今夜どう、と誘ったら、あっさり来てくれた。嬉しい反面、こんなに簡単に来てくれるってことは、と、頭の隅で妙な計算が始まる男性もいると思う。
逆に、誘われたらすぐ行っちゃう自分は、軽い女だと思われてないか、と不安になってる女性も、ここにたどり着いたかもしれない。
結婚相談所で7年、急な誘いへの応じ方ひとつで、勝手にレッテルを貼られていく会員を、両方の立場から見てきた。最初に言っておきたいことがある。すぐ来てくれることは、安売りの証拠じゃない。
すぐ来てくれる女性を、安く見る男がいる
簡単に会える女は、簡単に手に入る女。そう思い込んでる男性が、婚活の現場には一定数いた。駆け引きが上手い女性ほど価値が高くて、すぐ応じる女性は、追いかける楽しみがない、と。
この考え方、恋愛の初期にはそれっぽく機能することもある。でも、結婚という長い時間を前提に考えると、話がまるで違ってくる。駆け引きの上手さと、結婚生活の相性は、そもそも測ってるものが別なんだ。
24時間対応は、安売りの合図じゃない
予定が空いてるのは、暇なんじゃなくて、整ってるだけ
24時間対応のホテルを想像してみてほしい。深夜でもフロントが動いてる、すぐチェックインできる。これは、安いホテルの特徴だろうか。
むしろ、一流のホテルほど、いつでも対応できる体制を整えてる。24時間動けることは、余裕と準備の証拠であって、安さの証拠じゃない。
急な誘いにすぐ来られる女性も、同じ構造のことがある。生活リズムが整っていて、無理な予定を詰め込みすぎていなくて、心にも時間にも余白がある。だから、急に空いた枠に、すんなり動ける。暇を持て余してるんじゃなくて、身軽でいられる生活を、ちゃんと維持できてる、ということかもしれないんだ。
逆に、忙しいアピールをして、なかなか予定を合わせない人が、本当に価値が高いとは限らない。ただ生活が雑然としてて、身動きが取りにくいだけのこともある。
本当に見るべきは、来るか来ないかじゃない
断れる人の「はい」だけが、本物
とはいえ、すぐ来てくれる、が全て手放しでいいわけじゃない。ここで、本当の判定軸を渡しておきたい。見るべきは、来るか来ないかじゃなくて、断れるかどうか。
どんな誘いにも、いつでも、はい、としか言わない人がいる。これは、選んで来てくれてるんじゃなくて、断るという選択肢が、そもそも本人の中に存在しない状態。誰の誘いにも同じように、はい、を出してしまう。
一方で、来る時は来るけど、都合が悪ければ、今日はごめん、と自然に断れる人がいる。この人の、はい、には、断るという選択肢を持った上で、それでも来たい、が乗ってる。同じ、はい、でも、重みがまったく違う。
断れない人の、はい、は、誰にでも渡せる、はい。断れる人の、はい、は、あなたに向けて選ばれた、はい。区別すべきは、そこなんだ。
全員に「はい」と言う女性の、その後
28歳の女性会員がいた。誘われたら、ほぼ断らない人。お見合いの誘いも、友人からの誘いも、家族の頼み事も、全部、はい、で受けてた。
最初、彼女は誰にでも好かれてた。でも半年もすると、予定が常にパンパンで、疲れ切った顔で面談に来るようになった。断れないから、興味のない誘いにも顔を出す。断れないから、気の乗らないお見合いにも、律儀に行き続ける。
交際が始まっても、同じことが起きた。彼氏の急な誘いにも、他の友人の急な誘いにも、同じように、はい、と応じ続けた結果、彼氏は次第に、自分だけが特別扱いされてる感じがしない、と不満を溜めていった。誰にでも同じ、はい、を出す人は、皮肉なことに、誰からも特別扱いされにくくなる。
これは、彼女の人柄の問題じゃなくて、断るという選択肢を、自分に許してこなかったことの、代償だった。
相談所で逃した、いちばんもったいない縁
一方で、忘れられない、もったいない話もある。
36歳の男性会員が、あるお見合いの後、いい人だったんですけど、と、微妙な顔をしてた。理由を聞くと、二回目のデートの誘いに、彼女がすぐOKしてくれたのが、逆に引っかかった、と。もっと駆け引きしてくる人の方が、燃えるんですよね、と笑ってた。
その女性会員のことを、私はよく知ってた。フレックス勤務で、生活リズムがしっかりしてて、趣味も仕事も充実してる、とても安定した人だった。すぐ返事ができたのは、暇だったからじゃなくて、迷う理由がなかったから。彼女は、この人と会いたい、と思って、まっすぐ、はい、と言っただけだった。
彼は、駆け引きの俗説を真に受けて、その、はい、を安く見積もった。数ヶ月後、彼女は別の男性と、あっという間に成婚していった。あの時、彼が逃したのは、簡単に会える女、じゃなくて、迷わず選んでくれる女、だった。
それでも急に誘われたい、と思ってる人へ
最後に、両方の立場に、それぞれ言葉を残しておきたい。
誘う側の男性へ。すぐ来てくれた、という事実だけで、相手を値踏みするのはやめた方がいい。見るべきは、その、はい、が、断れる自由の上に立ってるかどうか。それを知る一番簡単な方法は、一度、都合の悪そうな日に誘ってみること。断り方が自然で、次の予定を自分から提案してくれるなら、それは、選ばれてる、はいだ。
すぐ来てしまう側の女性へ。誘われて嬉しくて、迷わず、はい、と言えるなら、それは何も恥じることじゃない。ただ、時々、断ってみる練習もしてみてほしい。断れる自分を、少しずつ手元に置いておくこと。それができた時、あなたの、はい、は、誰にでも渡せる安売りの返事から、あなたが選んで渡す、特別な返事に変わる。
安く見られるかどうかは、来る速さじゃなくて、断る自由を持ってるかどうかで決まるよ。
