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初めて会った気がしないと言う男性心理

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目次

その一言で、空気の温度が一段上がる

向かい合って三十分くらい。
会話が途切れなくて、笑い方のタイミングも合って。
彼がふと、こう言う。

なんか、初めて会った気がしないですね。

こちらもつられて笑う。そうですね、と返す。
帰り道、その一言だけが何度も再生されるでしょ。
運命って、こういうことなのかな、と少しだけ思って、すぐに打ち消す。いや、そんなわけない、と。

確かめたいのは、その言葉の使用回数

七年間、婚活の現場でこの相談を何度受けたか分かりません。女性が嬉しそうに報告してきて、そのあとで声を落とす。でも、社交辞令ですよね、と。

言う男は、二種類しかいません。しかも見分け方は簡単です。

そもそも、既視感の正体は相性じゃない

まず仕組みから。運命的な話にしたい人には悪いけど、ここは冷静に書きます。

脳が、似た誰かの型を当てはめてる

初対面の相手と話すとき、人は無意識に過去の誰かと照合してます。
声のトーン、笑うときの目の細め方、話すテンポ。
似たパターンを持つ人が過去にいると、処理が省略される。だから初対面の負荷がかからない。

その省略された感覚を、初めて会った気がしない、と呼んでるだけなんですよ。
つまり彼の中で、あなたは誰かに似てる。
姉かもしれない。学生時代の友人かもしれない。元カノの可能性も、普通にある。

この感覚は、しょっちゅう起きます

特別な現象じゃありません。
男性会員の面談でも、けっこうな頻度で報告されてました。今日の人、なんか懐かしい感じがして、と。

運命の相手に一度しか起きないことなら、あんなに何度も聞くはずがない。
そこは、冷たいようだけど押さえておいたほうがいい。

言う男の一つ目は、場慣れしている人

種類の話に入ります。

あれは、距離を詰めるための道具として機能する

言われた側に何が起きるか。
警戒が下がります。自分だけ特別だと感じるので。

この効果を知っている男は、意識して使います。営業の研修で教えられることと、構造は同じです。共通点を提示して心理的な距離を縮める、というやつ。

現場で言うと、初対面から異様に会話が上手い男性会員は、この台詞をよく使っていました。お見合いの通過率は高い。感じもいい。
なのに、真剣交際まで残る率は、むしろ低かった。

見分け方は、その台詞が出るまでの時間

判定は簡単です。
何分で出てきたか。

会って三十分以内に出た場合、ほぼ道具です。
まだ何も知らない状態でしょ。相手の仕事も、家族も、笑いのツボも。知らないのに親近感を表明するのは、感想じゃなく技術なので。

二時間経ってから、別れ際にぽろっと出た場合。これは本物の可能性が高い。
実際に話してみた結果として出てきた言葉なので。

時間だけ見てください。内容じゃなく。

二つ目は、緊張が限界に来ている人

ここから裏返します。
慣れている男の台詞だと決めつけると、いい人を見落とします。

会話が続いたことに、本人が驚いてる

女性と話すのが苦手な男が、何かの拍子に会話が途切れなかった日。
本人がいちばんびっくりしてるんですよ。

今日はなぜか喋れた。詰まらなかった。
その驚きを言葉にしようとして、出てくるのがあの台詞です。
褒めたいわけでも口説きたいわけでもない。ただ、自分に起きた異常事態を報告してる。

五年言えなかった台詞を言った、四十三歳の男性会員

忘れられない人がいます。
五年活動して、成婚できずにいた男性でした。無口で、お見合いでも相手に緊張が伝わってしまうタイプ。

ある日の報告で、彼がこう言ったんです。
今日の人には、初めて会った気がしないと言ってしまいました、と。
しまいました、です。失敗したと思ってた。

軽い男だと思われたんじゃないか、と本気で心配してた。
(五年で一度も口説いたことがない人が、それを言ったのか…)
私はその場で、それは言ってよかったです、と伝えました。

