責任を取ります、と言ってくれた。でも、本当に嬉しいと思ってるの?それとも、義務で言ってるだけ?
妊娠を告げた夜から、ずっとその問いが頭を離れないまま、ここに来たんだと思う。本音を知りたくて、でも怖くて、でき婚男の本音、と打ち込んだ。
結婚相談所で7年、でき婚後に離婚して入会してきた男性も、でき婚で幸せになった夫婦の話も、両方の記録を持ってる。最初に言っておくと、あの夜の彼の本音は、たぶん一つじゃない。正反対の感情が、同時に来る。
本音は一つじゃない。三つが同時に来る
妊娠を告げられた男性の頭の中、実際のところどうなってるか。
嬉しい。怖い。逃げたい。
この三つが、同時に、ぐちゃぐちゃに来る。矛盾してるけど、これが現実で、どれか一つだけが本音というわけじゃない。
嬉しいは、本物。好きな人との子どもができた、という事実への、真っ直ぐな喜びが、確かにある。怖いも本物。人生が、自分の計画と全然違う速度で動き始めた恐怖。仕事、お金、親への説明、自分がちゃんと父親になれるのか。怖いの中身は、いくらでも出てくる。逃げたいも、たいていの男の中に、一瞬ある。この感情に、本人がいちばん驚いて、自己嫌悪に陥ってることが多い。
ただし、逃げたいが一瞬よぎることと、本当に逃げることは、全然別の話。
責任を取ります、と言った彼の中には、この三つが同居してた。嬉しいだけじゃないし、怖いだけでもない。その全部を抱えたまま、それでも隣に立つ、と選んだ言葉が、責任を取ります、だったかもしれない。
責任を取るという言葉の、中身を開ける
責任感と愛情は、まったく別の燃料
でも、ここを混ぜると危ない。責任感と愛情は、似てるようで、まったく別の燃料なんだ。
責任感は、社会的な正解を選ぼうとする力。作ってしまったなら、逃げない。子どもに、ちゃんとした家庭を与える。その誠実さは、本物だし、大事。でも、責任感だけで走り始めた結婚は、あなたを愛しているから、とは少し違う場所から出発してる。
愛情は、あなたと一緒にいたいという引力。あなたの寝顔を見ていたい、老いていく顔を隣で見ていたい、という積み重ねから育つ。
でき婚の怖さは、この二つを確認する時間が、ほとんどないまま、スターターが切られることなんだ。ちゃんと設計図を書く前に、家の建築が始まる。
責任で走り始めた車の、行き先
責任感でエンジンをかけた車は、数年後、ガス欠になる。あれだけ頑張ってきたのに、もう限界だ、と。
でき婚後3年から5年で離婚して入会してくる男性に、何人も会ってきた。彼らに共通してた言葉がある。最初は責任感でなんとかなった。でも、途中から、誰のために頑張ってるのか分からなくなった。
責任感は短距離走の燃料で、長距離には向かない。結婚生活は、フルマラソンどころか、何十年という話だから。
逆に言うと、責任感が愛情に変わっていく過程を、二人で作れるかどうか。それが、でき婚の幸不幸の本当の分かれ目なんだ。
でき婚で離婚した男が、相談所に持ってきた話
忘れられない会員がいる。でき婚から6年で離婚した、38歳の男性。
面談でぽつぽつ話してくれた内容が、でき婚男の本音の、たぶんいちばん正直な断面だった。
妊娠を告げられた夜、逃げたいと思ったと言う。その瞬間に自分が嫌になって、だから余計に責任を取ろうとした、と。妻のことは嫌いじゃなかった。でも、好きかどうかを確認する前に、一緒に住み始めて、子どもが生まれて、気づいたら役割だけが増えていた(泣)。
お互いを、夫と妻の前に、一人の人間として知る時間が、すっぽり抜けてたんです。あの一言が、刺さった。
でき婚の一番の損失は、お互いを好きかどうかを、ゆっくり確かめる時間。その不足分は、意識して後から補いにいかないと、役割だけの関係に固まっていく。役割は、消耗する。人は、消耗だけでは長く走れない。
彼は今、相談所で出会った女性と、ゆっくり時間をかけて交際してる。あの、確かめる時間を、今度はちゃんとやっている、と言って、少し笑った。あの笑顔は覚えてる。
幸せになれるかは、でき婚かどうかで決まらない
覚悟が早い分、強くなれる地形
でき婚は不幸になる、という呪いみたいな言説が世間に漂ってる。現場で見た実態は、全然そんなことはなかった。
むしろ、でき婚のカップルには、一つ、特殊な強みがある。覚悟が早い、ということ。
普通の結婚では、相手のいちばんしんどい部分や、弱い部分を見る前に、入籍してしまうことが多い。でも、でき婚のカップルは、つわりと、仕事との両立と、親への説明と、お金の現実を、付き合って間もない段階で、一緒に乗り越えてる。嵐の中から始まった分、晴れた日常のありがたさを、早く知ってる。
土台を作る順番が逆なだけで、土台の強度は、逆に高くなることがある。問題を一緒に解いた経験は、甘い時間より、深いところで二人を繋ぐ。
分かれ目は、最初の半年
ただし、最初の半年の過ごし方が、のちの幸不幸をかなり決める。
子育てに追われながら、二人の時間がゼロになって、気づいたら役割だけの関係、という流れが、いちばん多い。でき婚がうまくいったカップルは、忙しい中でも、意識して、夫婦として話す時間を残してた。
週一回、子どもが寝た後の30分でいい。育児と仕事以外の話をする時間。相手を、役割の向こうにいる一人の人間として、もう一度、確認する時間。これがあるかないかで、5年後の温度が、全然違う。
設計図なしで建て始めた家を、住みながら一緒に設計していく作業を、二人でやれるかどうか。それだけなんだ。
女性が本当に確認すべきこと
彼の本音を測りたいなら、責任を取るという言葉じゃなく、行動を見てほしい。
妊娠発覚後、彼はどう動いたか。産院についてきたか。仕事の段取りを、自分から考えたか。あなたの体の変化に、気づいてくれてるか。親への説明を、自分から動いたか。
責任感だけの男は、言葉は立派で、動きが遅い。しかも、褒められることには動くけど、地味な準備には動かない、という特徴が出やすい。
愛情が混じってる男は、誰も見てない場面で動く。あなたが寝てる間に、育児本を読んでたり。つわりがひどい朝に、何も言わずにバケツを置いておいたり。誰かに見せるための行動じゃなく、あなたのために動く、という地味なやつ。あれが、一番信用できるサインだった。
予定外だったものが、いちばん大事になる
個人的な話を、最後に一つ。
うちの第三子は、予定外だった。二人でもう十分、と話していた矢先の、陽性反応。夫に伝えた夜の顔を、まだ覚えてる。驚いて、固まって、しばらく黙って、それから、大丈夫だよ、と言った。
声が、少し震えてた(笑)。
あの震えは、でき婚男の三つの本音、嬉しい怖い逃げたい、が全部混じった声だったと思う。予定外だったからこそ、その子が生まれてからの、夫の顔を見ていると、覚悟って後からちゃんと育つんだな、と実感した。計画通りの二人より、むしろ何かが増えてる気がする!
でき婚は、スタートの形が違うだけ。その後の二人が何を選ぶかは、まだ白紙のまま、手元にある。
予定外の旅は、予定通りの旅が絶対に通らない景色を、通る。その景色の中に、一番大事なものが、待ってることがある。
責任を取ります、と言った彼の中に、ちゃんと嬉しいも混じってた。それだけは、信じていい。
