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不思議ちゃんの落とし方は変わってるねと言った時点で終わる

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好きになった相手が、何を考えているのか一ミリも読めない。
返信は来る。でも会話が続かない。突然、月の話をしてくる。楽しそうに見えた次の瞬間、ふっと目線が窓の外へ行く。
結婚相談所で、このタイプの女性会員を何十人と担当して分かったことがある。世の中に出回っている攻略法、彼女たちに対しては効かないどころか、正確に嫌われる方向へ働いていました。

目次

不思議ちゃんという名前は、たいてい見ている側がつけている

会話が三往復しないだけで、ラベルは貼られる

プロフィールの担当者コメント欄に、マイペースな方です、と書かれた女性がいました。29歳。面談で会うまで、私も勝手な絵を描いていた。
実際に会ってみたら、ものすごく普通の人だったんですよ。
何が起きていたか。彼女は聞かれたことに、考えてから答える人でした。三秒くらい黙る。その三秒が空欄に見えて、周りが勝手に埋めていただけ。
不思議ちゃんの正体、半分はこれです。相手の処理速度と自分の速度が違うだけ。ずれた分を、人は個性という袋に入れて片づける。
つまりあなたが落としたいと思っている不思議ちゃん、その名前は彼女の中に存在しません。あなたの側にだけある。

共感を返すな。返事が遅い人には、質問を減らす

攻略記事に必ず書いてある、彼女の世界観に共感する、というやつ。あれをやると、この手のタイプは黙ります。
理由は単純で、共感の相槌は返事を要求するから。分かるよ、と言われたら、うん、を返さなきゃいけない。相手のペースに割り込む行為なんですよ、あれ。
実際に効いていたのは逆でした。黙って待つ。次の質問を出さない。沈黙が三十秒あっても、平気な顔でお茶を飲んでいる。
これができる男性会員のところに、この手の女性は面白いくらい残っていました。

演じている人と、本当にそうな人。観客の有無で割れる

二人きりになった途端、普通に喋り出す人がいる

見分ける方法、ひとつだけ確実なやつを渡しておきます。人数です。
グループでは天然発言を連発するのに、二人になると急に的確な会話をしてくる人。この人は使っています。不思議さを、自分を守る服として着ている。悪いことじゃない。かわいい枠に入れば、能力で比較されずに済むから。
本当にそうな人は、逆に大人数のほうが静かで、一対一になると加速します。喋りたかったことがどっと出てくる。
どちらを好きになるかは自由ですけど、対応は別物になります。着ている人には、脱いでいい場所を用意する。素の人には、何もしない。

不思議枠で通していた25歳が、本当に困っていたこと

お見合いのたびに、動物の話ばかりする女性会員がいました。話題が全部ハムスターへ着地する。担当者たちの間では有名でした。
成立はする。交際に進まない。半年で十二回、全部同じところで止まっていた。
面談で正面から聞いたんです。仕事の話、しないんですね、と。
彼女、しばらく固まって、それから声を落として言いました。まともなこと言うと、つまらない子だと思われるので。
ざわっとしました。誰かに一度言われたんでしょうね、そういうことを。
その日から、次のお見合いでは経理の仕事の話を最初にしてもらいました。三回目で交際成立。決まった相手は、経費精算のシステムの話に食いついてきた人でした。
彼女が求めていたのは、世界観を褒めてくれる人じゃない。普通の話をしても逃げない人でした。

いちばんの地雷は、褒め言葉のほうにある

変わってるね、は理解を諦めましたの丁寧語

はっきり書きます。個性的ですね、変わってますね、不思議な人ですね。この三つ、全部アウト。
言っている側は褒めているつもりでいる。受け取る側の記録では、これは中学からずっと言われ続けている言葉です。しかも、たいてい距離を置かれる直前に言われている。
つまり彼女たちにとって、その一言は撤退の合図として学習済み。あ、この人も同じ流れだな、と処理される。ぐっと表情が閉じるのが分かります。
褒めるべきは性質じゃなくて、行動。さっきの話、途中で言い直したところが正確でしたね、みたいな。中身を見た証拠だけが届きます。

