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彼氏がオタクで悩むなら、理解しようとしない彼女のほうが続く

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趣味欄のアニメ鑑賞を、映画鑑賞に書き換えてもらう。
結婚相談所でアドバイザーをしていた7年間、私はこれを何度やったかわからない。
フィギュア収集は読書に、ゲームはドライブに。
お見合いが組めないと困るから、とにかく無難な顔にしておきましょう、と。
今なら、あの頃の自分の手をはたきたい。
趣味を隠させた男性会員さんほど、交際の途中でつまずいていったから。

目次

趣味を隠した男ほど、真剣交際で崩れていった

映画鑑賞と書かせた、アドバイザー時代の後悔

30代半ばの男性会員さんで、フィギュアを集めている人がいた。
物腰がやわらかくて、収入も安定している。
ただ本人いわく、部屋の一角はガラスケースで埋まっているそう。
私は迷わず言った。
プロフィールには書かないでおきましょう、と。

お見合いは順調に組めた。
仮交際を経て、真剣交際まで進んだお相手もいた。
問題が起きたのは、初めて彼の部屋にお相手が遊びに行った日。
翌朝、お相手側の担当から電話。
交際終了の申し出だった。

理由を聞いて、顔がピキッと固まった。
フィギュアが嫌だったわけじゃない、と。
半年も黙っていられたことのほうが、ずっと堪えたらしい。
(え、それ隠せって言ったの私なんですけど)
口が裂けても言えなかった。

逆のパターンも見てきた。
アニメ、ゲーム、プラモデル作り、と包み隠さず全部書いた男性会員さん。
申し込みの数は、正直言ってかなり少なかった。
そのかわり、会ってくれた女性は最初から全部わかったうえで来ている。
結局、その人はわりと早く成婚した。
隠すと、知られた瞬間に信用まで一緒に落ちる。
最初から見せておけば、落ちるものがないってこと。

部屋を見て引いた、は趣味への拒否じゃない

22歳の沙織さんは、彼氏の部屋に初めて入った日のことをよく覚えている。
壁一面に、ポスターとグッズ。
ちょっと変わった人なのかも、と思ったそう。
本人が普通に接してくれるから、すぐに慣れたんだとか。

27歳の美咲さんの彼も、アニメとゲームが好きで、部屋にはフィギュアが並んでいる。
最初は驚いたけど、今は気にならない。
彼が趣味の話を延々と押しつけてこないから、というのが理由だった。
デートは普通にご飯や映画で、趣味の話は家で少しする程度。

33歳の大輔さんのケースは、もう一段リアル。
結婚を考えている彼女が、趣味の部屋を見て引いた様子だった。
一緒に暮らすなら減らしてほしい、というのが彼女の希望。
大輔さん自身、フィギュアや本で生活空間が圧迫されているのは認めている。

三人の話を並べると、引くという反応の中身がそれぞれ別物なのがわかる。
沙織さんと美咲さんの場合は、ただの驚き。
驚きは、慣れれば消える。
大輔さんの彼女が引っかかっているのは、趣味じゃなくて暮らしのほう。
棚ひとつ分の話し合いで済む問題なのに。
趣味の否定だと受け取ると、一気にこじれていく。
共有スペースだけ整理するという大輔さんの方針は、いい落としどころ。

理解しようとした私が、一番しんどかった

夫の鉄道模型を、3週間だけ勉強した話

夫は、鉄道模型の人だ。
付き合い始めて最初に彼の部屋に行ったとき、床の半分を線路が走っていた。
しかも小さな駅舎に、豆粒みたいな人形まで。
思わず吹き出したら、本人は少しだけ傷ついた顔をしていた。
(ごめん、あの時は本当に失礼だった)

その罪悪感もあって、私は張り切った。
本屋で鉄道模型の雑誌を買って、車両の名前を必死に覚えたのよ。
彼女なら、彼の好きなものくらい理解してあげなきゃって。

3週間後、覚えたての知識を披露してみた。
すると突然、彼の目が輝いて、そこから2時間ノンストップ。
台車がどう、モーターがどう、昭和の何系がどう。
笑顔をキープしながら、頭の中はほぼ真っ白(泣)。
帰り道、駅のホームに入ってきた電車を指さして、あれ何系?と得意げに聞いた。
答えは、私が覚えた名前とまるで違っていた(笑)。
彼は優しく訂正してくれたけど、その優しさが余計に恥ずかしかったわ。

家に帰ってベッドに倒れ込んだとき、げっそりしていた。
好きな人の好きなものを好きになれない自分が、欠陥品みたいに思えて。
はぁ…あの3週間、完全に空回り。

詳しくなくてごめん、が一番効いた

あれ以来、勉強するのは潔くやめた。
代わりに口にするようになったのが、詳しくなくてごめんね、のひと言。

22歳の沙織さんも、まったく同じ言葉を使っていた。
彼の趣味の話は、わからないことだらけ。
だから素直に、詳しくなくてごめんと伝える。
彼のほうは、気にする素振りすらないみたい。

実はオタクの側も、彼女に同じ熱量なんて求めていなかったりする。
28歳の翔太さんの彼女は、少しアニメが好き。
同じ作品を観て感想を言い合う時間は、二人とも楽しい。
けれど自分のほうが詳しくなると、つい一方的になってしまう。
そこで意識して話を短く切り上げているし、無理に同じ温度を求めてもいないって。

