MENU

浮気されたトラウマが消えないのは正常。消そうとする人ほど長引く

  • URLをコピーしました!

浮気されたトラウマって、時間が経てば消えるものだと思ってた。
いい人に出会えば上書きされる、とも。
だが、浮気されたトラウマは、消えない。
しかも、消そうと躍起になる人ほど長く居座られる。
自分の傷と、話を聞かせてくれた人たちの傷を見てきて、私はそこに落ち着いた。

目次

時間が解決してくれる、は半分ウソだった

10年以上経っても、夫のスマホに反応してしまう

26歳のとき、4年付き合った彼に浮気された。
彼がシャワーを浴びている最中のこと。
突然、テーブルに置かれたスマホが光って、LINEの通知が目に入った。
「昨日は楽しかった、また泊まりに行くね」
見るつもりなんてなかったよ。
画面が勝手に点いたんだから、不可抗力でしょ。

相手は彼の職場の後輩。
問い詰めると、向こうから来たんだと言い訳された。
(いや、部屋に入れたのはあんたでしょうが)
その一言を飲み込んだことを、いまだに根に持っている。

そこからの2か月が、我ながら本当にダサかった。
別れる決心がつかず、彼の帰宅時間を手帳に書き込む日々。
21時12分、22時40分、日付をまたいで0時5分。
誰に見せるでもない記録をつけては、深夜のコンビニでボロボロ泣いた。
なんで私がこんなことしてるの!
アイスとティッシュだけ抱えた、目の真っ赤な女。
あの時のレジのお兄さんは、さぞ怖かったはず。

結局その彼とは別れて、何年か後に今の夫と結婚した。
夫は浮気どころか、飲み会の二次会にすら行かない人だ。
それなのに、夜に夫のスマホがピコンと鳴る。
その一瞬で、26歳の自分に引き戻されるわけ。
しぶといにもほどがある。

3年経っても消えない、という声ばかり届く

ブログを始めてから、同じ傷を抱えた人の話を聞く機会が増えた。
27歳の亮太さんは、彼女に浮気されて別れてから3年になる。
時間が経てば忘れると信じていたのに、今もふとしたきっかけで思い出すという。
友達ののろけ話にすら、どうせどこかで裏切ってるんだろうと身構えてしまう。
自分は誠実でいたいのに、疑いが先に立つんだって。

28歳の彩乃さんは、もう少し冷静だった。
トラウマは消えたんじゃなく、日常の中で少しずつ薄まっているだけ。
36歳の大輝さんは、消えたわけじゃなくて付き合っているだけだと自覚していた。

付き合っているだけ。
この言い方を聞いたとき、正直言ってちょっと救われたんだよね。
私だけじゃなかったんだ、って。

浮気された後の反応を、PTSDに近いものとして扱うカウンセラーも海外にはいる。
フラッシュバックに、過剰な警戒に、眠れない夜。
心が弱いからそうなるんじゃない。
二度と同じ目に遭わないよう、脳が警報を鳴らし続けている状態だ。
消えないのは、体がまともに働いている証拠でもある。

浮気されたトラウマが消えないと検索する人が欲しいのは、たぶん消し方じゃない。
消えないまま、もう一度まっすぐ人を好きになれるのか。
知りたいのは、むしろそっち。

誠実な相手ほど、なぜか怖くなる

いい人なのに疑ってしまう理由

彩乃さんの今の恋人は、約束を必ず守る人だそう。
なのに、何気ない瞬間に疑いが顔を出す。
この人もいつか、同じことをするんじゃないかって。
好きになればなるほど、裏切られる未来を想像して不安が膨らんでいくとか。

みんな、ここを逆に考えている。
誠実な人と付き合えば安心できて、傷も癒えていくはずだと。

相談所にいた頃、この逆転を何度も目の前で見てきた。
元彼の浮気がきっかけで入会した、30代の女性会員さん。
お相手は収入も人柄も文句なしの男性で、真剣交際まで進んだ。
誰が見ても順調そのもの。
ところが交際3か月目、彼女は面談室で急に泣き出した。
完璧すぎて怖いんです、と。

