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恋愛で罪悪感に駆られるのはなぜ?消えない後ろめたさの正体と手放し方

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恋愛で罪悪感に駆られるのは、相手を大切に思っている証拠。
優しい人ほど苦しむもの。そんな慰めがいくらでも出てくるでしょ。

目次

罪悪感は優しさの証明、というよくできた嘘

元彼を一度も思い出さなかった焼肉の夜

二十七歳の冬に入会してきた女性がいた。
三年付き合った彼と別れて、半年。
切り出したのは向こうでも、彼女自身この先はないと感じていたそうです。

二回目の面談で、彼女は小さな声でこう言った。
「別れた翌週、友達と焼肉に行ったんです。終電まで笑ってて。シャワーの最中に、今日一度も彼を思い出してないって気づいて」
その瞬間、胸がズシンと沈んだ。
楽しかった一日が、急に後ろめたいものへ裏返る。

付き合っていた頃だって、仕事に没頭する日も、友達とバカ笑いする日もあったはず。
誰もそれを愛情不足とは呼ばなかった。
なのに別れた途端、考えていない時間が罪に化ける。
おかしな話よね。

元彼は、そこまで元カノのSNSを見ていない

彼女は、友達との写真をSNSに上げる前にも指が止まると話していた。
幸せそうに見えたら、もう吹っ切れたと思われるかもしれない。
だから一枚、選び直す。
笑顔が控えめなほうに。

聞いた瞬間、正直言って吹き出しそうになりました(ごめん)。
元彼、そこまで見てないから。
見ていたとしても、三秒後には次の投稿へ流れていく。

彼女が加減していたのは、写真じゃない。
頭の中に元彼の目を一台据えつけて、そこに映る自分の一日を調整していた。
苦しみ続けることが愛の証、みたいな感覚がどこかにあったんだと思う。

でもそれ、愛とは別物。
彼を想って泣く私のほうが、焼肉で笑う私より上等に見える。
その上等な自分を、手放したくなかっただけなのよ。

授乳の合間に飲んだ、たった一杯のラテ

偉そうに書いたけど、私もやらかしている。
長男が生後四ヶ月の頃のこと。
夫が、二時間だけ外に出ておいでと送り出してくれた。
近所のカフェで、甘いラテを頼む。
一口目は、体にしみるほどおいしかった。

二口目で、背中がゾワッとした。
(今ごろ泣いてるかも。母親なのに、私だけ楽しんでる)
結局、半分残して四十分で帰宅です。
息子は夫の腕の中で、平和に寝息を立てていました(泣)。

あの時の私が罰していたのは、誰ひとり傷つけていない自分。
罪悪感に駆られる夜の大半は、たぶんこれと同じ顔をしている。

誰も傷ついていない罪悪感と、誰かを傷つけた罪悪感

お断りを出して眠れない彼女と、翌週の彼

二十六歳の会員さんの話もしておきたい。
お見合いから仮交際に進み、三回デートした相手がいた。
誠実で、将来の話もしてくれる人。
それでも四回目の誘いを前に、彼女は交際終了を選んだ。

そこからが長かった。
せっかく時間を作ってくれたのに。
私なんかが、選ぶ側に回っていいのか。
ずっと選ばれない側にいた人ほど、断る側に回った途端に自分を責め出す。
送れるわけでもない謝罪文を、スマホのメモに打っては消す。
そんな夜が、一週間は続いたと聞きました。

ここからが皮肉なところで。
相手の男性も、同じ相談所の会員だったんです。
担当は別のアドバイザー。
社内の進捗会議で、たまたま耳に入ってきた話がある。
その彼、交際終了の翌週には、もう次のお見合いを二件入れていたって。
まさか!と声が出そうになった。

悪い人じゃない。
むしろ健全。
婚活は、本来そういうものだから。

彼女の罪悪感は、一ミリも相手に届いていなかった。
宛先のない手紙を握りしめて、ひとりで夜更かしを重ねていた。
はぁ…。
(それを本人に伝えられたら、どれだけ楽にしてあげられたか。守秘義務がこんなに歯がゆかったことはない)

昔の人がよぎったまま、式場を決めていい

三十歳の会員さんは、真剣交際の終盤にこんな相談を持ちこんできた。
式場の下見の帰り道、彼に本当に俺でいいのかと聞かれた。
もちろん、と即答したという。
なのにその夜、ベッドの中で昔好きだった人の顔が浮かんでしまった。

