あの子、なんで先輩たちにあんなに可愛がってもらえるんだろう。
特別美人でもない、スキルが突出してるわけでもない。なのに、何かある。自分と何が違うのか、分からないまま、職場でかわいがられる女子の共通点、と打ち込んだんだと思う。
結婚相談所で7年、職場での立ち振る舞いが、そのまま婚活の場でも出てくるのを何度も見てきた。かわいがられる人ってどんな人だったか。
かわいがられるには、二種類ある
一つ目は、便利なかわいがられ。愛想がよくて、頼まれたら断らなくて、何でも笑顔でこなす。かわいいと言われるし、頼りにされる感じはする。でも、残業を振られる頻度が高い、飲み会の幹事が毎回自分、結婚や出産の話をすると急に困り顔をされる。便利な後輩として大事にされてるのであって、一人の人間として大切にされてるのとは、少し違う。
二つ目は、大切にされるかわいがられ。こちらの体調を気にしてくれる、意見を聞いてくれる、ミスをしても人格攻撃にならない。たとえ仕事の外で会う機会がなくなっても、縁が続く。この人のためにと思ってもらえてる、という感触が違う。
世間の記事のリストが教えているのは、ほぼ前者の技術なんだ。笑顔、素直、メモを取る、は、便利な後輩になるための作法であって、大切にされる人になるための話じゃない。
かわいがられようとする努力が、逆効果になる
ここが、いちばん皮肉なところ。
かわいがられようとして、笑顔を作る、全部受け入れる、先回りして気を遣う。それを続けると、どうなるか。感情や本音が見えない人、という印象になっていく。何でも受け入れるということは、何も持っていない、に見える。
人は、完璧な表面には近づきにくい。つるつるの球を、手で掴めないのと同じ。声をかける隙がない。ちょっと聞いていい?と言いにくい。笑顔の鎧をまとえばまとうほど、関係の入り口が封鎖されていく。
アドバイザーの新人時代、全会員に好かれようとして、全意見に頷いて、全依頼を受けた時期があった。その結果どうなったか。先生に何でも言えるね、という空気になって、感情労働の窓口みたいになった。みんなのものになった瞬間、誰のものでもなくなる。公共財は、かわいがられない。使われるだけ。
本当にかわいがられてる人の、三つの共通点
仕事が、一定以上できる
これは当たり前すぎて誰も書かないけど、外せない。
かわいがられることと、舐められることは、紙一重で、その境界線を引くのが仕事力なんだ。任せると何とかしてくれる、という実績の土台の上にしか、かわいがられは成り立たない。仕事が不安定なままでかわいがられようとすると、お荷物を便利に使う関係になりやすい。
一定以上、というのがポイントで、全部において完璧じゃなくていい。得意な領域で、ちゃんと結果を出せる、で十分。
完璧じゃない部分が、一つある
ここが核心。本当にかわいがられてる人は、必ず、どこか抜けてる。
方向音痴で毎回迷う、コーヒーの飲み方にだけやたらこだわる、プレゼンが得意なのに数字に弱い。そのどうしようもない一点が、声をかける口実を生む。あ、この子の苦手なところだ、と思って手を差し伸べる。世話を焼きたくなる。ネコが愛されるのは、ロボットじゃないからでしょ。
戦略的に弱みを見せましょう、とは違う話で、本物の、隠しきれない不完全さ。その一点が、取っ手になって、人がつかまれる。
誰かの役に立とうとしていない
これが、いちばん逆説的な共通点。
本当にかわいがられてる人は、役に立とうとしていない。自分の仕事をちゃんとやって、面白いことには反応して、嫌なことには嫌な顔をする。ご機嫌取りをしない。それだけなの。
役に立とうとする人は、常に相手に向かって動いてる。本当にかわいがられる人は、自分の軸で動いてて、その重力に引き寄せられる形で人が集まってくる。向かうのと引き寄せるのは、向きが逆。でも後者のほうが、深いところで大切にされる。
便利なかわいがられから抜け出せなくなった人たち
担当した会員に、職場で誰からも好かれてる女性がいた。物腰が柔らかくて、頼まれたら何でも引き受けて、飲み会では場を盛り上げる。職場では満場一致でかわいがられてた。
でも婚活の面談で、どこか疲れた目をしてた。断れなくて、という言葉が、何度も出てきた。
かわいがられることで、職場での居場所を保ってきた。でも、居場所を保つために動き続けてきたから、自分が何をしたいか、何が嫌いか、本当のことを言ったことがない。笑顔の筋肉だけが発達して、本音の筋肉が弱ってた。
かわいがられ続けた人が、最後にたどり着く孤独がある。みんなのものになって、誰かの特別じゃなくなる、あれ。
かわいがられが、婚活に出る
ここ、相談所で観察し続けた話をしておきたい。
職場でかわいがられ上手な女性は、婚活の場でも、最初から雰囲気がいい。聞き方が上手、場の空気を読める、相手を立てるのが自然。お見合いの印象がいい。
ただし、一つ分かれ道がある。保護したいと思わせる人と、対等なパートナーとして見られる人。
かわいがられ上手は、保護したい側に転びやすい。大切にはされるけど、意見を持たない子、という位置に固定されると、対等な伴侶というより、世話をする相手になっていく。結婚生活は長くなればなるほど、対等な方が息が続く。
お見合いの評価はいいのに、真剣交際で止まる女性には、この構造がたまに出てた。かわいがられるのが上手すぎて、対等に見てもらえるタイミングを、自分で作れてない。
かわいがられをやめた日
アドバイザーとして、ある時期にやめたことがある。全員に好かれようとすること、全員の期待に応えようとすること。
きっかけは小さかった。無理なお願いをしてきた会員さんに、初めてはっきり断った日。正直に言うと、手が震えた。嫌われるかもしれない、と思った(泣)。
ところが何が起きたか。その会員さんから、あなたに言われた言葉が、今まで一番刺さった、と後から言われた。真剣に向き合ってくれてると感じた、と。
全員のものをやめた途端に、特定の誰かの特別になれた。その瞬間から、かわいがられるのための努力が、一個も要らなくなった。
嫌われてもいい人には、本当に大切にされる。それが、職場でかわいがられる人の、たぶんいちばん深い共通点だと思ってる。
