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元カノと比べてしまうのは未練じゃない、比べているのは自分

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比べているのは元カノじゃなく、あの頃の自分

味噌汁の味が違う。
返信の速度が違う。
そんなことを一瞬考えてしまって、直後に自分を殴りたくなる。

記憶が保存しているのは、相手の性能じゃない

比べてしまう場面を思い出してみてください。
たいてい、細部でしょ。しかも、どうでもいい細部。
彼女は電車で寝ると必ずこっちに寄りかかってきた、とか。

あれ、彼女のスペックを記録してるんじゃないんです。
その時のあなたの状態が記録されてる。
寄りかかられて、動けなくて、でも起こしたくなかった。あの数十分の自分の心拍。

残ってるのは、他人の性能じゃなく、自分の稼働率です。
27歳、23歳、あの頃の自分がどれだけ全力で誰かに向かっていたか。それを再生してる。
だから今の彼女がどれだけ素敵でも、比較は終わらない。相手を変えても消えない種類の現象なので。

7年前の自分に、今の彼女は勝てない

残酷な話をひとつ。
初恋の記憶が強烈なのは、相手が優れていたからじゃなく、こちらの初期値がゼロだったからです。
何もかもが初めてだと、脳が全部を保存する。上書き先がないので。

今の関係は、二回目以降。
初期値がすでに高い場所から始まってる。だから記録が薄くなる。感動が減ったんじゃなく、比較対象が自分の中にできてしまっただけ。

あなたが恋しがってるのは、何も知らなかった頃の自分の解像度です。
その人には、今の彼女は絶対に勝てません。誰も勝てない。存在しない相手なので。

比較が止まっている人は、たぶん停止している

ここで逆を言います。
比べてしまう自分を病気扱いする前に、比べない人がどうなっていたかを見てほしい。

過去を一切持ち出さなかった41歳が、決まらなかった

相談所にいた頃、41歳の男性会員を担当していました。
過去の恋愛の話を、一度もしない人。聞いても、まあ普通でしたね、で終わる。
私は最初、この人は執着がなくて楽だな、と思ってました。

2年半、成婚せず。
お見合いは組める。交際にも入る。3か月くらいで、なんとなく消える。
女性側の感想を集めていくと、ある単語が繰り返し出てきました。
何を求めているのか分からない、と。

彼、比較材料を一個も持っていなかったんです。
これが好きだった、あれは無理だった、その蓄積がない。だから今の相手に何を望むかも組み立てられない。
基準がない人は、選べません。選べない人は、選ばれもしない。

比較は判断材料、そのものは罪じゃない

比べるという行為、単なる情報処理です。
過去に得たデータと目の前を照合してるだけ。仕事なら誰も責めない。むしろ経験がある人と評価される。
恋愛でだけ、それが不誠実ということになってる。おかしな話だと思ってます。

34歳の男性会員が言っていたことがあります。
前の人が家事を全部やってくれてたので、今回は自分でやろうと決めました、と。
これも比較です。しかも、いい比較。

比較そのものに善悪はない。使い道だけが分かれる。
それを次の設計に使うのか、今の相手の減点に使うのか。分岐はそこだけです。

危ないのは比べることじゃなく、口に出した瞬間

実害の話に移ります。
頭の中で何を思っていても、関係は壊れません。壊れるのは音声にした時。

前の人は、で始まる文が関係を殺す

交際終了の申し出を中継していて、理由の欄にこれが書かれていたことが何度かあります。
元カノの話をされたから。

内容が問題なんじゃないんですよ。悪口でも事故ります。
前の彼女は束縛がひどくてさ、というエピソード。話す側は、今の相手を持ち上げているつもり。
受け取る側は、この人の頭の中に前の女が住んでる、と読みます。悪口を言えるくらい鮮明に覚えてるということなので。

比較を口に出した時点で、彼女はランキングの存在を知ってしまう。
知ったら、自分の順位が気になる。気になったら、確認したくなる。確認の質問は、必ず二人を消耗させます。