連絡なんて取っていない。
会う予定もない。
思い出がひとつ、勝手によぎっただけ。
それでも、この気持ちを抱えたまま結婚していいのかと、彼女の顔は真っ青だった。

私の返事は短かった。
いいに決まってるでしょ!
成婚退会の面談で、この手の打ち明け話を何度聞いたかわからない。
昔の誰かが一瞬もよぎらない花嫁なんて、私はひとりも知りません。
思い出は通り雨みたいなもので、そこに住むかどうかはまったく別の話。

未来を選ぶ瞬間、人は自分に許可を出すのが下手になる。
罪悪感は、その隙間に何食わぬ顔で入り込んでくるのよね。

ここまでの話には、共通点がある。
誰も傷ついていない。
罪悪感の宛先が、どこにも存在しないってこと。
ところが世の中には、宛先が明確な罪悪感もあって。
そっちは放っておくほど、借金みたいに利息がふくらんでいく。

罪悪感からの優しさは、二度目の裏切り

結婚式の二次会のあと、彼女が始めた罰ゲーム

二十八歳の会員さん。
真剣交際に入って一ヶ月の相手がいた。
そんな時期に、共通の知人の結婚式で、二年前に別れた元彼と再会したんだって。
二次会のあと二人で飲み直して、あの頃はごめん、と頭を下げられる。
もういいよ、と笑った彼女は、その夜、彼のアパートへ。

翌日からの彼女は、交際相手にやけに優しい。
電話では相手の話を延々と聞き、予定は全部向こうに合わせる。
本人いわく、自分を罰するみたいに。

これは声を大にして言いたい!
罪悪感から出てくる優しさは、相手への贈り物じゃない。
自分の帳尻を合わせるための、支払いです。
交際相手はそうとも知らず、中身のすり替わった恋人を受け取っている。
一度目の裏切りがあの夜なら、二度目は翌朝から始まっていた。
三ヶ月後、交際は相手側からの終了で幕を閉じた。
理由は、なんか無理してる感じがする、だったとか。

嘘を守るための二週間が、五年を削った

三十二歳で入会した女性は、前の恋の終わり方を淡々と話してくれた。
五年付き合った彼と遠距離になり、会えるのは月に一度あるかないか。
ある週末、地元で飲んだ帰りに、昔から彼女を気にかけていた男性へ連絡してしまう。
朝まで話し込み、そのまま彼の部屋へ。
身体の関係はなかった、と彼女は二度くり返した。

問題はその後。
彼氏から、今週は少し早く会えそうと連絡が来る。
彼女は、予定が入ったと打ち込んだ。
送信する指が、小刻みに震えていたという。
それから二週間、自分から連絡を減らしていく。
最近距離を感じる、と言われても、仕事が忙しいだけと逃げた。

話を聞きながら、手元のノートの端に走り書きしたのを覚えている。
壊したのは一晩じゃない、と。
後ろめたさを隠すために取った距離が、五年分の信頼を内側から削っていった。
その恋は、半年後に自然消滅したらしい。

楽になるための告白なら、口を閉じていなさい

じゃあ、正直に打ち明ければいいのか。
ここで私は、たぶん炎上する側に立ちます。
自分が楽になりたいだけの告白なら、しないほうがいい。

打ち明けた瞬間、重さは相手の肩へ移る。
こちらは少し軽くなり、相手は眠れなくなる。
それを誠実と呼ぶのは、虫がよすぎる話だよ。
相手には知る権利がある、という反論もわかる。
わかったうえで言っています。

かといって、黙ったまま罰ゲームの優しさで埋めるのも違う。
やることはひとつ。
その関係に残るか、降りるかを決める。
残るなら、二度と同じ夜を作らないよう行動を変える。
返しきれない借りは、誰にも渡さず自分で背負っていく。
降りるなら、その時に本当のことを話すかどうか、もう一度考えればいい。

罪悪感は、ずるい人の分まで回ってくる

なかったことにして、と言えた側の身軽さ

二十四歳の会員さんの話は、思い出すと今でも腹が立つ。
別れて一年経つ元彼と、取引先との合同の飲み会で鉢合わせした。
向こうには新しい彼女がいる。
共通の知り合いから、そう聞いていた。
話が弾んで終電を逃し、二人でタクシーに。
長い沈黙のあと、彼がつぶやいたのは、まだ少し君のことを考えてる、だった。

彼女は頷いてしまう。
手を握られただけで、キスもしていない。
それでも翌朝の通勤電車で浮かんだのは、会ったこともない彼女の顔。

その日の昼、元彼から一文が届く。
昨夜のことは、なかったことにしてほしい。
彼女はそれを削除して、削除したあとで猛烈に悔しくなったんだとか。
私のほうが、ずっと後ろめたかったのに。