女性側からの返事は、その日のうちに来ました。
交際を経て、翌年に成婚しています。
あとで女性に聞いたら、あの一言で、この人は本心を言う人だと思った、と答えてくれました。

既視感がある相手ほど、危ないこともある

懐かしさの正体が、悪い記憶の場合がある

初対面で妙に馴染む相手。
その馴染みやすさは、慣れた対人パターンだから起きます。

問題は、慣れたパターンが健全とは限らないこと。
高圧的な親の元で育った人は、高圧的な人に既視感を覚えます。振り回される関係が続いた人は、振り回す人に安心感を持つ。

現場でも、この相談を何度か受けました。すごく落ち着くんです、と言って選んだ相手が、過去の恋人と同じ型だった人。三回目でやっと気づいて青ざめていた。

初めて会った気がしない。この感覚は、相性の証明にはなりません。
自分が慣れている型、というだけの意味です。

判定するなら、体のほうを見て

話しやすいのに、帰り道にどっと疲れている。
楽しかったはずなのに、翌日その人のことを思い出したくない。

これが出たら、既視感の中身を疑ったほうがいい。
本当に合う相手といた日は、疲れが残らないので。

こちらが言う側に回る場合

使い方の話も書いておきます。

効果は高い。だから軽く使わないほうがいい

女性から言われると、男は想像以上に長く覚えてます。
面談で、十年前に言われた台詞を細部まで話す男性がいて、驚いたことがありました。

あなたが軽く言った一言が、相手の中で意味を持って保管される。その気がない相手には、使わないほうがいい。

使うなら、理由を足すと嘘っぽくなくなる

初めて会った気がしない、だけだと社交辞令に聞こえます。
喋るテンポが合うからかな、みたいな理由を一つ足す。

それだけで、感想として届くようになります。技術っぽさが消えるので。

その先に進むかどうかは、別の話です

ここを混ぜると失敗します。

馴染みやすさと、結婚の相性は連動しない

現場の実感として、初回から異常に話しやすかったペアの成婚率が特別高かった、ということはありませんでした。
むしろ、最初はぎこちなかったのに三回目から急に楽になったペアのほうが、しぶとく残ってた。

初対面の快適さは、その日の相性です。
生活の相性は、金の使い方、休日の過ごし方、疲れたときの態度で決まる。全部、二回目以降にしか出てきません。

あの一言を、次に会う理由にしていい

実務的な話をすると、あれは口実として優秀です。
初めて会った気がしないって言ってたけど、あれ本当だった。
連絡の一行目として、これほど自然なものはない。

社交辞令だったなら、返事が薄くなる。本物だったなら、話が続く。
どちらにしても答えが出るので、使ってみるといいです。

私も言われたことがあります。三人から

最後に自分の話を。

二十代のころ、三人の男性に同じ台詞を言われました。別々の時期に、別々の場所で。
一人目には、舞い上がりました。運命だと思った。三ヶ月で終わりました。
二人目のときは、また言われた、と思った。冷めた目で聞いてた。
三人目が、今の夫です。

彼が言ったのは、二回目に会ったときでした。しかも、別れ際に。
なんか、前から知ってる感じがする、と。

私はそのとき、正直、またこれか、と思いました。相談所で働き始めていた頃で、こういう台詞の裏を知りすぎていたので。
だから聞いたんです。それ、何人に言ってきたんですか、と。けっこう意地悪な聞き方で。

彼は、きょとんとしてから、こう答えました。
言ったことない。今、口から勝手に出た。

下手な返事でしょ(笑)
でも、その下手さで信じました。用意してきた人は、あんなに慌てないので。

あとから分かったことがあります。彼の姉と、私は声がよく似ているそうです。
既視感の正体は、たぶんそれでした。運命でも何でもない。

それでも、十年以上一緒にいます。
入り口が勘違いでも、続く関係は続くんですよ。

その台詞を言われて迷っているなら、意味を考えるのはやめていい。
何分で出てきたか、それだけ思い出してください。三十分以内なら技術、二時間後なら本心。判定はそれで足ります。

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