まさか、それが理由で断る気?
内心かなり焦った。

失うものが大きいほど、警報は大きく鳴る。
雑な相手なら、裏切られても、まあそういう人だったで片づけられる。
大切な人だからこそ、脳が全力で守ろうとして、疑いという形で暴れ出すんだ。
誠実な人と出会った瞬間こそ、トラウマが一番うるさくなるタイミングなんだよ。

彼女はその後、迷いながらも成婚した。
決め手は意外と地味で、彼が何かをしてくれたことじゃない。
怖いと打ち明けた彼女を、必死に安心させようとしなかったこと。
ふーん、そうなんだ、と受け止めて、いつも通り週末のデートに誘い続けたらしい。
疑いに巻き込まれない人のそばで、傷は勝手に静かになっていく。

先に離れる人は、慎重なんかじゃない

24歳のみおさんは、遠距離の彼に浮気されて別れた。
別れ際の言葉が、遠距離だから仕方ない。
聞いているだけで、こっちの胃まで痛くなった…。
それ以来、誰かと距離が近づくと体がすくむ。
関係が進む前に、自分から離れてしまうんだとか。

29歳の隼さんも、よく似ている。
好きなのに、深く関われば傷つく気がして距離を置く。
好意を向けられると、真っ先に疑ってしまう。
恐れ回避型と呼ばれるタイプの反応そのもの。
昔は自然に関係を進められたのに、と本人もこぼしていた。

ここから意地悪なことを書くね。
先に離れる人は、自分のことを慎重だと思っている。
私の目には、置いていかれる側に二度と立ちたくない人に見える。
捨てられる前に、捨てる側へ。
出口を自分で握っていれば、少なくとも不意打ちは食らわない。

それって、傷つけた相手と同じ場所に立とうとしているのと紙一重。
いつでも関係を降りられる側、という意味で。
責めたいわけじゃない。
手帳をつけていた頃の私も、別れを切り出すタイミングばかり計算していたから。
ただ、逃げ道を確保したままの恋は、浮気されない代わりに、誰とも深くならずに終わる。
それで守れたことになるのか、私には答えが出ていない。

浮気を許して復縁するのは、やめておけ

許したあとに始まる、終わらない見張り番

浮気した恋人を許してやり直すのは、おすすめしない。

31歳の沙織さんは、元彼の浮気を許して復縁した経験がある。
許したはずなのに、そこから前より疑り深くなった。
彼の行動を細かく確かめるようになって、最後にはその関係も壊れた。
一度裏切った人を信じ続けるのは無理だった、と今の彼女は振り返る。
新しい恋人にも、裏があるんじゃないかという警戒心が抜けないまま。

許すという行為で楽になるのは、相手のほう。
彼は謝って、それでおしまい。
許した側は、毎日その人の隣で確認作業を続ける羽目になる。
今日は何時に帰ったか、誰と飲んだか、なぜ画面を伏せたのか。
見張り番を、自分から無給で引き受けるようなもの。
おまけに任期は無期限(泣)。

私が手帳をつけ始めたのも、元をたどれば許そうとしたから。
早めに別れていれば、記録なんてつける理由もなかったのに。

一度だけ、が一番タチが悪い

彩乃さんの元恋人も、41歳の拓也さんの奥さんも、同じ言葉を口にしていた。
一度だけ。

この言葉、本当に厄介だよ。
証拠が出た一回の陰に、出てこなかった何回かが隠れているかもしれない。
一度だけと言われた瞬間から、こちらは見えない回数を数え始めてしまう。
確かめる手段がないから、疑いに終わりが来ない。

拓也さんは結婚5年目に奥さんの浮気が発覚して、再構築を選んだ。
奥さんは泣いて謝った。
それでも、残業で帰りが遅い日は、以前なら気にもしなかったのに今は不安になる。
努力はしているのに、完全には元に戻らない感覚がずっと残っている。