恋愛では、こういう不公平がしょっちゅう起きる。
罪悪感は、感じやすい人のところへ流れ着くんです。
ずるい人は一文で手放して、まじめな人が二人分を抱えて帰る。
彼女が背負っていたのは、ほとんど彼が置き去りにした分でした。

既読のまま三日、がいちばん罪悪感を太らせる

二十九歳の会員さんは、真剣交際の真っ最中だった。
相手は穏やかな人で、彼女の家族にも紹介済み。
そこへ、昔お互いに意識していた同期から食事の誘いが来る。
断る理由が見つからなくて、行ってしまった。

昔話が尽きなくて、別れ際に同期が笑う。
結婚を考えてるって聞いても、やっぱり好きだったよ、と。
帰り道、交際相手には友達とご飯に行ったとだけ連絡した。
嘘じゃない。
全部でもないけど。

翌日、同期から、また会いたいとメッセージ。
既読をつけて、返さないまま三日が過ぎた。
次の面談に来た彼女は、げっそりやつれていました。

私が見てきた限り、罪悪感がいちばん育つのは、何かをしでかした瞬間じゃない。
決めずに放っておく時間のほう。
既読スルーは相手への配慮に見えて、実は可能性を一個キープしている状態だから。
その自覚があるから、交際相手が笑うたびに胸が詰まる。

彼女はその週のうちに、同期の連絡先を消した。
翌週の面談では、顔色がまるで別人。
罪悪感は時間では薄まらないのに、決めた瞬間には驚くほど早く引いていく。

もう連絡しないほうがいいか、に返事をした夜

三十一歳の会員さんは、入会した時点で別れて三ヶ月だった。
元彼からは時々、元気か程度のメッセージが来る。
返せば、また引き戻されそうで怖い。
返さなければ、彼を傷つけている気がする。
どっちを選んでも後ろめたい、八方ふさがり。

ある晩、彼から、もう連絡しないほうがいいかと送られてきた。
彼女が返したのは、そうだと思う、の六文字。
送ったあとは、胸が裂けそうで。
また傷つけた、その感覚がいつまでも消えなかった。

でもね、あの夜こそが彼女の婚活のスタートだったと、私は今でも思ってる。
あの痛みは、さっきの既読三日間の鈍い重さとは種類がまるで違う。
終わりの見えないものを、自分の手で閉じた人にだけ来る痛みなんだよ。

罪悪感に駆られた夜、消そうとしなくていい

その罪悪感の宛先を、メモに一行だけ書く

ここまで読んで、自分の罪悪感がどっち側なのか、薄々わかった人もいると思う。
迷うなら、寝る前にスマホのメモへ一行だけ書いてみて。
この気持ちは、誰に借りがあるのか。

名前が書けたなら、それは本物の借り。
返し方は謝罪でも過剰な優しさでもなく、明日からの行動を変えることしかない。
一方で、名前が浮かばない場合。
あるいは書けても、その人が何ひとつ失っていないなら。
それは、ただの居候です。
追い出そうと躍起になるほど、居座るタイプの。
部屋の隅にいるのは許す。
でも、家具の配置までは決めさせない。
そのくらいの距離で放っておけばいい。

不思議なもので、罪悪感を消すことを目標にした会員さんほど、長引いた。
気にしないふりを始めた人のほうが、先に次の恋へ進んでいったんだよね。

本音を言うたびに謝りたくなる恋なら

二十五歳の会員さんが、入会の理由として話してくれた前の恋も忘れられない。
相手は、わがままを全部受け止めてくれる優しい人だったという。
ある日、職場の先輩に最近楽しそうだねと声をかけられて、妙に刺さった。
彼といる時の自分は、ちっとも楽しそうじゃなかったから。

服も、集めるものも、どこかで彼に寄せていた。
本当はこうしたい、と口に出すたびに、先に来るのは申し訳なさ。
偶然会った元彼と、ほんの数分立ち話をした日もある。
その夜、誰かと会ったかと聞かれ、とっさに首を横に振った。

相談所時代、私には密かな線引きがありました。
本音を言うたびに謝りたくなる相手とは、成婚させたくない。
(会員さんには口が裂けても言えなかったけど)
そういう関係は、どちらかの我慢を燃料にして走っている。
燃料が尽きた日、罪悪感は突然、怒りへと姿を変えるからね。

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