言ってしまった後にできることは、一個だけ

すでに口を滑らせた人へ。
やってはいけないのは、フォローです。
そういう意味じゃなくて、今の君のほうがずっと、みたいなやつ。

あれは比較の上書きなので、比較を続行してることになる。傷が深くなるだけ。
効くのは、その話題を二度と出さないことだけです。時間で薄れるのを待つ。
謝るとしても一度。繰り返すと、彼女の中でその件が大きな事件になります。

消そうとするから残る、格納するほうが早い

対処法として一番よく書かれているのが、忘れる努力。
無理です。断言します。

写真を消しても、味は消えない

データを削除して、連絡先を切って、思い出の場所を避ける。
やった人ほど、残ってます。
避けるという行為が、毎日その存在を確認する作業になってるので。

しかも記憶は視覚だけじゃない。匂い、味、駅のアナウンス、季節の湿度。
削除できない経路が多すぎるんですよ。だから消去戦略は最初から負け戦。

私の意見はこう。
消すんじゃなく、置き場所を決める。
あれは23歳から26歳までの記録。そういう箱を作って、そこに入れる。今と同じ棚に並べるから比較が起きる。別の棚に移せば、比較の演算そのものが発生しません。

比べる回数より、何分続くかを見る

実務的な基準をひとつ置いておきます。
思い出す回数は、どうでもいい。数えなくていい。
問題は、一回あたりの滞在時間です。

3秒で戻ってくるなら、それはただの記憶の再生。健康な脳の動作。
30分入り込んで、そのまま今の彼女への不満に接続されるなら、それは別の何かが起きてます。

たいてい、今の関係で言えていないことが溜まってる。
言いたいのに言えない不満があると、脳は比較という形でそれを表示するんです。過去が問題なんじゃなく、現在の未処理案件が過去の顔をして出てくる。
比較が止まらない時期は、彼女に伝えていない不満がないか確認したほうが早いです。

味噌汁が薄かった日の、自分の顔

比べていたのは私のほうだった

自分の話をします。恥ずかしいほうの。
結婚して2年目くらい、夫が作った味噌汁が薄かったんですよ。
その時、頭に浮かんだのが元カレの実家の味でした。

一瞬です。0.5秒。
なのに、その0.5秒に自分でぎょっとした。
私、比べてる。この人といるのに。

そのあと数日、罪悪感でそわそわしてました。夫にやたら優しくしたりして。今思うと、あれが一番失礼だった気がする。

10年たって、味は思い出せなくなった

何が起きたか。
何もしませんでした。忘れる努力も、反省も、告白も。
薄い味噌汁には、醤油を足した。それだけ。

今、あの味を思い出そうとしても出てきません。10年以上たって、勝手に消えてた。
消そうとしていた時期には、絶対に消えなかったのに。

(あの頃の私、何をあんなに深刻ぶってたんだろう)
比較って、時間が経つと自動で処理されるんですよ。放置がいちばん効く。
放置できずに掘り返す作業が、記憶を毎回上書き保存してるだけだった。

比べられている側の人へ

元カノの情報を集めるのが、いちばん自分を削る

彼が過去の人と比べている気がして、この記事を読んでいる女性もいるはず。
やめたほうがいいことを、一個だけ。

元カノについて調べること。SNSを見る、名前を検索する、共通の知人に聞く。
これをやると、実在しない完璧な人物像が完成します。
情報が断片的だから、隙間を全部こちらの想像で埋めてしまうんですよ。しかも一番きれいなパーツで埋める。

実際の彼女は、彼と続かなかった人です。それだけは確定してる。
続かなかった人を、続いている自分より上位に置く必要が、どこにあるのか。

勝つ必要はない、そもそも試合がない

彼の中で比較が起きているとして、あなたが取るべき行動は勝利じゃありません。
勝ちようがないので。相手は記憶で、記憶は年々きれいになる。生身が敵う相手じゃない。

代わりに見てほしいのが、彼が今日どこにいるか。
比較してしまうのに、それでも隣にいることを選んでる。その選択のほうが、頭の中の0.5秒より、はるかに情報量がある。

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