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初デートはランチ後すぐ解散でいい、5時間デートの末路

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ランチのあと、改札でぱたっと終わった日

13時40分、店を出る。
駅までの3分、天気の話しかしなかった。
じゃあまた、と軽く手を挙げられて、終了。

帰りの電車で、何がまずかったのかを巻き戻し再生し始めた人。
安心してください、ほぼ全員やってます。
私もやった。窓に映った自分の顔が、われながらひどかった。

解散が早いと落ち込むのは、時間を成績表にしているから

2時間で終わったから脈なし。5時間続いたから脈あり。
この換算式、誰に教わったんでしょうね。
習っていないのに、みんな同じ計算をしている。不思議。

長さイコール好意の量。
今日いちばん壊したいのが、この一行です。

デートの時間は、二人の気持ちで決まってません。決めているのは、店の混雑と、次の予定と、断るのが下手かどうか。
好意はそこにほとんど混ざってこない。

同じデートの感想を、男女両方から読める仕事だった

結婚相談所にいた頃、お見合いやデートのあと、両者から感想が届く仕組みでした。
同じ1回の食事について、答案が二枚並ぶわけです。
これ、なかなかの地獄絵図でしたよ。

一致しない。びっくりするくらい一致しない。
彼が最高だったと書いた日を、彼女は普通でしたと書いている。
その逆もある。

世の中の恋愛記事が片側の推測で書かれているのに対して、こちらは答え合わせの済んだ束を毎週読んでいた。そこで見えたことを、順番に出していきます。

5時間コースの末路を、何十件も見てきた

まず、長時間デートの幻想から潰します。

男性の絶賛と、女性のたった2行

36歳の男性会員。ランチのあとカフェに移動して、そこから公園を歩いて、解散が18時前。
届いた感想が長文でした。話が尽きなくてあっという間の5時間、ぜひ次もお願いしますと。改行まで丁寧。

女性側の回答。
2行。
15時ごろから帰りたかったです、交際は希望しません。

これを本人に伝える仕事、地味にしんどいんですよ。手応えを感じている人ほど、落差でずーんとくるので。
そして同じ構図を、私は何十回も見ました。あっという間の5時間と、帰りたかった3時間が、同じ卓で発生している。

帰りたいと言い出せない人がいる、という前提が抜けている

延長に応じた、だから楽しかったはず。
この読み方が、いちばん事故を起こす。

そろそろ帰りますと切り出すには、理由がいります。用事があって、とか、明日早くて、とか。
その理由を用意していなかった人は、にこにこしたまま座り続けるしかない。断る技術の問題であって、好意の問題じゃないんです。

しかも延長した分、相手はぐったりします。初対面の緊張って、想像の3倍消耗する。
その疲労は、あなたの印象に加算されます。マイナスの側に。
楽しませたつもりが、体力を奪っただけになる。これ、けっこう残酷な仕組みだと思ってる。

短い解散が強いのは、腹八分目で席を立てるから

ここから逆側。早い解散を擁護します。

続きが残っている状態を作れるかどうか

2時間で終わったランチには、食べそこねたデザートが残ってる。行きそびれた店が残ってる。途中で切れた話題が残ってる。
未完了。

人間は、終わったものを思い出さない。途中で止まったものだけを反芻する。
だから解散後の電車で、相手はあなたのことを考えてしまう。あの話の続き、なんだったんだろう、と。

逆に、5時間かけて全部やり切ったデート。
話す話題も、行く場所も、食べたいものも、その日のうちに使い切ってる。
次に会う口実が、一個も残っていない。満腹の人を、もう一度食事に誘えますか。

90分で終わったランチが、半年後に成婚した話

41歳の男性会員が、デート当日の夕方に電話をかけてきたことがあります。
声が完全に沈んでた。
今日、13時に解散しちゃいました、短すぎましたよねと。

実際90分。彼のほうから、今日はこのへんで、と切り上げたそうです。
私は電話口でうーんと唸りながら、まあ待ちましょうと答えた。内心ではちょっと危ないかもと思ってた、正直に言うと。

