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結婚迷うならやめた方がいいを信じて破談にした3人のその後

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迷うならやめたほうがいい。
婚活界隈で聖書みたいに引用される格言だけど、私はこの言葉がずっと苦手だ。相談所の面談席で、これを信じて交際終了の手続きをした女性に3人立ち会った。書類を処理したのは私。3人の近況も、本人からの便りや風の噂で知ってる。
やめて正解だったのは、1人だけ。
残る2人に何が起きたのか。ついでに、入籍を控えた夜に荷物をまとめかけた元アドバイザー本人、つまり私の話も書いておく。

目次

迷わなかった成婚者を、ほとんど見たことがない

迷いは直感からの警告だとか、運命の相手なら迷わないとか、それっぽい解説がずらっと並ぶ。
7年間で成婚退会を見届けた中に、最後まで一度も迷わなかった人がどれだけいたか。記憶を掘っても片手で足りる。ほぼ全員が申し込みの前でためらい、真剣交際の手前で足踏みし、プロポーズの返事を保留してた。どこかの成婚白書でも、決め手の上位は安心感だったはず。数字はうろ覚えだけど、現場の体感とは一致する。
むしろ怖いのは逆で。
全然迷ってません!と目を輝かせてた20代の会員さん、交際2ヶ月のスピード成婚だったのに、1年後に離婚報告の電話をもらった。舞い上がりは迷いを消す。ついでに視野も消す。
迷いは、選択肢をちゃんと比べてる脳の正常な動作音。意外と健全なやつなんだ。家を買う人は内見を重ねて悩み抜くでしょ。3000万の買い物で迷えば堅実と呼ばれるのに、一生の相手選びで迷うと黄色信号扱い。冷静に考えて、変な話。

格言どおりにやめた3人を追跡する

3人とも実在の会員さんで、特定されないよう細部だけぼかしてある。

1人目、引っかかりの正体は借金だった

Aさん、当時33歳。真剣交際3ヶ月のお相手は商社勤務で、毎回駅まで送ってくれて、記念日でもないのに花を買ってくる人。条件も人柄も、書類の上では満点に近かった。
なのに彼女、面談のたびに首をかしげる。お金の話になると会話がスッと逸れる気がします、って。
証拠はゼロ。ただの肌感覚。
それでも彼女は言葉どおりにやめた。で、半年後。共通の知人経由で、彼に消費者金融の借入が数百万あるらしいと聞こえてきた。金額の正確なところは今も知らない。けど方向は合ってた。
彼女の迷いには特徴がある。矛先が、相手の誠実さに向いてた。これだけ覚えておいてほしい。

2人目、もっといい人は来なかった

Bさん36歳のためらいは種類が違った。優しいんですけど、ときめきが足りなくて。年収も、もう一声あれば。
比較の迷い。天井のない迷い。
彼女は交際終了を選んで活動を再開した。最初の3ヶ月は強気だったな。半年過ぎから申し込みの返事がジリジリ減り、1年で希望条件を下げ、2年目に休会。3年経った今も、たしか独身。
途中の面談で漏らした一言が忘れられない。新しくお会いする方を、前の彼と比べちゃうんです。比較で手放した人が、比較の基準になって戻ってくる。皮肉が過ぎる。
彼の側はどうなったか。4ヶ月後、別の女性と成婚してた。退会書類に並ぶ署名を眺めながら、何とも言えない気持ちになったのを覚えてる。はぁ…。
もっといい人がいるかもという迷いは、相手の欠陥リストじゃなく自分の欲の在庫表。在庫は永遠に補充されるから、どこかで棚卸しを締めない限り、一生会計が終わらない。