40歳の隼人さんの奥さんにいたっては、趣味にまったく興味がない。
ただ、否定もしない。
隼人さんはそのおかげで、若い頃からの趣味を今も手放さずにいる。

24歳の彩花さんは、彼が推すアイドルや声優の動画を一緒に観てみたことがある。
完全には理解できなかった。
楽しそうな彼を眺めるのは悪くない、と感じている。

私がたどり着いた答えは、これ。
彼の趣味の住民になろうとしなくていい。
たまに遊びに来る観光客でいれば十分!
観光客は、地元の細かい事情なんて知らない。
なのに街を褒めて、楽しそうに帰っていく。
地元の人は、それで意外とうれしいのよ。
住民が急に増えると、街の空気が変わって落ち着かない人だっている。
翔太さんが話を短くするのも、たぶんそういうこと。

オタクのせいにされがちな、別の問題

約束を破る男は、趣味がなくても破る

26歳の莉子さんは、ゲームに夢中の彼にデートの約束をすっぽかされた。
一度目は、趣味が忙しいだけだと流した。
それが二度、三度と続いて、自分は後回しにされていると感じるようになる。
話し合いの末、彼はゲームの時間を減らした。
努力しているのは伝わっている。
それでも、また同じことにならないかと、ときどき不安がよぎるそう。

相談所時代、お見合いを当日ドタキャンする男性はどの支店にもいた。
その人たちの趣味欄、ほとんどが空欄か無難な単語だったのよね。
ゲームもアニメも関係ない。
約束を軽く扱う人は、何を好きでも軽く扱う。

だから莉子さんの彼を見るとき、ゲームを敵にしないほうがいい。
見るべきは、減らしたプレイ時間じゃなくて、次の約束をどう守るか。
もしまたすっぽかしたら、そのときはもうゲームの話じゃない。
彼という人の、約束への姿勢の話になる。

話を聞かない男を、オタク認定しないで

35歳の優子さんの元恋人は、まさに典型だった。
口を開けば趣味の話。
デート中もスマホで何か調べていて、話題を変えてもいつの間にか趣味に戻っている。
自分のことを見ていない。
そう感じた優子さんは、別れを選んだ。

今の相手にも趣味はある。
こちらは会話の配分を考えてくれるから、安心していられる。
趣味があるかどうかより、こっちを気遣えるかどうか。
優子さんの出した答えは、驚くほどシンプルだった。

私もこれには全面的に賛成。
ついでに、手っ取り早い見分け方を一つ。
デートの帰り道に、今日彼から何回質問されたか思い出してみて。
最近どう、とか、それでどうなったの、とか。
ゼロなら、その人はオタクだから話を聞かないんじゃない。
もともと人の話への興味が薄いだけ。
趣味を取り上げたところで、別の話題で同じことをするはず。

それでも残るモヤモヤは、お金と土曜日と女の影

推しへの出費に口を出していいのは、財布が一つになってから

24歳の彩花さんは、お金の使い方でときどき彼と話し合いになる。
22歳の沙織さんも、使いすぎていないか気になることがあるという。

ここは私、線を引く派。
付き合っているだけの段階なら、彼の給料は彼のもの。
推しにいくら使おうと、生活が破綻していない限り口出しは無用。
言いたくなる気持ちはわかる。
でも交際中にお金のことを言うと、ほぼ確実に、趣味ごと否定されたと受け取られるわよ。

話が変わるのは、一緒に暮らすと決めたとき。
40歳の隼人さんの家では、時間とお金の使い方を事前に話して決めている。
完全に自由ではないけど、無理なく続けられているって。

わが家も同じ。
結婚前、夫が私のバッグと同じくらいの値段の車両を一両買ってきたことがある。
まさか、あの小さい電車がそんな値段だなんて!
大げんかの末、趣味のお金は毎月決まった額を別の口座に先に移すことにした。
その中で何を買おうと、私は一切文句を言わない。
枠を決めてからは、この手のけんかは一度もない。

イベントの日の寂しさは、具体的な日付で渡す

27歳の美咲さんは、イベントの日に予定が合わないと少し寂しくなる。
彩花さんも、ライブの日は連絡が減ると言っていた。
普段はこまめに気にかけてくれるから、落差を余計に感じるのかも。

男性側の声も届いている。
30歳の健太さんは、彼女からオタクなのが気になると言われた。
部屋を片づけて、フィギュアを減らして、話も控えめにした。
返ってきた言葉は、理解はするけど優先してほしい。
仕事と趣味のバランスは取っているつもりなのに、彼女の物差しでは足りないようだ。
今は、少し距離を置いて考えている最中だとか。

この優先してほしい、がくせものなの。
言われた側は、何をどれだけ優先すればいいのか見当がつかない。
フィギュアを減らしても、話を控えても、正解にたどり着けない。
寂しいなら、日付で渡すほうがよほど伝わる。
月に一度、土曜日は私にちょうだい。
イベントの日は、終わったら帰ったよだけ送って。
オタクって、発売日や開演時間を絶対に落とさない人たちだから。

31歳の陸さんの彼女は、イベントがどうも気に入らない。
彼が会場で、他の女の子たちに持ち上げられるのが嫌なんだそう。
知り合いと話す機会はあっても、特別な関係ではない。
陸さんは説明はした。
けれど彼女は、どこか腑に落ちない顔のまま。
趣味は続けたい、でも彼女の不安も無視できない。
陸さんは、その板挟みで悩んでいる。

こういうときこそ、観光客の出番。
一度だけ、一緒にイベントへ行ってみればいい。
想像の中の光景は、現地で見ると拍子抜けするほど地味なもの。
見えないものは膨らむ。
見てしまえば、ただの趣味仲間がそこにいるだけだからね。

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