けてしまう。この説を広めた人、なかなか罪深いなと思う。だってこれ、あらゆる冷たさに意味をつけられてしまうから。既読無視も、そっけない返事も、二人きりになった途端の無口も、全部が愛情に変換される。魔法の言葉ですよ、ほんと。
私は結婚相談所で、この魔法にかかったまま退会していく女性を何人も見送りました。
先に薄い希望だけ渡しておく。好き避けは実在します。あれは嘘じゃない。ただ、本気になるほど、の中身は想像しているものとは別物。
本気になるほど避ける男が守っているのは、あなたじゃない
彼が計算しているのは、フラれた後の自分の回復時間
お見合い後、男性会員から最高の感想が届く。話が合った、また会いたい、素敵な方だった。なのに交際申し込みが出ない。理由を聞くと、もう少し考えたいと返ってくる。何を考えるんだよ! 気持ちはもう出てるでしょうが。
48歳の会員さんがいました。条件の合わない相手には即決で申し込むのに、心底いいなと思った女性のときだけ、返事が三日遅れる。あるとき本音がぽろっとこぼれた。期待した分だけ、断られたときが痛いんですよね、と。ざわっとしました。
好き避けの正体、そこです。あなたを大切にしすぎて近づけないんじゃない。自分が傷つく確率を下げているだけ。冷たい言い方でごめん。でも、これを認めないと次の話に進めないんだよね。
三日後に届く、実は気になってましたの意味
距離を取る。相手の気配が薄くなる。焦る。耐えきれずに本音を送る。この流れを告白だと受け取ると、だいたい二週間後にまた同じ場所に立たされる。
決めた男の行動は変わる。耐えられなくなっただけの男は、また同じ輪を回るだけ。消えて、戻って、また消える。ぐるぐる。
だから、彼が急に優しくなった瞬間に喜ばないでほしい。喜ぶのは、そのあと予定が入ったときでいい。
好き避けか嫌い避けか、見分け方を探している時点でだいたい沼にいる
目が合う、他の女性には優しい。あの判定リストは効きません
よく出回っているやつ。目が合う回数が多い、自分にだけそっけない、他の女性とは普通に喋る、SNSは見ている。全部並べて、はい脈あり判定、と。
残念ながら、あれは嫌い避けの男にもきれいに当てはまります。目が合うのは、単に視界に入っているから。他の女性に優しいのは、どうでもいい相手には力が抜けるから。同じ現象、真逆の意味。判定、不能。
相談所ではそもそも心理を議論しません。書類が出るか出ないか。交際申し込みという紙が一枚。それだけで判断する。冷たいでしょ。でも救われた女性、めちゃくちゃ多かった。
分析に夢中な人ほど、決断が遅れていく
30代前半の会員さんで、交際三か月のあいだ、相手の返信時間と表情を毎回ノートに書き留めていた方がいた。分析は日に日に鋭くなる。なのに関係は一ミリも動かない。三か月目、相手は別の女性と成婚退会しました。ノートだけが分厚くなって残った(泣)。
彼女が悪いんじゃない。分析は行動の代わりになってしまう。それが一番こわいところ。
信じていいのは気持ちじゃなくて日程
連絡が減って、会う回数が増えたら本物
本気サインとしてよく語られるのが、LINEが増える、絵文字が増える、電話が長くなる。好き避けタイプに限っては逆に振れます。
文字は残る。残るものに感情を置くのが怖い。だから短くなる。うん、了解、そうだね。読み返すと絶望的なやりとり。
その代わり、彼らは会う予定だけは手放さない。ここを見て。次に会う日が確定しているか。今度ごはん行こうね、は予定じゃないよ。日にちがある。店が決まっている。彼が押さえた。この三つが揃った瞬間だけ、脈という言葉を使っていい。
即レスなのに予定を出さない男に、私は三年溶かした
返信三分。絵文字たっぷり。悩み相談もしてくる。友達は全員、それ絶対脈ありだよと言った。
でも会うのは三か月に一度。誘うのはいつも私。三年経って、彼は職場の後輩と結婚しました。招待状を開いたとき、ぽかんとしたまま五分くらい動けなかったな。
夫は真逆でした。付き合う前、既読無視三日は普通。返事はうん、とか、りょ、とか。感情ゼロ。それでも毎回、来週の土曜って空いてる? だけは送ってきた。感情は死んでいるのに、日程だけが生きていた。あれが答えだったんだと、今ならわかる。
追わない女が勝つ、を真に受けると普通に消えます
引いたら追ってくるのは、追う体力がある男だけ
恋愛テクとして定番の、引く。あれは追う筋肉を持っている男に効く技です。好き避けタイプにその筋肉はない。
あなたが引くと、彼はこう解釈する。やっぱり自分のことなんて好きじゃなかった。そして少し安心する。予想が当たったから。傷つかずに済んだから。ほっとして、そのまま終わる。
風邪をひいている人にサウナを勧めるようなものですよ、あれ。相手を選ばずに使う技じゃない。
追いかける先を、人から日にちに変える
やってはいけないのが、私のことどう思ってるの、という質問。好き避けの男はこれで完全に固まります。言語化を求められた瞬間、逃げ場を探し始めるから。
やるのは日程の提示。来週の木曜、19時、この店。もう予約したよ。決断のコストを地面すれすれまで下げてあげる。彼らは気持ちがないんじゃなくて、決めるのが下手なだけ。
私が夫にやったのは、チケットを二枚買って、行くよね、と送りつけたこと。返ってきたのは、了解、の二文字(笑)。それでも当日、三十分前に来て立っていた。人の気持ちは読めないけど、待ち合わせ場所に人がいるかどうかは目で見える。
それでも私が好き避け男を推す理由
関係が確定した瞬間に、あの人たちは化ける
入籍して二か月くらいだったかな。夫が急に喋りだしたんですよ。びっくりするほど喋る。何年分の言葉をためてたの、と本気で聞いた。
彼が避けていたのは私じゃなくて、決まっていない状態そのものだった。確定したらガードが要らなくなる。それだけの話だったらしい。
相談所でも同じ光景を何度も見ました。交際中はさんざん煮え切らなかった男性が、成婚退会した途端、式場も新居も驚異的な速度で段取りしていく。付き合う前だけ情熱的で、結婚後にしぼんでいく人の完全な逆。長い目で見れば、悪くない賭けだと思ってます。
ただし、同じことが三回起きたら降りる
無限に待つのとは違います。私が使っていた線引きは、三回。
誘って濁される。消えて戻ってくる。期待させて何もしない。同じ現象が三回続いたら、そこで終わり。責めない。理由も言わない。ただ日程を出すのをやめるだけ。ぷつん、と。
三回目で静かに降りた女性がその後どうなるか。だいたい二週間から一か月で、向こうから連絡が来ます。来なかったら、それがそのまま答えでしょ。悔しいけど、はっきりしていて気持ちいいくらい。
好き避けを見抜く才能なんて、たぶん誰も持ってない。私も持ってなかった。ただ、カレンダーだけは嘘をつかないんだよね。
