優しくされて、嬉しかった。でも、これって、下心があるからなんだろうか。見返りを期待されてるんじゃないか、と、素直に喜べない自分がいる。
結婚相談所で、優しさの中身を、山ほど見てきた。最初に言っておきたいことがある。優しさと下心は、そもそも、両立するものなんだ。
優しさと下心は、実は両立する
下心があるかないか、を、白黒はっきりさせようとすると、たいてい行き詰まる。なぜなら、あなたに好意を持ってる男性が示す優しさには、多くの場合、下心が、いくらか混ざってるから。
これ自体は、責める話じゃない。好きな人に優しくして、少しでも良く思われたい、関係が進んだらいいな、と願うのは、ごく普通の人間の感情。優しさの中に、期待や希望が入ってることは、不誠実さの証拠にはならないんだ。
問題は、下心が混ざってるかどうかじゃない。混ざった下心を、あなたに、どんな形でぶつけてくるか、なんだ。
本当に見るべきは、動機じゃなく、断った後
優しさが、貸し借りの帳簿になっていないか
判定に使える、いちばん確実な材料は、実は、優しさが向けられてる、その瞬間には存在しない。答えが出るのは、あなたが、その好意に応えなかった後。
優しさには、二階建ての構造がある。一階は、あなたに喜んでほしい、という、純粋な部分。二階は、見返りへの期待。誰の優しさにも、多かれ少なかれ、この二階部分が乗ってる。
問題になるのは、二階部分が、貸し借りの帳簿になってる場合。これだけしてあげたんだから、これくらいは返してもらって当然。この考え方が根っこにある人は、優しさを、投資として扱ってる。投資である以上、リターンがなければ、腹を立てる。
一方、一階部分がしっかりしてる人は、二階の期待が裏切られても、一階の、喜んでほしいという気持ちは、変わらず残る。ここが、決定的な分かれ目になる。
相談所で見た、断られても優しいままだった人
40代の男性会員がいた。ずっと親身にサポートしてくれてた女性会員に、それとなく好意を伝えたけど、彼女の返事は、友達としてなら、というものだった。
彼は、その日、正直に肩を落としてた。でも、その後も、彼女が困ってる時に、変わらず手を貸し続けてた。引っ越しを手伝ったり、体調を崩した時に連絡をくれたり。見返りへの期待が消えた後も、彼女に喜んでほしい、という気持ちだけは、静かに続いてた。
これが、一階部分がしっかりしてた人の、優しさの姿。
「あれだけしてやったのに」に変わった人
対照的な例も、ある。別の男性会員は、ある女性に、こまめに連絡を取り、送迎も買って出て、何かと世話を焼いてた。でも、彼女から、恋愛としては見られない、と伝えられた瞬間、態度が一変した。
あれだけしてやったのに、と、明確に不満を口にして、それ以降、連絡すら絶ってしまった。彼の優しさは、最初から、二階部分だけで組み立てられてた。喜んでほしい、という土台がなかったから、期待が崩れた瞬間、優しさそのものが、消えてなくなった。
これが、本当に警戒すべき下心の姿。優しさが混ざってることじゃなくて、優しさの土台に、一階部分がまるごと欠けてること。
下心を疑いすぎることの、もったいなさ
一方で、下心を疑いすぎることの、もったいなさも、伝えておきたい。
優しさを受けた瞬間から、これは下心なのでは、と身構え続けると、純粋に親切な人まで、同じ疑いの目で見てしまうことになる。人間関係のほとんどの優しさには、多かれ少なかれ、何かへの期待が混ざってる。それを全部、不純だと切り捨てると、周りに残るのは、あなたに何も期待しない、興味の薄い人だけになる。
下心の有無を審査するんじゃなくて、下心が裏切られた時、その人がどう振る舞うか。そこだけを、静かに見ておけばいい。
私が受け取った優しさを、疑ってしまった話
自分の話を、ひとつ。仕事を始めたばかりの頃、先輩の男性が、やたら親切に仕事を教えてくれた。当時、下心があるのかな、と、勝手に警戒して、必要以上に距離を置いてたことがある。
ある日、彼に、思い切って聞いたことがある。なんで、そんなに親切にしてくれるんですか、って。彼は、きょとんとして、新人が困ってるの見るの、しんどいじゃん、それだけだけど、と言った(笑)。
勝手に疑って、勝手に距離を置いて、なんだか申し訳なかった
その後も、彼は、私が仕事を覚えて、彼の手を借りなくなっても、変わらず気にかけてくれてた。あの優しさに、二階部分がなかったとは言わない。でも、一階部分が、ちゃんとあった人だった。
優しさを判定する、いちばん正確な瞬間
最後に、これだけ持ち帰ってほしい。男の優しさに下心があるかどうかを、優しくされてる真っ最中に、判定しようとしなくていい。
本当に答えが出るのは、あなたが、その期待に応えなかった後。優しさが、静かに残るか、恨みに変わるか。そこにこそ、二階建ての本当の中身が、姿を現す。
下心が混ざってることを、責めなくていい。ただ、その下心の下に、一階部分が、ちゃんとあるかどうか。それだけを、見ておけばいい。
