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口元に手を当てる心理は嘘のサインじゃない、見るのはタイミング

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口元を隠す人は、嘘をついていない

話している最中に、相手の手がすっと口元へ。
あれを見た瞬間、何か隠してるな、と思った人。
残念ながら、たぶん外れてます。

嘘の証拠として一番有名な仕草でしょ、これ。
私、7年間お見合いの立ち会いや面談で人の手の動きを眺めてきましたけど、あの説を裏づける場面に出会えたことがない。

本当に嘘をついている人は、手が止まる

逆なんですよ。
虚偽を口にしている最中の人間は、動きが減ります。

理由は単純で、余力がないから。頭の中で話を組み立てながら、矛盾がないか点検して、相手の反応も見ている。
そんな状態で手なんて動かせません。膝の上に置いたまま、固まってる。

面談で、収入や過去の交際歴をごまかそうとした会員が何人かいました。共通していたのは、姿勢の硬さと、まばたきの減少。
手は、動いてなかった。
だから逆に、話しながら手が自由に動いている人は、脳に余裕がある。余裕があるということは、隠す作業をしていないということです。

あの仕草の正体は、歯だった

じゃあ何を隠していたのか。
何十件も観察して、私が辿り着いた答えは身も蓋もないものでした。
歯です。

32歳の女性会員。お見合いの映像を確認すると、笑うたびに必ず手が上がる。
心理的な防衛かと思って、遠回しに聞いてみたんです。
返ってきたのが、前歯が少しガタついてて、と。それだけ。

別の男性会員は、ニンニクを食べた翌日だから、と言ってました(笑)。
心理を読み解こうとしていた自分が、ちょっと恥ずかしくなった瞬間。

口元は、顔の中で唯一、自分で形をコントロールできない部品なんです。目は開き方を調整できる。眉も動かせる。でも口角は、感情に直結して勝手に動く。
制御できない場所に、手が出る。それだけの話でした。

意味が宿るのは動作じゃなく、その直前

仕草の意味を調べる人が、たいてい間違える場所があります。
動作の種類を分類しても、何も分かりません。

何を言った瞬間に手が上がったか

見るのは、タイミングだけです。
その0.5秒前に、誰が何を言ったか。

自分が喋っている途中で上がったなら、それは自分の発言に対する反応。言い過ぎたかもしれない、という戻し。
相手が喋り終わった直後なら、返答を探してる時間。
笑いながらなら、笑顔を見られたくないだけ。

同じ動作で、意味が三つに割れる。
仕草事典が役に立たない理由がここです。動作を単独で切り出した時点で、情報が全部落ちてる。

会話が止まった時に上がる手は、退屈のサイン

これだけは覚えておくと使えます。
沈黙が生まれた瞬間に口元へ手が行き、そのまま頬杖に移行したら、危険信号。

頬杖は、頭の重さを預ける行為です。支えたくなるほど、身体が休止に入ってる。
デート中にこれが出たら、話題を切り替えるか、店を出るタイミングを考えたほうがいい。

逆に、手が口元にあっても肘がテーブルから浮いていたら、まったく別物。
その手は、いつでも動かせる状態にある。会話に参加する準備が残ってるということなので。
肘を見てください。手じゃなく。

手が上がる人ほど、相手を高く見積もっている

ここから逆張りをします。
口元を隠す人は、婚活の現場ではむしろ有利でした。

緊張が出ている相手にだけ、その仕草は出る

同じ人が、誰の前でも同じ動きをするわけじゃないんですよ。
私は同じ会員の複数回のお見合いを追える立場にいたので、それがはっきり見えた。

興味のない相手には、出ないんです。
堂々と口を開けて笑う。姿勢も崩す。だってどう思われてもいいので。

手が上がるのは、よく見られたい相手の前だけ。
自分の見え方が気になっている、つまり相手を上位に置いてる状態です。
脈ありのサインとして紹介されている理由、たぶんこれ。ただし条件つきで、その人が他の場面でどうだったかを知らないと判定できません。単独では使えない。

29歳の会員が、その癖を直そうとして失敗した話

口元を隠す癖を、直したいと相談してきた女性会員がいました。29歳。
自信がなさそうに見えるから、と。

私は当時、真面目に指導してしまったんですよ。手を膝に置きましょう、と。
次のお見合い、失敗しました。
彼女、手の位置を意識しすぎて、会話の中身が飛んだんです。相手からの感想が、そっけない人でした、というもの。

そりゃそうだ。ずっと自分の手を監視してたので。
その次から、私は方針を変えました。手は好きにしていいから、口を隠したら一言足してください、と。
歯並びが気になっちゃって、とか、今の顔ひどかったですよね、とか。

それで彼女、半年後に成婚してます。
癖は直ってません。今も出てるはず。

癖を隠すより、説明したほうが早い

説明された仕草は、印象に変換される

なぜあれが効いたのか。
隠された動作は、相手に解読作業を発生させるからです。

なんで手で隠したんだろう、俺の話がつまらなかったのかな。
この推測が始まると、そこから先の会話が上の空になる。
説明が一言あるだけで、解読が不要になります。しかも、恥ずかしがってる姿として保存される。

同じ動作が、正体不明の不安から、覚えてもらえる特徴に変わる。
実務的に一番使える話はこれだと思ってます。

直せない癖を直そうとすると、会話が死ぬ

私自身、この癖があります。今も。
特に大声で笑った時。ぱっと手が出る。

20代の頃、それを直そうとした時期がありました。写真を撮られる場面で、必死に手を下ろして。
結果、口が半開きの、なんとも言えない顔で写ってる写真が量産されました。今見返すと、げっそりする。

身体の反射を意志で止めるのは、費用対効果が悪すぎるんです。
その分の注意力を、相手の話に使ったほうがいい。

読み取ろうとする側が、いちばん見落とすもの

心理を当てても、関係は前に進まない

最後に、ちょっと意地悪なことを言います。
仮に相手の心理を正確に言い当てられたとして、そのあと何をします?

たぶん、何もしないんですよ。分かって安心して、また観察する。
私は面談で、相手の仕草の分析を延々と話す人を何人も見ました。全員、次のデートの誘い方は分かっていなかった。
分析は行動の代わりになりません。むしろ、動かない理由として使われがちです。

口元に手が上がった。
そこで読み取るべきなのは、隠しごとの有無じゃなく、この人は今ちょっと気を張ってるな、という一点だけ。
だったら、こちらが緩めればいい。水を飲む。姿勢を崩す。どうでもいい話をする。相手の手が下りた瞬間、からが本番です。

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