出会えてよかった、という言葉の重さ
ありがとう、楽しかった、また会いたい。これらとは少し違う重みを持つ言葉がある。出会えてよかった、だ。
この言葉が出てくるとき、相手の中で何かが確定している。単純に楽しかったという感想じゃなくて、この人と出会ったことで自分の何かが変わった、または変わりそうだという感覚が伴っている。
結婚相談所でアドバイザーをやってきて、女性会員から出会えてよかったという言葉が出てきた瞬間を何度も見てきたが、その言葉が出るとき、どんな相手に対して出ていたのかを振り返ると、共通したパターンが見えてくる。
出会えてよかったと思われる男性は、何が違うのか
外見がいい男性に対して出会えてよかったと言う女性もいる。でも外見への言及は、かっこいい、素敵、という言葉で出てくることが多い。出会えてよかった、という言葉は、外見より深い部分への反応から出てくる。
この言葉が出る男性には、共通した何かがある。その何かを、現場で見てきた経験から書いていく。
出会えてよかったと言われる男性の特徴
その人といると、自分が少し変わる感覚がある
出会えてよかった、という言葉が出るとき、相手の女性の中に、この人と話したら何かが変わった、という感覚がある。新しい視点をもらった、考えていなかったことを考えるようになった、自分の中で止まっていたものが動いた。
これは大げさな話じゃなくて、小さなことでいい。その人の一言が、ずっと頭に残っている。あの話を聞いてから、何かが違う気がする。そういう小さな変化が、出会えてよかったという言葉を生む。
颯太さん、36歳の男性会員が交際中の女性から出会えてよかったと言われたとき、どんな話をしていたかを教えてくれた。特別なことを言ったわけじゃなかった、と言っていた。ただ、女性が仕事で悩んでいた話に対して、自分だったらこう考えると正直に話しただけだと。その考え方が、女性には今まで持っていなかった視点だったらしい、と。
何かを変えようとして話すんじゃなくて、正直に自分の考えを話せた結果として、相手の中で何かが動いていた。
その人の前では、自分のままでいられた
出会えてよかった、という言葉が出る男性の横にいると、女性は自分のままでいられる感覚がある。気を使わなくていい、取り繕わなくていい、弱いところを出しても大丈夫な感覚。
これが出てくる男性は、相手を評価している感じを出さない。いい悪いで判断している空気がない。相手が何を言っても、そうなんだ、という受け取り方をする。この受け取り方が、相手の女性に自分のままでいていい、という感覚を作る。
相談所で女性会員から、この人と話していると楽、という言葉が出てきたとき、その男性との関係はほぼ例外なく進んでいった。楽、という感覚の中に、自分のままでいられるという体験が入っている。
話を聞いてもらえた感覚が残る
ちゃんと聞いてもらえた、という感覚は、話した内容を覚えていてくれることで生まれる。先週話したことを今週覚えていてくれた、ちらっと言ったことを気にかけてくれていた。この積み重ねが、出会えてよかったという言葉につながっていく。
聞く、という行為は受動的に見えるけど、実は能動的な行為だ。相手の言葉を受け取って、頭に入れて、後から取り出せる状態にしておく。これができる男性は、女性から出会えてよかったと言われやすい。
颯太さんも、話をよく覚えていると女性から言われたと話してくれた。意識してやっているわけじゃない、好きだから頭に入ってくる、と言っていた。好きだから覚えている、という自然な状態が、相手には大事にされている感覚として届いていた。
出会えてよかったが生まれる瞬間の話
困っているときに動いてくれた瞬間
女性が困っているとき、大変なときに、自分から動いてくれた経験が出会えてよかったという感覚を生むことがある。助けを求めていないのに気づいてくれた、言葉にしていないのに察してくれた、都合をつけて来てくれた。
困っているときの行動に、その人の本質が出る。元気なときの接し方は誰でもある程度できる。しんどいときに相手のことを考えて動ける人は、そう多くない。だからその行動が記憶に残る。
