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余裕がないと性格が悪くなるのは本当|元に戻る条件

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自分の口から出た言葉に、自分でぎょっとする

コンビニの店員の手際が遅い。それだけで舌打ちが出そうになる。
友達の結婚報告に、素直におめでとうが言えない。
夫の返事が一拍遅いだけで、いらっとする。
私、こんな人間だったっけ?

性格の悪さに見えているものの正体

余裕がないときに何が起きているか。
人は他人の行動に理由を補完する能力を失います。
店員が遅いのは、新人で緊張しているのかもしれない。夫の返事が遅いのは、疲れているのかもしれない。
普段は無意識にやっている補完作業が、止まる。
補完がないと、目の前の事実だけが残ります。遅い、返事しない、自慢してくる。
その状態で反応すれば、そりゃ棘が出る。

婚活は、余裕を削る装置だった

いちばん見たくなかった光景の話をします。

入会時と半年後で、別人になる会員

入会面談のときは、穏やかで、感じのいい人だった。
それが半年経つと、変わる。
お見合いの相手の欠点を挙げるようになる。年収が低い、写真と違う、話がつまらない。
面談で他人の悪口が増えていく。
私は最初、その人の本性が出たんだと思っていました。取り繕っていたものが剥がれたんだ、と。
違いました。
断られ続けた人間から、余裕がなくなっていっただけ。

三十回断られた女性が言った言葉

忘れられない会員さんがいます。
四十代の女性。真面目で、常識的で、誰にでも丁寧な人でした。
入会から一年で、お見合い三十回。交際に進んだのは二回。
ある日の面談で、彼女がぽつりと言いました。
最近、街で幸せそうな家族連れを見ると、嫌な気持ちになるんです。私、こんな人間じゃなかったのに。
そのあと泣いてしまって、面談室で三十分くらい二人で黙ってた。
彼女の性格が悪くなったんじゃない。一年間、否定され続けたら誰でもそうなる。
私は、それをちゃんと言葉にして伝えました。あなたが変わったんじゃなく、状況が人を削っただけです、と。

余裕を奪うものは、時間じゃない

ここが今日いちばん書きたいところ。

忙しさより、先が見えないほうが効く

余裕がない原因を、多くの人は忙しさだと思ってます。
実際は違う。
締切があって忙しい人は、意外と性格が保てます。終わりが見えているから。
削られるのは、いつ終わるか分からない状態に置かれた人のほう。
婚活がまさにそれでした。成婚するまで終わらない。何回断られれば終わるのかも分からない。
育児も同じ。介護も同じ。
先が見えない負荷は、時間の長さと関係なく人を消耗させる。

もう一つは、評価され続ける状態

これも大きい。
常に誰かに判定されている状況にいると、余裕は急速に減ります。
婚活は、毎回自分が採点される。写真、年齢、年収、会話。全部が評価対象。
職場の人間関係でも、育児でも、同じことが起きます。義理の親から見られている、他の母親と比較される。
判定される側に固定されると、人は他人に対して厳しくなる。
自分が採点されている分を、どこかで取り返そうとするんだと思う。

私が、いちばん嫌な人間だった時期

子どもが一歳のとき

自分の子どもが一歳の頃、私は完全に人格が変わっていました。
夫が食器を洗ってくれた。洗い残しがあった。
そのとき私が言った言葉、今でも覚えてる。
やってくれるのはありがたいけど、これじゃやってないのと同じだよね。
最低でしょ。
言った瞬間に自分でも分かってました。これは言っちゃいけないやつだって。
でも止まらなかった。喉から勝手に出てくる感じ。

何が回復させたか

その時期を抜けたきっかけは、実家に子どもを預けて一人で四時間過ごした日でした。
特別なことは何もしてない。カフェに座って、本を三十分読んで、あとはぼうっとしてた。
帰ってきたときの自分の言葉が、明らかに柔らかくなってた。
四時間で戻るんですよ、人間って。
一年かけて悪くなったものが、四時間で。
あれが分かってから、私は自分を性格の問題として扱うのをやめました。

戻すために、実際に効いたこと

反省するほど悪化する

まず、やめたほうがいいことから。
自分の言動を反省して、次は優しくしようと決意するやつ。
あれ、効きません。むしろ悪化する。
理由は、決意そのものが処理能力を使うからです。
ただでさえ足りないリソースを、自己監視に回すことになる。
そして守れなかったときに、自己嫌悪が追加される。
余裕がない人が反省すると、余裕がさらに減る。この循環に入ってる人、めちゃくちゃ多い。

削るべきは、判断の回数

効いたのはこっちでした。
一日の中で、決める場面を減らす。
何を食べるか、何を着るか、どっちの店に行くか。この手の小さな判断が、思っている以上に消耗させてる。
婚活中の会員さんには、お見合いの服を固定してもらっていました。毎回同じ組み合わせ。
これだけで面談での表情が変わった人が何人もいます。
判断の総量が減ると、他人に対する補完能力が戻ってくる。

誰かに悪態をつく場所を作る

これも有効でした。
性格が悪い自分を、安全に出せる場所を一つ持つ。
私にとっては相談所の同僚でした。休憩室で、聞いてくださいよって愚痴る時間。
そこで全部出しておくと、会員さんの前では戻れた。
出す場所がない人は、いちばん近い人に漏らします。だいたいパートナーか子ども。
それがいちばん高くつく。

余裕がない人を、責める世の中について

心に余裕を持ちましょう、という言葉が嫌い

炎上覚悟で言いますが、あの手のアドバイス、私は本当に嫌いです。
余裕がない人に余裕を持てと言うのは、お金がない人にお金を使えと言うのと同じでしょう。
持てるなら持ってる。
必要なのは心構えじゃなく、負荷を実際に下げること。それしかない。
一日の仕事を減らす、人に頼む、期待されている役割を一つ降りる。
物理的に減らさない限り、性格は戻りません。

戻らない人はいないと思ってる

七年見てきて、これだけは言えます。
余裕がなくて人当たりが悪くなっていた会員さんが、成婚した途端に別人みたいに穏やかになる。
何度も見ました。
性格が良くなったんじゃない。負荷が消えただけ。
あの四十代の女性会員も、そのあと成婚しました。報告に来たとき、笑い方が入会当初に戻ってた。
街で家族連れを見ても、もう平気になりましたと言っていました。
だから今、自分の性格が悪くなったと思っている人は、その判定を保留にしておいたほうがいい。
今のあなたは、負荷がかかった状態の観測値でしかないので。
四時間でいい。誰にも判定されない時間を取れば、けっこう戻ります。

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