明るい子が好き、と言った男性は八割いた
どんな女性がタイプですか。
入会面談でこれを聞くと、返ってくる答えはだいたい同じ。明るくて、元気で、一緒にいて楽しい人。
七年やって、たぶん100回は聞いた。
で、その同じ男性たちがお見合いを重ねた末に、誰と真剣交際に入るか。
明るくて元気な人じゃないんですよ、これが。
最初に見せられた自己申告と、実際に選ばれる人の間に、笑えるくらい距離がある。
元気という言葉は、男性側では別の意味で使われてる
男性が明るい人がいいと言うとき、頭に浮かべているのは、よく笑う人でもテンションが高い人でもありません。
自分が黙っても場が死なない人。
これです。ほぼこれ一択。
つまり彼らが求めているのは元気さじゃなくて、沈黙の後始末を引き受けてくれる存在。
言い方が悪いのは自覚してる。でも面談で深掘りしていくと、九割の男性がここに着地しました。
だから声の大きさは関係ない
テンションが高い女性がモテると思ってる人、多いよね。
違うんだ。
静かな人でも、相手が言葉に詰まった瞬間に一言足せる人は、男性から見て明るい人に分類されます。
逆にずっと喋っていても、話題が切れるたびにスマホを見る人は、暗い人と記憶されていた。
判定基準は音量じゃなく、間の埋まり方。
元気すぎる女性が落ちる、いちばん多い場所
お見合いの成立率が高いのに、交際が三回目で終わり続ける女性。相談所には必ずいます。そして、その多くが元気な人でした。
初回の通過率は圧倒的に高い
まず事実として、元気な女性はお見合いに強い。強すぎるくらい。
初対面の四十五分。緊張して口数が減る男性を相手に、話を回して笑って、時間内に相手をリラックスさせる。
そりゃ通ります。当たり前。
数字で言うと、無口な女性会員の倍近い成立率だった年もある。
三回目で切られる理由が、本人にだけ見えない
問題はその先。
デート三回目あたりで、男性側から終了の連絡が入る。理由の欄に書かれるのはこんなの。
悪くないんですが、疲れてしまって。
彼女は落ち込みます。当然だよね。楽しませようと全力でやってきたのに、疲れたと言われる。
何が起きているか。
男性は三回目あたりで、そろそろこの人の弱いところが見たいと思い始めるんです。
自分だけが緊張して、自分だけが不器用で、相手はずっと完璧に明るい。この状態が三回続くと、劣等感が積もる。
好意が減ったんじゃない。追いつけないと感じただけ。
そこに気づかず、四回目でさらにテンションを上げると、完全に終わります。
撤退した瞬間に決まった、あの交際
思い出す会員さんがいる。三十四歳、営業職の女性。声が大きくて、よく笑って、面談のたびにこちらまで元気になるような人でした。
だけど交際が続かない。四人連続で三回目終了。
五人目のデート前、彼女に頼んだことがあります。
今日は、疲れてるなら疲れてるって言ってみてください。
彼女、嫌がった。そんなの相手に失礼じゃないですかって。
結果を言うと、その日の彼女は正直に言ったらしい。今週ずっと残業で、正直ちょっとしんどいですと。
男性の反応がすごかった。じゃあ座って話せる店に変えましょうと言って、予定していた散歩コースを全部やめた。
そこから一気に進んで、半年後に成婚。
彼女が後で言ってました。しんどいって口に出したの、たぶん十年ぶりだったと。
男性が本当に見ているのは、明るさの持続時間じゃない
回復の速さ、そこだけ見られてる
落ち込まない人が求められてるわけじゃないんですよ。
落ち込んだあと、翌日には普通に戻っている人。
男性が結婚相手を見るときの基準、突き詰めるとこれでした。人生四十年五十年やっていくうえで、事故は必ず起きる。そのとき隣にいる人が、どのくらいで立て直せるか。
ずっと元気な人は、この能力を証明する機会を自分で潰してる。
一度も凹まないから、回復するところを見せられない。