ある女性会員が、体調を崩したとき交際相手が仕事の昼休みに来てくれたと話してくれた。大げさなことは何もしてくれなかった、でも来てくれた、という事実だけが残ったと言っていた。その日から出会えてよかったという感覚が生まれた、と。
行動の規模じゃなくて、行動した事実が残る。
弱いところを見せてくれた瞬間
意外かもしれないけど、男性が弱いところを見せてくれた瞬間に、出会えてよかったという感覚が生まれることがある。失敗談を話してくれた、不安を正直に言ってくれた、格好悪い部分を隠さなかった。
弱さを見せてもらえると、この人は自分を信頼してくれているという感覚が生まれる。信頼された感覚は、相手への信頼感に変わっていく。完璧に見せようとしている人より、弱さを見せてくれる人の方が、深いところで繋がれる感覚がある。
颯太さんが女性から出会えてよかったと言われたのも、仕事でうまくいかなかったことを正直に話した夜だったと教えてくれた。格好悪いところを見せてしまったと思っていたら、逆にそこから関係が深まった、と言っていた。
何でもない日の一言が刺さった瞬間
特別な日でも、特別な場所でもない、何でもない日の一言が、出会えてよかったという感覚を作ることがある。普通の会話の中で、さらっと出てきた言葉が、ずっと頭に残る。
その一言は、相手をちゃんと見ていないと出てこない言葉だ。あのとき言ってたこと、ずっと気になってた。それを言えるためには、あのとき言っていたことを覚えていなければならない。覚えているためには、相手への関心が必要だ。出会えてよかったを生む一言は、関心の深さから出てくる。
出会えてよかったと言われない男性との違い
自分の話が中心になっている
出会えてよかったと言われにくい男性の特徴として、会話が自分中心になっていることが多い。相手の話を聞いているようで、すぐ自分の話に戻る。相手の言葉への反応が薄くて、次に言いたいことを考えている。
この状態では、話を聞いてもらえた感覚が相手に生まれない。聞いてもらえていない感覚が続くと、この人と話してもあまり意味がないという感覚になっていく。
正解を言おうとしている
相手が喜ぶことを計算して言おうとしている男性は、どこかぎこちなくなる。正解を探している感じが伝わって、本音で話していないという印象が残る。
出会えてよかったを生む言葉は、正解を探して出てきたものじゃない。自分が感じたことを、そのまま言葉にしたものだ。颯太さんが言った一言も、正解を探して言ったわけじゃなかった。自分がそう思ったから言った、それだけだった。
正直さが、出会えてよかったを生む言葉の材料になっている。
出会えてよかったという言葉が生まれる関係の話
特別なことをしなくていい
出会えてよかったと言ってもらいたくて、何か特別なことをしようとする必要はない。高価なプレゼント、サプライズ、完璧なデートの設計。これらが出会えてよかったを生むかというと、そうでもない。
現場で見てきた経験から言うと、出会えてよかったという言葉が出るのは、特別な出来事への反応じゃないことの方が多かった。何でもない日の積み重ねへの反応として出てくることの方が圧倒的に多かった。
相手に向いている時間の質が全部だ
出会えてよかったを生む関係に共通しているのは、相手に向いている時間の質だ。一緒にいるとき、どれだけ相手に意識が向いているか。スマホを触っていないか、相手の話を受け取っているか、相手の変化に気づいているか。
この質が高い男性の横にいると、女性は大事にされている感覚が積み重なっていく。その積み重ねの先に、出会えてよかったという言葉が生まれる。
颯太さんは退所のとき、その言葉をもらったときのことを嬉しそうに話してくれた。でもその言葉より、言われる前の時間の方が大事だったと思うと言っていた。言われたいから頑張っていたわけじゃない、好きだから自然にそうなっていただけだと。
その自然さが、出会えてよかったという言葉を生む。そこだけは、作れるものじゃない。