翌日届いた女性側の感想が、これでした。
予定をぎっしり詰め込まれなくて、ほっとしました。次は夜にお酒でも飲みたいです。

次の提案を、女性のほうから書いてきたんですよ。
半年後に成婚。
90分で解散した男が、勝った。

点数がつくのは、ランチの中身じゃなく最後の3分

何を食べたか、どんな話をしたか。そこを必死に振り返っている人へ。
たぶん、見る場所が違います。

別れ際の数十秒だけが、翌日まで残っている

5時間喋った内容、翌週には8割消えます。
消えないのは、最後の顔。

会計を待つあいだにスマホを見た。
改札で振り返らずに歩き出した。
店を出た瞬間、明らかに声のトーンが下がった。
感想欄に書かれるのは、こういう細部ばかりでした。料理の話なんてほとんど出てこない。

記憶は、終わりの温度で全部塗り替えられる。
だから短く終わること自体は減点じゃないんです。問題になるのは、終わり方が雑だったかどうか。
2時間で解散しても、最後の3分がやわらかければ、その日は成功として保存されます。

またご飯行きましょう、が出た時点でだいたい終わり

別れ際にこれを言われて安心した人、残念ながら黄色信号。
社交辞令のテンプレとして完成されすぎてるんです、あの一文。

本当に次を考えている人は、もっと不格好になります。
急に店の名前を出す。来週って空いてますかと唐突に聞く。言い終わってから、あ、今のは変でしたねと自分でうろたえる。
そわそわしてるほうが、望みは濃い。

きれいにまとめて去っていった相手より、改札の手前で挙動不審だった相手を信じてください。
なめらかな別れ際は、迷いがないから出せるんですよ。迷いがないというのは、その人の中でもう答えが出てるということ。

解散したあと、本当に見るべきもの

誘われなかったことより、次に会う口実が残っているか

二軒目に誘われなかった。そこだけを握りしめて落ち込むの、もったいない。
確認すべきはそこじゃなくて、その日に生まれた未完了の数です。

気になると言い合った店。途中でやめた話。写真を見せると言って見せそびれたもの。
ひとつでも残っていれば、次の連絡はそれに乗せられる。
ゼロなら、こちらから作るしかない。作れるので、まだ何も終わってません。

手応えは、自分が喋った量に比例するだけ

これは相談所で気づいた、いちばん身も蓋もない法則。
楽しかったという感覚は、相手の満足度をまったく反映していない。反映しているのは、自分が話した分量。

喋り倒した側は満足して帰る。聞き役に回った側は疲れて帰る。
なのに前者は、二人とも楽しかったと信じ込んでる。

だから解散直後の自己採点は、当てになりません。
手応えがあった日ほど外れて、しくじったと思った日ほど続く。何度この逆転を見たことか。
その日のうちに判定を確定させようとするから苦しくなるだけで、判定は数日後に勝手に届きます。

7時間つき合って、結局こちらが断った話

好かれたくて延長した時間が、いちばん無駄だった

26歳のとき。ランチのあと、映画どうですかと誘われました。
本当は、その時点でお腹いっぱいだった。気持ちの意味でも。

でも断ったら脈なしだと思われる、と考えてしまったんですよ。好かれたい一心で、はいぜひ、と答えた自分。今なら肩を掴んで止めたい。

映画館の暗闇で、足がむくんでいくのが分かった。ストーリー、一切覚えてない。
そのあと夕食まで行って、解散が20時過ぎ。
駅で、今日は楽しかったですと言った自分の声が、われながら嘘くさかった。

翌日、お断りしました。
理由を今になって整理すると、彼が悪かったわけじゃないんです。
あの日いちばん好感度が高かったのは、たぶんランチを食べ終えた13時半あたり。そこから7時間かけて、じわじわ削っただけ。

勝ち逃げという言葉、恋愛には合わないかもしれない。でも初対面に関しては、いちばん機嫌のいい瞬間で幕を下ろした人が強い。これは断言します。

ランチのあとにぱたっと解散した今日を、失敗だと決めつけないでください。
まだ削られていない。ただ、それだけのことかもしれないので。

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