皮肉だよね。明るさを維持することが、いちばん見せたい部分を隠してる。
弱みを出すのと、重い話をするのは違う
ただし勘違いしてほしくないのは、深刻な打ち明け話をしろという意味じゃないこと。
家庭の事情、過去の恋愛、抱えている悩み。この手のものを三回目で出すと、たいてい逃げられます。
出すべきなのはもっと軽いやつ。
朝が弱い。
方向音痴で、さっきも反対の出口から出た。
実は緊張してて、来る前にトイレで深呼吸してた。
こういう、どうでもいい隙。
どうでもいいからこそ、相手は安心して受け取れる。
女性側から見た、腹立たしさ
なんで女が調整しないといけないの
だってそうでしょう。
明るくしろと言われて明るくしたら、疲れると言われる。弱みを見せろと言われて見せたら、今度は重いと言われる。
そんな都合のいい生き物いるかって話。
面談でこれを説明するとき、女性会員さんが黙り込むことが何度もあった。そのたびに、私も一緒に黙ってた。
納得はしてない。でも、事実として起きていることは伝えるしかない。
それがアドバイザーの仕事だったから。
調整をやめた人のほうが、結局早く決まった
面白いことに、この理屈を丁寧に説明した会員さんより、途中で全部投げ出した会員さんのほうが成婚が早かったりする。
もう疲れました、素でいきますって言い出した人。
そういう人は次のお見合いで、いきなり自分の趣味の話を三十分喋って、相手を置き去りにして、それで交際に入ったりする。
なんだそれって思った(笑)。
でも今ならわかる気がします。
調整をやめた瞬間、その人の中に温度差が生まれるんですよ。好きなことを話すときは前のめり、興味のない話題では雑に相槌。この落差が、相手からすると本物に見える。
均一な明るさには温度差がない。だから、どこが本心か読めない。
元気な女性が損をする場面と、圧勝する場面
短期戦では無敵、長期戦で置いていかれる
整理すると、こういうことになる。
初対面から三回目までは、元気な人が圧倒的に有利。マッチングアプリの初回、お見合い、合コン。この辺は全部勝てます。
逆に、交際が三ヶ月を超えたあたりから状況が反転する。
理由は、明るさが情報を運ばなくなるから。
最初は明るさそのものが情報だった。この人といると楽しい、という情報。
でも三ヶ月経つと、相手が知りたいのは別のこと。何に怒るのか、何に傷つくのか、何を諦められないのか。
そこで明るさしか出てこないと、相手は情報が尽きたと感じる。
飽きられたわけじゃない。読み終わったと思われただけ。
結婚後に効くのは、むしろ元気なほうだった
そして、ここが今日いちばん言いたいところかもしれない。
交際期間で不利になる元気さは、結婚後に一気に価値が上がります。
私自身、結婚して子どもが生まれてから痛感してる。
夜中に熱を出す。保育園から呼び出される。夫婦で疲れ果てて、家の中がどんよりする夜。
そこで何でもない声で、ごはん食べよっかと言える人。あれ、才能です。マジで。
沈んだ空気を一言で切り替える力は、恋愛の場面では過剰に見えても、生活の場面では欠かせない。
だから元気な女性が損をしているのは、選ばれるまでの期間だけ。
そこを通過してしまえば、後半戦は全部味方につく。
明るさを削るんじゃなく、隙間を空ける
元気を封印しろという話を、私は一度もしたことがありません。
封印した人は、たいてい魅力ごと消えるから。
やるのは一箇所だけ。会話の途中で、一回黙る。
相手が話し終わったあと、すぐに次の話題を出さない。三秒待つ。
その三秒で、相手は自分から何かを言い始めます。言い始めた瞬間に、その人は当事者になる。
ずっと喋り続けている限り、相手は観客のままなんですよ。
観客は、拍手はするけど結婚はしない。
七年間、私が女性会員に伝えていたことを一行にすると、たぶんこれです。
楽しませなくていい。少し、隙間を空けて。
それだけで、三回目の壁はわりとあっさり崩れますよ。
