あの一瞬、頭が真っ白になるやつ
コツン。
つま先が当たる。
その瞬間、会話の内容が全部飛ぶ。相手の口が動いているのに、何を言っているのか入ってこない。
足を引くべきか、動かさないでおくべきか。
判断する材料が何もないまま、二秒くらいが異様に長く感じる。
今の、わざと? ただの偶然?
男性は自分の足の位置を把握していない
これを言うと女性は驚くんだけど、男性の多くは、自分の脚がテーブル下でどこまで伸びているかを認識していません。
体格の問題です。座高が高くて脚が長いと、椅子に座った時点で膝から下の置き場所がない。
だから無意識に前へ投げ出す。カウンターや狭いテーブルなら、ほぼ確実に相手側の領域に入る。
相談所時代、男性会員に聞き取りをして愕然としたことがあります。デート中に足が当たったことを覚えていた人、半分もいなかった。
女性側は全員覚えてるのに。
この非対称、けっこう根深いです。
それでも偶然で片づかない接触がある
とはいえ、全部が無意識かというと違う。
故意の接触は確実に存在します。しかも、やる側にはある共通した意図がある。
確認したいんですよ。言葉で聞く勇気がないから、足で聞いてる。
好意の告白じゃなくて、事前調査。ここが誤解されやすいところ。
三秒で全部わかる、という話
判別方法をひとつだけ挙げろと言われたら、私はこれを選びます。
当たった直後の三秒。
偶然の人は、ほぼ確実に足を引く
自分の脚が誰かに当たったと気づいた人間の反応は、驚くほど画一的です。
反射的に引く。それも急に。
そして、たいてい直後に会話が不自然になる。話題が急に変わったり、意味なく水を飲んだり、姿勢を組み直したり。
本人が気まずいから。
謝る人もいる。あ、すみませんと小さく言う。これが出たら、九割九分ただの事故です。
故意の人は、動かさない
対して、意図がある場合。
足はそのまま。位置を変えない。そして相手の顔を見る。
これが決定的なんです。
反応を待ってるから、目線が上がる。当たった瞬間より、その直後の視線のほうが情報量が多い。
接触したまま会話を続けようとする人は、あなたが引くかどうかを測っています。
引かなければ二回目が来る。今度はもう少し長く。
いちばんタチが悪い、覚えていないふり
三つ目のパターンがあって、これが厄介。
当てておいて、まったく反応しない人。目線も動かない、足も動かない、会話も途切れない。
一見すると完全な無意識に見えます。
でも、本当に無意識な人は接触の継続にも気づかないので、体勢を変えたときに自然と離れるはず。離れないまま何分も続くなら、それは認識している。
気づいていないふりをすることで、こちらが指摘しにくい状況を作ってる。
指摘したら、こっちが自意識過剰な人になる。その構図を利用されてます。
相談所で見た、足で全部を壊した男性
成婚寸前だった三十代の会員
忘れられない事例があります。
三十代後半の男性会員。真剣交際に入って、両親への挨拶の日程まで話が出ていた人。
その彼が、四回目のデートで女性の足に触れた。
状況を女性側から聞くと、こう。カウンター席で、当たったあと彼は引かなかった。彼女も動かなかった。しばらくして、彼が軽く足を寄せてきた。
彼女はその日、笑顔で別れて、翌日に交際終了を申し出ました。
理由がすごかった。
嫌だったわけじゃないんです。ただ、聞かれなかったことが怖くて。
男性側の言い分
彼の話も書くと私が電話したとき、彼は本気で何が起きたのかわかっていませんでした。
順調だと思っていた、と。手を繋ぐ前に、まず距離を縮めたかった、と。
悪意はゼロ。むしろ慎重にやったつもりだった。
段階を踏んだつもりで、実際は段階を飛ばしていた。彼にとって足は手より軽い接触だったけど、彼女にとっては逆だったんです。
だって足って、確認できないでしょう。テーブルの下は見えない。見えない場所で起きたことは、記録に残らない。
記録に残らない接触は、それ自体が不安の材料になる。
彼はそのあと半年かけて別の女性と成婚しました。同じことを二度としなかったのは間違いない。
男性心理を分解すると、三種類しかいなかった
本気で気づいていない層
最多。体格と癖の問題で、悪意がない。
この層に対して距離を取ると、こちらの好意が下がったと誤解されます。もったいない話。
指摘するなら軽くていい。ごめん、当たってるかもと笑って言えば、相手は真っ赤になって謝ります。それで終わり。
関係にはむしろプラスに働くことが多かった。
好意はある、でも聞く度胸がない層
これが二番目。
言葉にする自信がないから、非言語で打診してくる。
気持ちは本物なんですよ。ただし手段が不誠実。
拒絶されても、当たっただけと言い張れる逃げ道を先に確保してる。傷つきたくないから足を使う。
ここをどう評価するかは、正直、人によると思う。私は好きじゃない。だってリスクを全部相手に押し付けてるから。
ただ、この層は指摘すると急に誠実になることがある。バレたと自覚した瞬間に、言葉で言い直してくる人が一定数いました。
反応を試して、次の判断材料にする層
最後がこれ。
好意があるかどうかとは無関係に、この人はどこまで許すのかを測っている。
足で引かないなら、次は手。手で拒まないなら、次はもっと。
段階的に領域を広げていく人。
はっきり言います。この層に一度でも曖昧な態度を返すと、後で断るときのコストが跳ね上がる。
最初の一回で引くのが、いちばん安い。
じゃあ、どうすればいいのか
足を引くだけでは何も伝わらない
多くの女性が取る対応がこれ。黙って足を引く。
気持ちはわかる。波風を立てたくないもんね。
ただ、この方法は情報量がゼロなんですよ。
故意だった相手は、単に足の位置を変えただけと解釈します。拒絶として伝わっていない。
だから二回目が来る。
無言の撤退は、相手にとっては継続の許可に見える。ここ、本当に多くの人が誤解してる。
言葉にした瞬間、相手の正体が出る
効くのは、軽く声に出すこと。
あ、当たってますね。
この一言でいい。責める必要も、深刻にする必要もない。
偶然の人はすぐ謝る。好意があって度胸がない人は照れる。試していた人は、表情がわずかに固まります。
判別はこれで一発。
言った時点で気まずくなるのが怖い、という気持ちはよくわかる。でも考えてみて。気まずくなる相手なら、その先も気まずいでしょ。
触れられて嫌じゃなかったとき
足が当たって、ドキッとして、嫌じゃなかった。そういう場合もある。当たり前だよね。そのときも、足で返事をしないこと。
足で返すと、その関係は言葉を持たないまま進みます。言葉を持たない関係は、後から何かあったときに何も確認できない。
返すなら口で。
そのまま置いておいてもいいですよ、なんて言える人は少ないと思うけど、笑って足を引いて、代わりにその日の別れ際に手を出すくらいのほうがいい。
見える場所で触れる。
これ、私が現場でずっと言ってたことです。
