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手を繋ぎたくない心理|好きな人でも嫌なのは異常じゃない

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好きなのに、手だけが無理

差し出された手を見て、体が固まる。
好きな人なのに。
一緒にいたいのは本当なのに、その手だけがどうしても受け取れない。
私、どこか壊れてる?
断ったあとの相手の顔を思い出して、夜中に落ち込む。次はちゃんとしようと決意して、また同じところで止まる。

好意と接触は、別の回路で動いてる

まず好きなら触れたくなるはず、という考え方。あれ、根拠がありません。
感情の強さと、身体接触への快適さは、まったく別の系統で動いてます。
好きだから触れたい人もいるし、好きだからこそ緊張して触れられない人もいる。
どっちも普通です。
そして厄介なのが、世の中の恋愛の話が前者だけを前提に作られていること。だから後者の人は、自分に問題があると思い込む。

手を繋げない理由は、大きく四つあった

面談で聞き取ってきた内容を分類します。

一つ、感覚そのものが不快

まずこれ。手の感触が単純に苦手というタイプ。
汗ばむのが嫌、手の温度が違うのが気になる、握られる圧が不快。
これは感情の問題じゃなく、感覚の問題です。
特定の触感に強く反応する人は一定数いて、洋服のタグが我慢できない人や、特定の生地が着られない人と同じ系統。
恋愛感情でこれを克服するのは、けっこう難しい。
好きだから我慢できるようになる、という話じゃないんですよ。

二つ、見られることが無理

これも多かった。
手を繋ぐこと自体は平気でも、公共の場でやるのが耐えられない人。
三十代の女性会員がこう言っていました。
知らない人に、恋人同士だと分かる状態で歩くのが恥ずかしくて。
彼女は自宅で二人きりのときは平気だった。
つまり接触が嫌なんじゃなく、表示が嫌だった。
この違いに本人が気づいていないケース、かなりあります。

三つ、拘束されている感じがする

私が個人的にいちばん納得したのがこれ。
手を繋ぐと、片手が使えなくなる。歩く速度も相手に合わせることになる。
自由が減るんですよ、物理的に。
これに強い抵抗を感じる人がいます。腕を組むのは平気なのに手は無理、という人はだいたいこれ。
逃げられない状態を作られることへの、体の反応。

四つ、過去の経験が残ってる

最後がこれで、慎重に扱うべき領域。
過去に同意なく触れられた経験がある場合、手を繋ぐという行為に別の記憶が乗ります。
本人が忘れているつもりでも、体が覚えていることがある。
七年の中で、この理由に行き着いた会員さんが何人かいました。
自分でも理由が分からず苦しんでいた人が、話しているうちに昔のことに繋がって、そこで泣き出した面談もあった。
これは克服の話じゃありません。専門家に相談していい領域です。

相談所で見た、手を繋げなかった女性会員

三ヶ月、真剣交際に進めなかった

具体例を書きます。
三十代後半の女性会員。交際は順調で、相手のことも好きだと言っていた。
それなのに真剣交際に進めない。理由が本人にも説明できない。
話を聞いていくと、原因が出てきました。
デートのたびに彼が手を繋ごうとする。そのたびに、彼女は自然な形でかわしていた。荷物を持ち替えたり、髪を触ったり。
毎回それをやることに、彼女は疲れ果てていたんです。
好きな人を避け続ける自分が嫌で、会うこと自体が怖くなっていた。

相手に伝えたら、あっさり終わった

私は彼女に、正直に伝えることを勧めました。
彼女はものすごく嫌がった。振られると思ったから。
それでも次のデートで言ったそうです。手を繋ぐのが苦手で、あなたが嫌なわけじゃない、と。
男性の返事がこれでした。
ずっと嫌われてると思ってました。よかった。
彼、三ヶ月間ずっと不安だったんですよ。かわされるたびに、脈がないと思ってた。
つまり黙っていたことで、二人とも別々に苦しんでいた。
言った翌週から、彼は手を出さなくなり、代わりに歩くときに歩幅を合わせるようになったらしい。
成婚しました。

言わないことが、いちばん誤解を生む

この事例で分かるのは、拒否そのものは問題にならないということ。
問題は、理由が伝わらないまま拒否だけが届くこと。
差し出した手をかわされた人間は、自分が嫌われたと解釈します。それ以外に解釈しようがないから。
だから伝えるしかない。恥ずかしくても。

伝え方で、結果がまったく変わる

嫌いと苦手を、分けて言う

現場で使っていた言い方を書きます。
手を繋ぐのが苦手なんだけど、あなたが嫌なわけじゃないの。
この後半が絶対に必要です。
前半だけだと、相手は自分が原因だと考える。人間はそういうふうにできてる。
そして可能なら、代わりに大丈夫なものを一つ出す。
腕を組むのは平気。
座ってるときに隣にいるのは好き。
拒否だけで終わらせず、通れる道を一本示す。これで相手の不安がかなり消えます。

いつか慣れるかも、は言わないほうがいい

これは経験からの忠告。
そのうち平気になるかもしれない、と言ってしまう人がいます。優しさで。
これは相手に期限のない待機を発生させるので、やめたほうがいい。
待たされている側は、いつまで待てばいいのか分からないまま過ごすことになる。
慣れるかどうかは、そのとき分かればいい。今の時点で約束しない。

私自身の話も書いておく

付き合いたての頃、手汗が怖かった

恥ずかしい話、私は手を繋ぐこと自体は平気なんですが、付き合い始めた頃、手汗が異常に気になっていました。
繋いだ瞬間に汗をかいて、それを気づかれるのが怖い。
だから繋ぐ前に必ず服で拭いてた。何食わぬ顔で。
今の夫に、あるとき言われました。
なんでいつも手を拭くの。
バレてた(笑)。
恥ずかしさで顔から火が出そうになりました。でも、そこで説明したら、彼が笑って自分も同じだと言った。
二人とも同じことを気にしてたんですよ。

気にしていたのは、自分だけだった

この経験で分かったのは、身体接触の悩みは共有すると軽くなるということ。
一人で抱えていると異常に思える。話すと、意外とありふれてる。
今でもうちは、外で手を繋ぎません。子どもと繋いでるので必然的にそうなるんですが、それが定着した。
繋いでいないから愛情がないかというと、そんなことはないでしょう。

手を繋がない関係が、どうなったか

触れない期間があったカップルの、その後

最後に、追跡していて気づいたことを書きます。
交際中に身体接触が少なかったカップルと、早い段階から接触が多かったカップル。
成婚後の継続率に、明確な差はありませんでした。
むしろ、接触が少なかったほうが会話量が多かった。
理由は想像がつきます。触れられない分、言葉で確認する習慣がついたから。
手を繋げば伝わることを、言葉で伝えるしかなかった。その積み重ねが効いてる。

克服しなくていい

私の結論はこれです。
手を繋げないことは、直すべき欠陥じゃない。
直そうとして無理に触れ続けた会員さんは、だいたい交際そのものが嫌になっていました。
体が拒否しているものを意志で押し切ると、関係全体への拒否に広がる。
必要なのは克服じゃなく、伝えることと、代わりの形を見つけること。
あの三十代後半の彼女、成婚報告のときに言っていました。
今も手は繋いでないです。でも、毎日一緒に歩いてます。
それで十分だと思う。

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