孤独と一人でいることは、全然別の話
一人でいることが好きな人がいる。でも孤独を感じている人もいる。外から見ると同じ独身生活でも、内側で起きていることがまるで違う。
結婚相談所でアドバイザーをやってきて、孤独感を抱えた会員さんに何百人も会ってきた。その孤独感は、一人でいることへの不満とは少し違う。誰かと話したい、誰かに自分のことを知ってほしい、この経験を共有したい相手がいない。こういった感覚が、独身生活における孤独感の正体だと思っている。
孤独感が出やすいタイミングがある
独身生活の中で孤独感が強くなるタイミングは、だいたい決まっている。体調が悪いとき、仕事でしんどいことがあったとき、週末に予定がないとき、季節の変わり目、年末年始、誕生日。
特にこれらのタイミングで強く出る孤独感は、平常時には薄れていることが多い。普段は問題ないのに、特定の状況で急に強くなる。この波を知っておくことで、孤独感との付き合い方が変わってくる。
独身生活における孤独感の種類
帰る場所の孤独
仕事が終わって家に帰っても、誰もいない。ただいまと言っても返事がない。今日あったことを話せる相手がいない。この日常の孤独は、特別な出来事がなくても毎日積み重なっていく。
帰ってから何をしても自由だけど、その自由の中に誰かの気配がない。自由と孤独が同居している状態だ。
38歳の女性会員、清美さんは仕事は充実していて、友人もいる。でも夜、家に帰った瞬間に孤独感が来ると話してくれた。電気をつけても誰もいない、この空気がしんどい、と。孤独感は昼間より夜に強くなる、というのは多くの会員さんから聞いてきた話だ。
喜びを共有できない孤独
いいことがあった。でも報告できる相手がいない。または報告できる相手はいるけど、すぐに伝えられる場所にいる相手がいない。喜びは共有することで大きくなる性質を持っている。共有できないと、喜びが半分になる感覚がある。
悲しいときより、嬉しいときの方が孤独を感じやすい、という話を何人かの会員さんから聞いた。悲しいときは友人に話せる。でも嬉しいことをすぐに伝えたい相手が、傍にいてほしい。その欲求が満たされないときの孤独感は、独特の重さがある。
老後への不安から来る孤独
今ではなくて、将来への孤独感がある。年を取ったとき誰が傍にいるのか、病気になったとき誰が支えてくれるのか、死ぬときに一人じゃないか。この将来への不安が、今の孤独感として出てくる。
40代以降の独身会員さんに、この種類の孤独感が出やすかった。今は一人でも大丈夫、でも先が見えてきたとき、一人でいることへの不安が強くなる。
理解してくれる人がいない孤独
友人はいる、家族もいる。でも本当の意味で自分を理解してくれる人がいない、という孤独がある。会話はできるけど、深いところで繋がれていない感覚。表面的な関係はあっても、心の底を見せられる相手がいない。
これは独身かどうかに関係なく起きうる孤独だけど、独身生活の中では特に感じやすい。家族という単位の中で生活していると、深い繋がりの機会が日常的に生まれやすい。独身だと、それを意図的に作らないと生まれにくい。
孤独感が強まると何が起きるか
孤独を埋めようとして、判断が歪む
孤独感が強いとき、誰でもいいから傍にいてほしい、という感覚が出てくることがある。その状態で関係を始めると、相手への判断が正確にできなくなる。孤独を埋めてくれる相手として選んでしまう。
相談所でも、孤独感が強い状態で入会した会員さんは、最初の相手に飛びつきやすい傾向があった。その判断が後から後悔につながることがあった。孤独感を婚活の動機にすることは自然だけど、孤独感に判断を支配させることは別の話だ。
孤独感が慢性化すると、自己肯定感が下がる
誰にも必要とされていない、という感覚が続くと、自分の存在への疑念が生まれてくる。一人でいることへの慣れと、一人でいることへの傷が、長い時間をかけて積み重なっていく。
この状態で婚活をすると、相手への評価より先に自分への評価が低い状態で向き合うことになる。この状態から出会いに向かうことの難しさを、現場で何度も見てきた。
独身生活における孤独感と、どう向き合うか
孤独感を問題として扱わない
孤独感は、人間の自然な感情だ。問題として扱って解決しようとすると、孤独感を感じるたびに自分がおかしいのかという自己批判につながりやすい。
孤独感を感じることは、繋がりを求めている人間の証拠だ。感じてはいけない感情じゃない。感じることを許すことが、孤独感との健全な向き合い方の出発点になる。
孤独感のピークを乗り越えるための具体的な話
夜、家に帰ったときの孤独感が強い場合、帰宅後の習慣を一つ作ることが機能しやすい。音楽をかける、電話をする、好きなものを食べる。空間の空気を変えるための、自分なりのルーティンだ。
清美さんは、帰宅後に必ずコーヒーを淹れることを習慣にしたと話してくれた。淹れている間に今日あったことを頭の中で整理する時間になった、と。孤独感が消えるわけじゃないけど、その時間の質が変わった、と言っていた。
孤独感の正体を確認してみる
今感じている孤独感が、どの種類のものかを確認してみることが、向き合い方を変えることがある。帰る場所の孤独なのか、喜びを共有できない孤独なのか、理解してくれる人がいない孤独なのか。
種類がわかると、対処が少し見えてくる。帰る場所の孤独なら、空間の工夫で軽くなることがある。喜びを共有できない孤独なら、伝えられる人への連絡が解決になることがある。理解してくれる人がいない孤独なら、深い関係を作ることへの意識が先になる。
孤独感を婚活の動機として使うことの注意
孤独だから結婚したい、という動機は自然だし、否定しない。でも孤独を解消するために結婚しようとすると、相手への選択が孤独解消を基準にしてしまうことがある。傍にいてくれる相手を求めること、と、この人と一緒に生きていきたいと思える相手を見つけること、は別の問いだからね。