3人目、迷いの主語が彼じゃなかった

Cさん29歳。相手に不満はひとつもないんです、でも私なんかが結婚していいのか分からなくて。そう言って泣いた(泣)。
両親の離婚を見て育った子だった。幸せの直前で足がすくむ癖は、本人も自覚済み。彼女も同じ道を選ぶ。退会。
1年後、別の相談所で出会った男性と真剣交際まで進み、また同じ地点で止まったと風の便りが届いた。相手を替えても迷いが再演された時点で、答えは出てる。製造元は彼女の内側だった。
ここからが、私の好きな展開。カウンセリングに通って自分の癖と2年向き合った彼女は、最初の彼と街でばったり再会して、復縁して、結婚した。去年もらった寒中見舞いに、子どもの写真。あの迷いは彼への評価じゃなかったって、本人がいちばん分かったんだろうな。

アドバイザーのくせに、婚姻届の前で固まった

ここまで他人の話みたいに書いてきたけど、白状すると私も迷った側だ。
入籍前夜、夫になる人の名前の隣で、ペンを持つ手が止まった。カチ、カチ、とノック音だけ響かせて、その日は自分の欄を埋められずに終わった。職業、結婚アドバイザー(笑)。会員さんには偉そうに伴走しておいて、これ。

何に迷ってたのか後から分解したら、彼のことはひとつも出てこなかった。出てきたのは、失くすものの目録。旧姓で積み上げた名刺、ひとりで眠る夜の静けさ、実家の犬と過ごす正月。結婚は獲得じゃなく交換だから、差し出す手が一瞬ひるむのは当たり前だったんだ。
翌朝、寝癖のひどい婚約者がトーストを焦がしてるのを見て、なぜか書けた。この人との退屈な火曜日を、あと2000回くらい繰り返すのは悪くないなって。ときめきの話じゃない。
ちなみに夫はこの夜のことを知らない。

迷いに点数をつける、現場で使ってた方法

紙に書いて、主語を丸で囲む

面談で実際にやらせてた作業がある。迷いの中身を、ぜんぶ文章にして紙へ書き出す。単語の羅列じゃなく文章で。書き終えたら、各文の主語にペンで丸をつける。
主語が彼なら、中身を精査する。彼の機嫌の波が読めない、彼がお金の話を避ける、彼が運転中だけ別人になる。誠実さや安全に触れるならAさん型。例の格言の出番で、やめる方に体重をかけていい。
主語が私なら、Cさん型を疑う。私に自信がない、私は母親になれる気がしない。この型は相手を替えても追いかけてくるから、処方箋は別れじゃなくケアの側にある。
主語が親や友達や世間なら、その紙ごと破って捨てて構わない。
やってみた会員さんの反応で多かったのは、書き出したら3行で終わって自分で驚くパターン。文字にすると迷いはだいたい縮む。

怖いのか、気持ち悪いのか

もうひとつ、判定に使える質問。その迷いは怖いに近いのか、気持ち悪いに近いのか。
怖いは未知へのセンサー。引っ越しも転職も初出勤も怖い。怖いまま進んで良かったものを、誰の人生もいくつか抱えてるはず。
気持ち悪いは別物。生理側の警報で、スマホを黙って覗かれてた時の、胃の底がヒヤッとするあれ。こちらが鳴ってる結婚は、進むほど音量が上がる。私の知る限り例外なし。
迷うならやめたほうがいい、の迷うを、気持ち悪いなら、に差し替える。格言はそれでようやく使い物になる。

それでも、やめる勇気は否定しない

最後に反対向きのフォローを。
迷った末の破談は、負けじゃない。Aさんは今、当時とは別の人と穏やかに暮らしてる。式場のキャンセル料だ、両家への説明だと、やめるのにも現実の痛みはつきまとう。それでも、誠実さへの疑いを抱えたまま指輪を受け取る痛みより、ずっと安くつくよ。

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この記事を書いた人

元・大手結婚相談所でアドバイザーとして7年間勤務。

結婚・出産・子育てを経験した現在は、現場を離れていますが、これまで培ってきた恋愛・デート・婚活ノウハウを届けたいと思いブログを始めました。現場から離れた今だからこそ見える恋愛のバグと逆張りの勝ち方を教えます。

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