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結婚の決め手に欠ける女なんていない。決められない男がいるだけ

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決め手に欠ける、という男が、この仕事でいちばん嫌いだった。
交際終了の連絡は、相手側の相談所を経由して書面で届く。理由の欄に並ぶ常連が、この言葉。お人柄は素敵ですが、決め手に欠けるため。丁寧な顔をした、たちの悪い定型文だと思う。
32歳の女性会員に電話でそれを伝えた日、長い沈黙のあと、彼女は聞いた。決め手って、何ですか。
あの日の私は答えられなかった。気の利かない相づちで逃げて、受話器を置いて、給湯室で少し泣いた(泣)。

目次

女に宿題を出しすぎ

女子力を磨け、手料理で胃袋を掴め、聞き上手になれ、笑顔を絶やすな。言われた側に、宿題の山。3回目のデートまでに手料理って、いつの時代の攻略本なのか。まるで欠けてるのは女性で、埋めるのも女性の仕事という前提。
決め手に欠けるの送り手と受け手、両方のデータと本音を7年分見てきた人間として言う。あの言葉は、女性の成績表じゃない。発した男の、自己紹介。

決め手に欠けるの中身は3種類

その1、ほかも見たいから保留

婚活は基本、並行交際が認められてる世界。決め手に欠けるは、今の手札を捨てずに次のカードもめくりたい、の公式表現だったりする。
アドバイザーは男性側の活動ログも見える。その言葉を伝えてきた3日後、新しいお見合いを2件組んでた、なんて例はザラだった。もちろん女性には言えない。守秘義務と、言ったところで誰も救われない事情と。
キープという俗語に敬語を着せると、決め手に欠けるになる。それだけの話で、欠点探しを始める場面じゃない。

その2、彼はランチも決められない

担当に39歳の男性がいた。喫茶店でコーヒーか紅茶かに5分かける人。お見合いの店選びは毎回こちらに丸投げ。そんな彼が真剣交際のたびに口にしたのが、例の文字だった。
1人目にも、2人目にも、3人目にも。さすがに4人目で気づく。
欠けてたのは相手じゃなく、彼の決める筋肉。人生の大きな決断を自力でやった経験がない人は、結婚という超弩級の選択の前でフリーズする。
ちなみに彼、お父さんが倒れたのをきっかけにパッと決めた。外圧でしか動けない型は一定数いて、悪人じゃない。ただ、あなたの3年を預けるには頼りない。

その3、加点を探す試験官

結婚を加点方式の試験だと思い込んでる男は、減点ゼロの相手を前にしても、足りない1点を探しに行く。99点の答案に何かが欠けてると言える人種。
でも結婚生活は、加点では回らない。
結婚して数年の実感を書く。生活で物を言うのは、ときめきでも胃袋でもなく、ゴミの分別基準が揃ってることと、疲れた日に黙っていられる距離感。地味な減点の少なさが、暮らしの燃費を決める。
試験官の目で探し物をしてる限り、決め手は永遠に出土しない。掘ってる場所がそもそも違うから。

成婚者に決め手を聞き続けた結果

成婚退会の最終面談で、毎回ふたつ質問してた。決め手は何でしたか。いつ決めましたか。
きちんと集計してないから数字はぼんやりだけど、返ってくる答えの圧倒的多数は、ドラマの脚本に採用されない類いだった。なんとなくタイミングで。一緒にいて疲れないんで。逃したら後悔すると思って。
運命を感じました、はごく少数派。
いつ決めたかの回答も割れてて、プロポーズのだいぶ前か、された瞬間かの二択。検討期間の長さと、その後の幸福度は、見てきた限り比例しなかった。
うちの夫にも聞いたことがある。私のどこが決め手だったの、って。返ってきた答えがこれ。居酒屋で枝豆のさやを、俺の皿に勝手にまとめてきたとき(笑)。
…さや!?
結婚の根拠が、豆のさや。でも笑いながら腑に落ちた。決め手って、入口で確認されるチケットじゃない。くぐったあとに振り返って、初めて見える鳥居。先に覚悟が来て、理由は後から生える。
決め手が見つかったら結婚しようと考えてる男は、順番が逆さまのまま、改札の前に立ち続けてる。

それでも言われ続ける女性に、共通してたこと

ここまで男側を斬ってきたけど、現場はそんなに単純でもなかった。あの文字を繰り返し食らう女性には、たしかに共通点があった。欠点じゃない。逆。減点が、無さすぎた。

無難という名の消しゴム

34歳の女性会員。服も会話も相づちも、教科書みたいに完璧。お見合い後の男性側の感想は、判で押したように、いい人でした。
いい人でしたが3件並んだ報告書を眺めて、頭を抱えた。好かれてるのに、誰の記憶にも引っかかってない。
聞けば彼女、嫌われたくなくて、好みも休日の過ごし方も意見も、全部ぼかして答えてた。減点を消そうとして、結局、選ばれる理由まで一緒に消してたわけ。無難は安全圏じゃなく、消しゴムだった。

決め手の正体は、長所じゃなく取っ手

人の手は、ツルツルの完璧な球を掴めない。指がかかる場所、つまり取っ手が要る。へこみでも出っ張りでも構わない。
決め手の正体はこれだと思ってる。長所の総量じゃなく、その人だけの掴みどころ。
例の34歳さんに、隠してる変なところを全部出してと頼んだら、教えてくれた内容が最高だった。休日、ひとりで工場夜景を撮りに行くのが趣味です。引かれそうで伏せてました、って。
プロフィールに書かせて、次の交際で解禁させた。お相手の男性が初回からそこに食いついて、半年後に成婚。後日、彼に決め手を尋ねたら即答だった。夜景の話をしてるときの早口です。
完璧さは決め手にならない。決め手は意外と、あなたが恥ずかしくて隠してる側に埋まってる。

決め手は外付けできる。ただし努力じゃなく締切で

真剣交際8ヶ月、彼のあと少し考えたいに付き合わされてた31歳の女性がいた。ズルズル、ズルズル。誕生日もクリスマスも保留のまま越えた。
彼女がある日、面談で宣言した。来月末までに返事がなければ、活動を再開します。泣き落としでも駆け引きでもなく、事務連絡の声で。そのあと小さく息を吐いて、これで終わっても構いません、自分で進めない人生に飽きたので、と続けた。かっこよかったな。
彼へそのまま伝えた。プロポーズまで、9日だった。今も夫婦をやってるらしい。たまに届く近況メールで知ってる。
人間は、手に入るものより失いそうなものに反応する生き物。締切は脅迫じゃなく、彼の脳に価値を計算させるための情報提供だった。
注意点はふたつ。締切を切っても動かない男は、締切が悪いんじゃなく、答えが最初からノーだっただけ。8ヶ月が8年に育つ前に判明したなら、それは締切の手柄。どっちに転んでも前へ進めるよ。

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この記事を書いた人

元・大手結婚相談所でアドバイザーとして7年間勤務。

結婚・出産・子育てを経験した現在は、現場を離れていますが、これまで培ってきた恋愛・デート・婚活ノウハウを届けたいと思いブログを始めました。現場から離れた今だからこそ見える恋愛のバグと逆張りの勝ち方を教えます。

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