面白い人ですねと言った男性が、二回目で切られた

交際終了の連絡を受けて、女性会員に理由を聞いたことがある。相手は条件も申し分ない男性で、私は正直、もったいないと思っていました。
彼女の答えが、面白がられているだけだったので、でした。
何をされたんですか、と聞いたら、二時間のあいだに面白いですね、が七回。数えていたらしい。七回 こわい
その男性に悪気はなかったと思う。会話を回そうとして、手持ちの札を連打しただけ。ただ、褒め言葉を繰り返すという行為は、観察者の位置に立ち続けるということでもある。動物園の柵の外にいる人。
落としたいなら、柵の内側に入るしかないんですよ。

このタイプ、判定は驚くほど速い

見ているのは条件じゃなくて、店員への態度

現場での実感を書きます。不思議ちゃんと呼ばれる女性会員、決断が速い。三回目までに結論が出る人が多数派でした。年収や学歴で迷わないので、比較の作業が発生しない。
その代わり、変な場所を見ています。
店員さんへの言い方。傘を貸してくれるかどうか。歩く速度をこちらに合わせるか。頼んだものが違って出てきたときの、最初の一秒の顔。
理屈がないわけじゃない。ただ、採点表が世間と別のところに置いてある。条件を並べて勝負しに行くと、丸ごと空振りします。
ここ、朗報でしょ。年収でも身長でもないんだから。

二回目で決めた女性が、決め手として挙げたもの

成婚退会した27歳の女性に、決め手を聞いたことがあります。
返ってきたのが、私の靴を見て、店を変えてくれたので。
初回のお見合いのあと、彼が散歩に誘った。彼女はヒールだった。彼はそれを見て、目的地を変えて、近くの喫茶店に切り替えた。何も言わずに。
それだけ、です。
本人はプロポーズの言葉をほとんど覚えていませんでした。靴のことだけ覚えている。
このタイプ、言葉の記憶が弱くて、動作の記憶が異様に強い。だから口説き文句を磨いても手応えがない。手応えがないから、みんな途中で降りていく。もったいない話です。

落とすという発想を降ろした人だけが、隣に立てる

合わせるのをやめて、自分の予定に呼ぶ

やってはいけないのが、彼女に予定を委ねること。どこ行きたい? 何食べたい? これを聞かれると、この手の人は本気で困ります。選択肢が多すぎると全部止まるので。
効くのはこっち。日曜に古い橋を見に行くんだけど、来る?
自分の予定を先に置いて、席を一つ空けておく。合わせてもらう形にしない。返事はたいてい、なんで橋? と返ってきます。会話、そこから始まる。
ちなみに断られても落ち込む必要はありません。このタイプ、興味がないだけで嫌いとは限らないので。三回誘って一回来れば上等。

私も、貼られる側にいました

白状しますけど、学生の頃、私はよく変わってるねと言われていました。
褒め言葉だと思っていた時期もある。二十歳くらいで気づきました。あれ、理解を諦めましたの丁寧な言い方だな、と。ふわっと持ち上げて、そのまま置いていく作法。
だから相談所で、担当者がマイペースな方ですと書いた紙を見るたび、胃のあたりが冷たくなっていました。この子、これから何十回も柵の外から見られるんだな、と思って。
当時、私を面白がらなかった男が一人だけいて、それが今の夫です。彼がやったこと、本当に何もない。褒めもしない、共感もしない、私が黙っていても放置する。
ある日、何で私といるの、と聞いたら、話しやすいから、と返ってきた。それだけ(笑)
落とし方を探しているうちは、たぶん届きません。落とす対象として見られていることは、言葉より先に伝わるので。
不思議ちゃんは、あなたが柵から手を離すまで、ずっとこちらを見ていますよ。

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