結婚して家庭があるなら、恋人同士とはまったく話が違う。
お金も生活も絡むし、離れることが正解とも限らない。
再構築を選んだ夫婦を、私は否定しない。
未婚なら話は別。
わざわざトラウマを毎日自宅で飼い続ける理由なんて、私には一つも思いつかない。

壊れたのは、相手への信頼じゃなかった

健司さんが本当に失ったもの

35歳の健司さんの話で、いちばん刺さった一言がある。
浮気された経験が、自分の判断力まで疑わせるようになった、と。

元カノと別れて2年ほど誰とも付き合えず、ようやくできた新しい彼女。
連絡が遅れるだけで不安になり、つい問い詰めてしまう。
そんなに疑わないでと言われても、頭と心が噛み合わない。
昔は迷いなく人を信じられたのに、今は信じてよかったと思えるまでが長い。

あぁ、そういうことか。
疑っている相手は、目の前の恋人じゃない。
この人なら大丈夫だと判断した、自分自身だ。

私もまさにそれだった。
4年も一緒にいて、半年続いた浮気にまったく気づけなかった。
あの男を選んだのも私なら、見抜けなかったのも私。
次に誰かを好きになっても、好きだと感じている自分の感覚がまず信用できない。
恋人を疑う気持ちの奥にあるのは、自分の見る目への不信感。

39歳の優花さんは、若い頃に何度も浮気をされてきた。
そのたびに、自分が悪かったのかと責め続けた。
今は結婚していて、夫は何もしていない。
連絡が少し返ってこないだけで、不安のスイッチが入ってしまう。
自分を責める癖と、自分を信じられない感覚。
たぶん、同じ根っこから伸びているんだと思う。

相手だけが、何もなかった顔で次へ行く

33歳の奈々さんの話は、聞いていて頭に血がのぼった。
浮気が発覚したあと、相手はすぐ新しい人と付き合い始めた。
こっちはまだ傷を引きずっているのに、向こうは平然としている。
時間が経った今も、あの時間は何だったのかと考えてしまう。
新しい人と出会っても、過去が邪魔をして本気になりきれない時がある。

わかる、痛いほどわかる!
浮気した側の中では、物語はとっくに完結済み。
勝手にエンドロールを流して、もう次の作品に出演中。
された側だけが、ラストシーンのない映画を何度も巻き戻している。

あの時間は何だったのか。
その問いに、相手が答えてくれる日は来ない。
答えは、自分で書くしかない。

私の場合、あの4年は高い授業料だった、と言えるほど大人にはなれていない。
損した気分だって、まだ消化しきれてないし。
それでいいことにした。
きれいな意味なんて、無理につけなくていい。
自分の手で終わりを宣言するだけで、巻き戻す回数は確実に減っていく。

消さないまま恋をするために、私が続けていること

疑いが湧いたら、外れる予言を書いておく

あの帰宅時間を書きつけていた手帳、実はまだ捨てていない。
後ろ半分のページを、今はまったく別の使い方で埋めている。

夫の帰りが遅い夜、胸がざわついたら手帳を開く。
頭に浮かんだ最悪のシナリオを、そのまま書く。
女の人と会っている、とか。
スマホを伏せたのは隠し事があるから、とか。
で、翌日に答え合わせ。

一回目、外れ。
また外れ!
今のところ、的中率はゼロだ。
上司に捕まって帰れなかっただけ。
伏せた理由は、ゲームの通知が恥ずかしかったから。

これを続けると、自分の警報は誤作動だらけだと体が覚えていく。
警報そのものは鳴りやまない。
けれど鳴ったときに、またいつもの誤報かもと一歩引ける。
失った見る目は、こういう地味な作業の繰り返しでしか戻ってこない。

逆に、恋人のスマホをのぞくのはやめたほうがいい。
何も出てこなければ、消したんじゃないかと疑う。
何か出てきたら、それはそれで地獄。
どっちに転んでも安心できないチェックに、意味はないからね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次